米ISP団体、著作権侵害を理由としたアカウント停止に反対

米国通信業界団体のUSTelecomは、誤認にもとづく削除通知や、侵害を繰り返すユーザのアカウントを停止するという昨今の動きに、反対の立場を表明した。また、ISPが削除通知を処理する以上のことを求められる必要はなく、著作権者の主張だけで加入者のアカウントが停止されるべきではないとも強調している。

プリンスとパイラシーの戦いの歴史が終わる

4月21日、プリンスが亡くなり、人びとはスーパースターの死を悼んだ。プリンスの曲が無断で公開されていたファイル共有サイトの管理人によると、以前、プリンスが個人的に彼の携帯電話に電話をかけ、30分にわたって海賊行為がいかに危うい存在であるかを語っていたという。

4月21日、現代音楽史上最高のミュージシャンの1人がこの世を去った。TMZがもたらしたその訃報は、プリンスがペイズリー・パークで亡くなったことを伝えた。享年57歳であった。

プリンスの音楽的才能は疑いようもないが、彼とインターネットとの関係はしばしば複雑なものであった。彼は昨年、Tidal以外の大手のストリーミング・サービスから自身の曲をすべて削除させていた

しかしファイル共有界隈では、プリンスはインターネットの海賊行為を終わらせるために尽力してきた人物としてよく知られていることだろう。 9年ほど前、「インターネットを取り戻せ」キャンペーンの一環として、プリンスは悪名高きアンチ・パイラシー企業Web Sheriffを雇い、YouTubeやeBay、そしてもちろんパイレート・ベイなどのサイトを攻撃した。彼の代理人からパイレート・ベイに送りつけられた書面は、控えめに言っても『ユニーク』なものであった。

当時、パイレート・ベイのPeter Sundeは、「まぁ、『ファンを減らすための方法』だね」と語った。「彼のミュージシャンとしての作品は心底リスペクトしているけど、ファンのことを考えたやり方じゃないよね」

結局、そうした法的な圧力は何ら効果がなかった。しかし、プリンスの海賊行為との戦いは続き、ときに一線を踏み越えることもあった。2014年、プリンスは彼のコンサート映像へのリンクをFacebookに投稿した22人を訴え、世間を驚かせた。

「プリンスは被害を被っており、その被害は継続している。被害額は少なくとも被告1人につき100万ドルは下らない」と訴状には記されていた

その翌日、突如として訴訟は取り下げられ、プリンスの人生におけるミステリーが1つ増えることとなった。

彼のインターネットや海賊行為への態度については評価が分かれるところだろうが、彼の献身さは評価されてしかるべきである。もちろん、彼自身の財産を守るためという側面もあったろうが、プリンスは本当にアーティスト全体のことを気にかけていたのだ。まさにそのことを表す驚くべきストーリーが明らかとなった。

コンテンツの違法コピーがインターネット上で見つかった場合、ほとんどのアーティストやレーベルは、仲介者を経由して、コンテンツを削除させたり、裁判を起こしている。実際、プリンスも過去複数回にわたって、このメカニズムに依存していた。

しかし、音楽ホスティングサイトYourListenの運営者によると、プリンスは自分自身が動くことを嫌っていたわけではないのだという。彼の音楽がTidalから独占配信されることになった直後、プリンスはYourListernに自分の曲が無断でアップロードされていることに気づき、対処することにしたようだ。

「プリンスから自分の携帯電話に電話がかかってくるなんて夢にも思いませんでした」とScott GoodmanはThe Frameに語っている

「アーティスト自らが直接電話がをかけてきて削除依頼してくるなんて、それまでなかったですから」と彼は言う。通常、そのような削除依頼は自動化されたボットによって行われる。

Goodmanによると、プリンスは削除を依頼した後も、およそ30分にわたって、彼がなぜ自分の音楽を守ることにしたのかを説明したのだという。

「彼は海賊行為を止めるために、数十年にわたって戦い続けてきたと話していました。彼のような力とお金をもっている人びとが行動することで、海賊行為を終わらせることができると本当に信じていました。彼は私にこう言いました。『スコット、僕らは海賊行為と戦わなきゃいけない。音楽を盗まれてしまったら、ミュージシャンはいなくなってしまうんだ』」

ファイル共有サイトに個人的に電話をかけたアーティストは、プリンスをおいてほかにはいないだろう。その電話は、確かにGoodmanに影響を与えたようだ。もちろん、一本の電話が世界を変えるということは考えられない。しかし、プリンスのように、たとえ孤独な戦いであったとしても、自ら電話をかけるくらいの信念を持つことは、称賛に値する。

昨晩、パイレート・ベイの共同創設者であるPeter Sundeは、「プリンスは音楽産業と戦った。しかしまた、インターネットとも戦った(僕も少なくとも1度は訴えられた)」と記した

「彼は天才だった。尊敬に値する。冥福を」

“Prince Gave a File-Hosting Site a Personal 30 Min Piracy Lecture – TorrentFreak”

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: April 22, 2016
Translation: heatwave_p2p

ファイル共有、インターネット・パイラシーと戦ったミュージシャンといえば、初期にはNapsterと法廷の内外で戦い続けたMetallicaのラーズ・ウルリッヒがいるが、プリンスはラーズ以上の「重要人物」であった。上述の記事内でも触れられているように、プリンスは海賊行為の問題や、デジタルに寄りつつあった音楽ビジネスを継続して批判してきたのは確かである。

もちろん、いずれの戦略については、いまでも正しかったとは思わない。ただ、彼が一貫して、お為ごかしなどで包み隠さずに、自身も含めたアーティストの利益、アーティストの権利を訴えてきたことは、好意的に評価している。ご冥福を。