以下の文章は、TorrentFreakの「BitTorrent to Fork IPFS to Create Decentralized File-Storage System」という記事を翻訳したものである。

TorrentFreak

人気のuTorrentクライアントを所有するBitTorrent社が、同社ネットワーク上に分散ファイルストレージシステムを立ち上げると発表した。同社は、オープンソースの惑星間ファイルシステム(IPFS:InterPlanetary File System)をベースにしたBTFSのテストを開始しており、2020年のローンチを目指しているという。

2018年、BitTorrent社は暗号通貨分野では比較的新規事業者のTronに買収された

両社とも分散化に強い関心を持っており、世界中のユーザが第三者から介入されることなくコミュニケーションできるようにするという目標を共有している。

TRONの暗号通貨についてはネット上でも絶えず話題にのぼっているが、100万を超えるuTorrentとBitTorrentメインラインクライアンのユーザたちは、この買収が何を意味しているのかを知りたがっていた。

TRON創業者のジャスティン・サンは昨年、シーダー(アップロードに貢献するユーザ)に金銭的報酬を与えることで、ダウンロードの高速化、コンテンツの保存期間を長期化させる構想を明らかにした。このシステムは現在も公開されてはいないが、サンは今週、Twitterを通じて、さらにエキサイティングなソフトウェアの開発をほのめかした。


(訳:次世代分散ファイルストレージシステムへようこそ! BTFSは、1億ものBitTorrentユーザノード、1000を超えるTRONの全ノード、グローバルなTronGridノードからなる世界最大の分散型P2Pストレージネットワークとなる。残り3日! 興奮が抑えきれないだろう?)

昨晩、約束どおり、BitTorrent社はこのツイートに肉付けした。

「ピア・ツー・ピアプロトコル、その製品のリーダーであるBitTorrentは、BitTorrent File System(BTFS)を組み込み、ユーザが自身のコンピュータ上のストレージを他のユーザや企業と共有できるようにする」と声明では述べられている。

既存のBitTorrentシステムは、すでにある種の分散ストレージシステムと呼べるものではあるが、BTFSはそれとは異なる。BTFSは惑星間ファイルシステム(IPFS)プロトコルをベースにし、中央サーバを使用せずにファイルをオンラインに保存する方法を提供するよう設計されているという。

サーバ上に保存する従来のファイルホスティングサイトとは異なり、ファイルはBTFSネットワークに参加する無数のコンピュータに分散して保存される。現時点では、トレントクライアントのuTorrentとBitTorrentメインラインに実装される可能性が高そうだが、TRONは詳細を明らかにしていない。

TRON創業者でBitTorrent社のCEOであるジャスティン・サンは、「BTFSは、誰もがウェブコマースの富を共有できる分散型インターネットの構築という、我々のミッションの継続的な一歩である」と述べている。

「我々は、BTFS、BitTorrent Speedブロックチェーン、BTTユーティリティトークンを利用して、世界中のユーザが仲介者や政府から介入されることなく、迅速かつプライベートにやり取りできるプラットフォームを作り上げている」

今週はじめのサンのツイートを読んだ多くのユーザが、BTFSのローンチは3日後だと考えたが、実際にはそうではない。BitTorrent社によると、BTFS Mainnetが2019年第3四半期に「パブリックアクセス」用にローンチされる予定だが、BTFS自体はまだテスト中で、開始は2020年以降だという。

IPFSの解説は、以下のビデオを参照していただきたい。

BitTorrent to Fork IPFS to Create Decentralized File-Storage System – TorrentFreak

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: June 03, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Alina Grubnyak

詳細がほとんど明らかにはなっていないのだが、このBTFSにネットワーク内のファイル検索機能がついたら、だいぶWinnyに近いものになりそう。ただ、BitTorrent自体が、インデックスや検索を外部化したことで難を逃れてきたので、あえて虎の尾を踏むようなことはしないのかもしれないが。