以下の文章は、電子フロンティア財団の「Victory! Lawsuit Proceeds Against Clearview’s Face Surveillance」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

顔監視は、人種間の平等、プライバシー、表現の自由への脅威となっている。そのため、EFFは政府によるこの危険な技術の仕様を禁止する法律や、企業がフェイスプリント(訳注:顔の特徴から作成される生体識別子)を収集する前に当人から書面によるオプトイン同意を得ることを義務づける法律を支持している。

最悪企業の1つであるClearview AI社は、本人に無断で数十億の人々のフェイスプリントを抽出し、警察の容疑者の特定支援のためにそのフェイスプリントを利用している。最近では、マイアミ警察はClearview社と協力して、デモ活動の参加者を特定した。こうした警察と企業の協力関係はますます一般的になってきている。

Clearviewのフェイスプリントの作成はイリノイ州の生体情報プライバシー法(BIPA)に違反している。同州ではフェイスプリントの取得には本人のオプトインの同意が必要なのだ。そのため、同社は現在、多数のBIPA訴訟に直面している。ひとつはACLUとACLU of Illinoisが州裁判所に提訴したものだ。他にも国内各地の連邦裁判所で同社に対する訴訟が提起され、後にシカゴ連邦裁判所に統合された。Clearviewはいずれの裁判でも、BIPAが定める要件は修正第一条に違反していると主張している。我々はその主張を否定する法廷助言書をそれぞれ提出した。

先週、イリノイ州の判事は、Clearviewの修正第一条の抗弁を退け、同社の棄却申し立てを却下し、ACLUによる訴訟の続行を認めた。これは、Clearview社の利益よりも我々のプライバシーが重視されたことでもたらされた勝利だ。

有益な裁判所の推論

裁判所はまず、フェイスプリントの作成は「表現とその前提となるものを含んでおり、修正第一条で保護される」との判断の下に分析を進めた。我々はこれに同意する。EFFは長らく、職務中の警察を記録する権利と、コードを書く権利の修正第一条の保護を訴えてきた。

そして裁判所は、Clearview社のフェイスプリントの作成は、表現抑制の「厳格審査」(修正第一条における最高レベルの保護の1つ)を受けることはできず、「中間審査」を受けられるとした。Clearview社のフェイスプリントは公共の関心事を扱っておらず、もっぱら商業目的であることから、我々もこれに同意する。

中間審査を採用した裁判所は、BIPAのオプトイン同意要件をClearview社に適用することを支持した。裁判所は、生体情報監視から一般市民の「プライバシーとセキュリティ」を保護するというイリノイ州の重要な利益を強調し、ここには「個人の[生体情報]が侵害された場合には、有効な救済措置を講じることは困難である」という問題が含まれていると指摘した。オプトイン同意の要件は、「市民の生体情報の管理を、アイデンティティが侵害されうる個人に取り戻す」ためのものであり、「過剰なものではない」と説明している。

BIPAはClearview社のビジネスモデルを阻害するというClearview社の主張について、裁判所は次のように述べる。「そのプロセスが各州で適法であるかを考慮することなく、無分別に数十億ものフェイスプリントの作成に邁進していったことによるものである」。

2021年8月27日のクック郡(イリノイ州)巡回裁判所のパメラ・マクリーン・メイヤーソン判事の意見書はこちら

Victory! Lawsuit Proceeds Against Clearview’s Face Surveillance | Electronic Frontier Foundation

Author: Adam Schwartz (EFF) / CC BY 3.0 US
Publication Date: August 30, 2021
Translation: heatwave_p2p