以下の文章は、電子フロンティア財団の「The Federal Government Just Can’t Get Enough of Your Face」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

米会計検査院によると、連邦政府の顔識別技術(FRT)システムの数は、それを使用する連邦機関の数よりも多いという。政府機関によるFRTの使用状況と計画に関する最新の報告書によると、調査対象となった24機関で、27のFRTシステムが利用されていた。そのうちわずか3機関――国土安全保障省、国防省、司法省――が18のシステムを国内の法執行・国家安全保障のために使用している。

だが、政府は現在の27のシステムでもまだ足りないようだ。司法省、国土安全保障省、内務省は「29の州と7つの自治体が保有する法執行のためのFRTシステム」にもアクセスしていた。さらに政府機関は悪名高きClearview AIとつながる4機関を含む、8つの商用FRTシステムにアクセスしていた。現在使用されているものだけでこれだけの数に上るのだが、今後2年のうちに、政府機関全体でさらに13のFRTシステムを開発・購入し、さらに2つの自治体システムとつながり、Clearview AIとさらに2つの契約を結ぶ計画が進められている。

EFFが何度何度も指摘してきたように、政府によるFRTの使用は、我々の基本的自由を損なう。法執行機関によるFRTの使用は、有色人種に偏った悪影響を及ぼし、国民全体を恒久的に容疑者として扱い、誤認逮捕の可能性を高める。実際、法執行機関はデモ参加者をスパイするためにFRTを使用している。

Clearview AIは多くの政府機関が使用する商用顔監視技術企業で、何の容疑もかけられていない数十億の人々のフェイスプリントを本人に無断で抽出し、法執行機関や政府機関に情報提供するために使用している。同社は現在、イリノイ州の生体情報プライバシー法(BIPA)に違反しているとして、イリノイ州裁判所と連邦裁判所で提訴されている。イリノイ州のBIPAでは、人物のフェイスプリントを取得する際には、オプトインの同意が必要とされている。最近、イリノイ州の判事が州裁判所での裁判を認めたことから、米国人権協会(ACLU)が個人のプライバシーを食い物にするClearview AIのビジネスモデルに対抗する道が開かれた。判事の意見はこちら、またEFFが提出したClearview AIに関する助言書はこちらこちらからご覧いただきたい。

多数のFRTシステムを手にした連邦政府は、すでに国民の権利を損ねている。だが、連邦政府は27のシステムやClearview AIなどの商用システムでは飽き足らず、まだあなたの顔を監視したいのである。使用を規制するだけではこの問題は解決することはなく、連邦政府による顔監視システムの使用を禁止するしかない。サンフランシスコミネアポリスボストンなど米国の複数の都市で、すでにそうした強力な条例が制定されている。

今、我々は議会に向けて声を上げなければならない。EFFはマーキー上院議員の顔識別および生体識別技術モラトリアム法を支持している。この法律は、政府によるFRTやその他バイオメトリクス技術の使用を禁止するものだ。我々のキャンペーンに参加し、議員に連絡し、この禁止令を支持するよう伝えてほしい。政府はあなたの顔だけでは満足しない。政府にFRTの禁止を突きつけねばならない。

米国会計検査院の報告書はこちら

The Federal Government Just Can’t Get Enough of Your Face | Electronic Frontier Foundation

Author: Chao Liu (EFF) / CC BY 3.0 US
Publication Date: September 15, 2021
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: Maksim Chernishev