カニエ・ウェスト、パイレート・ベイに宣戦布告か

パイレート・ベイはエンターテイメント産業からは大いに嫌われた存在である。しかし今週、新たな敵が現れた。カニエ・ウェストは、彼の最新アルバムがパイレート・ベイで共有されていることに激怒し、法的措置をほのめかしているという。これがどのような影響をおよぼすかは定かではないが、パイレート・ベイのメンバーはなんとも思っていないようだ。

数日前、カニエ・ウェストは『The Life of Pablo』をリリースした。アルバムは即座に海賊版サイトに広まり、数十万のファンがダウンロードした。

その結果、メディアの注目がパイレート・ベイに集まった。パイレート・ベイの音楽ダウンロードにおいて『The Life of Pablo』は高い人気を誇っており、今でも数千の人びとが『The Life of Pablo』を共有している。

そうこうしているうちに、そのニュースはカニエ・ウェスト自身の耳にも入り、彼はリークによって数百万ドルの損害を受けたと激怒しているという。彼はパイレート・ベイがその元凶であるとして、法廷に引きずり出そうとしているようだ。

「カニエは、トレントサイトのパイレート・ベイへの法的措置の可能性について、彼の弁護チームと議論するようです」と関係者はHollywoodLifeに語っている

「弁護士と相談し、彼自身が原告となるつもりのようですが、可能であれば、Tidalとともに訴訟を起こしたいようです。独占リリースということだったわけですから」

パイレート・ベイが法的措置のターゲットになるのはこれが初めてではない。パイレート・ベイのもともとの創設者たちは裁判を受けており、2014年後半には国内のデータセンターが家宅捜索され、新たな捜査が開始されている。

しかし、パイレート・ベイはいまだ健在である。現在のスタッフ・メンバーは、カニエ・ウェスト個人にはさして興味がなく、法廷闘争についても特に心配はしていないようだ。

「カニエ・ウェストは底抜けの馬鹿だな。うぬぼれもいい加減にした方がいい。アイツの信者だってニューアルバムはクソだと言っている。と言うのはさておき、ミスター・ウェストがTPBを訴えるというのなら、せいぜい頑張れよ、というだけだね」とパイレート・ベイのスタッフ・メンバー Spud17はTorrentFreakに語った。

「うちの法務部も楽しみにしてるよ」と彼は付け加えた。

言うまでもなく、パイレート・ベイはアルバムのトレントを削除するつもりはないようだ。彼らはいかなる著作権侵害コンテンツであろうとも削除しないという明確なポリシーを掲げている。通常、彼らが削除するのは、スパムやウィルスにリンクするトレントだけである。

一方、カニエは近寄りがたいほど怒りちらしており、彼が受けた損害を誰かに支払わせることに決めたようだ。

「彼は自分の作品が盗まれたのだと怒り、ピリピリしています。彼は、自分の音楽をタダで手に入れた人がいることを許せないと思っていて、誰かにその責任を追わせる必要があると考えているようです」と関係者はHollywoodLifeに語った。

理屈の上では、カニエはパイレート・ベイを提訴することはできるし、勝つこともできるだろう。しかし、パイレート・ベイの関係者がそれに応じるとは思い難く、裁判で認められた潜在的な損害賠償が支払われることもないだろう。

通常よりも多い海賊版のダウンロード数は、ストリーミングサービスTidalでの独占リリースであったことに原因があったものと思われる。多くのファンは高額なサブスクリプション・サービスに縛られたくはないし、しぶしぶ加入したファンですら、アルバムの入手までにトラブルに見舞われた。

パイレート・ベイの共同設立者ピーター・スンデは、現在はパイレート・ベイとは関わっていないが、過去に権利者たちと多数の争いを繰り広げてきた。彼は、ファンがわざわざ曲を聞いてくれたことをウェストはまず第一に感謝すべきだという。

「アルバムはTidalでのみリリースされた。そこにたどり着ける人はほとんどいないのだから、いずれにせよ、リークされる運命にあった。それでも聴いてくれた人がいたということを彼は感謝すべきだよ。高額・低音質なTidalにお金を払ってくれたんだからさ」とスンデはいう。

マイケル・ジャクソン、UB40プリンスヴィレッジ・ピープル――過去にパイレート・ベイを訴えたミュージシャンたちは数多くいる。果たしてカニエはその仲間に加わるのだろうか。
Kanye West Declares War on The Pirate Bay – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: February 18, 2016
Translation: heatwave_p2p
Header Image:Leo Reynolds / CC BY-NC-SA 2.0

ウェブ版Popcorn Timeが誕生

今週登場したばかりのTorrents-Timeが、Popcorn Timeのコンセプトに新たな生命を吹き込んでいる。Torrents-Timeは、対応するトレントサイトと連携して、映画やテレビ番組をWindowsブラウザ内で視聴可能にするプラグインだ。もっとも人気のPopcorn Timeフォークがこのテクノロジーを活用したサイトを立ち上げた。

Everything is a Remix:創作のためにいまできること、これからなすべきこと

先日、映画製作者カービー・ファーガソンは、『Everything is a Remix』という4部作のドキュメンタリーを完成させた。このシリーズでは、われわれの創作の相互結合性、そして現行法と規範がこの基本的な真実を捉えられてない現状について綴られている。このドキュメンタリーに対し、一部の視聴者から、ではどのような考え方が望ましいかという点について、この4部作では触れられていないとの批判が寄せられた。彼はこの場でその挑戦に応じることにした。知的財産権改革やリミキサーとクリエイター双方の利益となる最良の実践について、彼の考えを明かしてもらおう。

『わが闘争』『アンネの日記』と20世紀著作権の長い影

ここ数週間、ホロコースト時代の2つの作品――『アンネの日記』と『わが闘争』――をめぐる著作権の議論が広くメディアの注目を集めている。第二次世界大戦終結から70年後のいま、こうした問題が噴出しているという事実は、著作権が著者にインセンティブを与えるという著作権本来の目的を逸脱して、政治目的で用いられていることを表している。

タランティーノの新作をリークしたのは誰だ?

タランティーノの最新映画『The Hateful Eight』の海賊版スクリーナーが、ハリウッド役員に送られたコピーに紐付いていたことが判明した。FBIは現在、最近の相次ぐ映画流出に関連して、この背反行為を捜査している。一方、その『The Hateful Eight』は、複数の非公式チャンネルで100万回以上共有されている。

1日100万ドルの損害を生み出す究極コピーマシン

Pirate Bayの共同設立者 Peter Sundeは、昨年刑期を終えて出所したものの、未だエンターテイメント産業に数百万ドルの損害賠償の支払義務を負っている。もう彼は懲りたのではないかと思っている人もいるかもしれないが、彼は数百万の追加『損害』を与えるコピーマシンを作り上げた。これはギネスブックに載せる価値があるかもしれない。

かつてPirate BayのスポークスマンであったPeter Sundeは、ヒトは本能によってコピーを行う、といついかなるときも言い続けてきた。

昨年、彼はTPBへの関与の代償として大きなツケを支払わされた。しかし、そのことは彼の核である『kopimi』的価値観を変えるには至らなかった。

Peterは、エンターテイメント産業がコピーの概念を捻じ曲げていることにひどくフラストレーションを感じている。海賊版による損失を計算する際、彼らはしばしば海賊版コピーの価値を過大に見積もる。

未だ複数の音楽・映画企業に損害賠償の支払義務を負っているPeterは、このことを骨身に染みて理解していることだろう。

とはいえ、彼がコピーを止めることはない。事実、彼はRasberry PiとLCDディスプレイ、Pythonコードを使って、アルティメット・コピー・マシンを作り上げたばかりだ。

3つの材料を用いた「Kopimashin」は、Gnarls Barkleyの「Crazy」を毎秒100回コピーする。1日に換算すると800万回以上、およそ1000万ドルの『損害』が生み出される。

実に「Crazy」。

このマシンは、デジタル・コピーに関するアートプロジェクトの一部として、もうじき展示されるという。

「コピーに価値を置くプロセスの不合理さを示したい。このマシンはとても簡素に作られていて、いかなる産業にとっても全く危険ではないことは明白だ」とSundeはTFに語った。

「しかし、彼らのレトリックや考え方に従えば、このマシンは彼らを破産へと追い込む存在ということになる。このフィジカルな作品で、コピーに値段をつけることの無意味さを――そこそこ美しく――示したいんだ」

The Kopimashin

Kopimashinで作成された楽曲のコピーは、/dev/nullに送られる。つまり、作ったそばからゴミ箱に投げ込まれるということだ。

しかし、もっとも重要なメッセージは、産業が彼やTPBの創業者たちから被ったと主張する数百万ドルの損失が、Kopimashinに表示される数字のように虚構に過ぎないということである。

「TPB事件で算出された損害額は、いずれも馬鹿げたものだった。もちろん、その金額を支払わせようという意図などなく、人びとを黙らせ、服従させるために恐怖を植え付けることを目的にしていたんだ」

産業が失ったと主張する数百万ドルは、実際の損失とは全く関連がないとPeterは言う。彼はむしろ、パイラシーはセールスにポジティブな効果があるという。

「Kenneth Goldsmithの言葉を引用すると、今世紀のファイル共有裁判は、芸術における猥褻性の裁判のようになっていくだろう。そうした申し立ては何ら妥当性がなく、実際の損害を根拠にしたものでもない。もしそうであったら、私たちはお金をもらっていただろう」

「経済は、世界規模でネットワーク化された社会において、さまざまに作用する。しかし、これらの産業は、変化しないだろう。それこそが、彼らを倒さなければならない理由だ」

このThe Pirate Bay共同設立者は、複数の展示会に出展するために13台のKopimachinを完成させたいという。また、少数ではあるが販売用のKopimashinを作る計画があるとのこと。その間、彼はGnarls Barkleyとそのレーベルを『破産』させ続けることになるだろう。

「いま、こうやって話している間に、我が家で稼働しているKopimachinが1億2000万回のコピーを行った。つまり、レコード産業に1億5千万ドルの損害を与えたことになる――彼らのロジックによれば」とPeterは言う。

彼のコピーへの情熱を広めるため、Peterは今週、Guinness Book Of Recordsに連絡し、現在、その申請の審査が行われている
“Pirate Bay Founder Builds The Ultimate Piracy Machine”

Author:Ernesto (TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: December 19, 2015
Translator: heatwave_p2p
Header Image: formatbrain / CC BY-NC 2.0