以下の文章は、電子フロンティア財団の「What Proponents of Digital Replica Laws Can Learn from the Digital Millennium Copyright Act」という記事を翻訳したものである。
我々は著作権政策の根幹をなす重要原則を支持する取り組み、Copyright Weekに参加している。今週は毎日、様々なグループが著作権に関する法律や政策の各側面について、何が問題となっており、創造性とイノベーションを促進するために何をすべきかを議論する。
実演家たち――そして一般市民も――が、AIの模倣によって自分たちの存在が置き換えられたり、名誉を傷つけられることに不安を抱えている。この問題に対処すべく、州・連邦レベルで数多くの法案が提出されているものの、いずれも新たな問題を引き起こすだけのものでしかない。
最も危険な提案の一つがNO FAKES法案である。Copyright Weekはその危険性を再認識する良い機会になるだろう。我々はこれまでも同法案の問題点を詳細に指摘してきたが、皮肉なことに最も深刻な問題は、この法案が持つ広範な規定と厳しい罰則がオンライン表現の過剰な検閲を招くのではないかという批判に応えるために設けられた措置、つまりDMCAの通知・削除プロセスを模倣したセーフハーバー制度にある。
実質的に、プラットフォームが違法コンテンツの存在を通知された後、そのすべてを削除すれば免責されることになっている。しかし、プラットフォームが通知を無視すれば、無許可のレプリカへのリンクを張るだけでも法的責任を問われかねない。作成、送信、表示されたコピーは一つ一つが個別の違反とみなされ、1件につき5000ドルの罰金が科される――この額はまたたく間に膨れ上がっていくだろう。法案には一つだけ除外規定が設けられているが、これはあまり実用的とは言えない。プラットフォームが裁判所でコンテンツの合法性を客観的に信じていたと証明できれば、誤った判断をした場合の罰則が100万ドルを上限とされるというものだ。
このセーフハーバーは、プラットフォームと、そこでコンテンツを作成・共有・閲覧する何百万ものユーザにとって、まったく心許ない保護でしかない。DMCAの通知・削除プロセスは、表現の新たな場の発展に重要な役割を果たし、クリエイターとオーディエンスの出会いを支えてきた。この保護がなければ、著作権侵害に対する破壊的な法定罰則により、ハリウッドは基本的なインターネットサービスから、ソーシャルメディア、ニュースサイト、その他の著作権コンテンツを扱うあらゆるサービスをを潰すことができただろう。このようなサービスは、偶発的な侵害を助長するリスクがあまりにも高すぎるのだから。
しかし、DMCAの通知・削除プロセスは、合法的な表現を標的にするためにしばしば悪用されてきた。議会もこのリスクを認識し、いくつかのセーフガードを設けた。不当に標的にされたコンテンツを復活させるための対抗通知プロセスと、通知の悪用者に責任を問えるようにすることで、悪用を防ぐ仕組みだ。しかし残念なことに、一部の裁判所は後者の規定を誤って解釈し、送信者が主観的に虚偽を認識していたことの立証を求めるようになった。この基準を満たすのは極めて困難である。
デジタル・レプリカ権の提唱者たちは、この教訓を活かし、悪用を防ぐ強力な規定を備えた通知プロセスを作れたはずだ。プロバイダが通知の真偽を見極められない状況では、このような規定がより一層必要とされる。しかしNO FAKES法は、DMCAよりもさらに貧弱なセーフガードしか提供していない。例えばDMCAでは、発信者が反論してコンテンツの合法性を説明した場合、権利者側が訴訟を起こすか取り下げるかの判断を迫られる。一方NO FAKES法では、発信者が14日以内に裁判所で自らの権利を主張しなければならない。常駐の弁護士を抱える権力者ならともかく、大多数のクリエイター、活動家、市民ジャーナリストにはそうした余裕はない。
また、不当に標的にされた発信者が通知の悪用者に責任を問える規定も、DMCAと同様に抑止力としてはほとんど機能しないだろう。DMCAと同じように、発信者は虚偽が「故意」であることを証明しなければならず、これは送信者がいかに不合理な信念であっても、主観的に真実だと信じていれば罰を免れるという解釈を許してしまう。
提唱者たちが真にオンライン表現の保護を望むのであれば、最低限、対抗通知プロセスをDMCAに近い形に作り直し、悪用者にもプラットフォームと同様の客観的な基準を適用することを明確にすべきだ。そうしなければ、デジタル・レプリカの出現は皮肉にも、新旧あらゆる人間の創造を窒息させる口実になってしまうだろう。
What Proponents of Digital Replica Laws Can Learn from the Digital Millennium Copyright Act | Electronic Frontier Foundation
Author: Corynne McSherry / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: January 28, 2025
Translation: heatwave_p2p