以下の文章は、電子フロンティア財団の「Reproductive Privacy Requires Data Privacy」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation


EFFはすべての人のためのデータプライバシーを支持している。当然そこにはリプロダクティブ・ヘルスケアを求める人びとも含まれる。ロー対ウェイド判決に関する最高裁の判決文がリークされる以前から、EFFはリプロダクティブ・ジャスティスの擁護者とともに、ケアを求める人、ケアを提供する人、ケアに資源を提供する人たちのデータ・プライバシーを改善するために取り組んできた。我々は、医療を求める患者や中絶アクセスに携わる人びとのために、デジタルプライバシーとセキュリティのガイドを提供してきた。だが、それだけでは不十分だ。

それゆえ、EFFはカリフォルニア州のA.B.2091を支持している。ミア・ボンタ議員が起草し、Planned Parenthood Affiliates of Californiaが後援する法案だ。この法案は、カリフォルニア州で中絶を求める人びとの情報が州外に移転し、検察や民間団体に他州の中絶禁止法の執行に利用されることを防ぐためのものである。

具体的には、医療提供者やサービスプランが、カリフォルニア州法で保護されるリプロダクティブ・ヘルスを阻害する他州の法律に基づく召喚状や要請に応じ、中絶希望者や中絶を行った者に関する医療情報を開示することを禁止する。この法案はさらに、中絶を希望したり行った者を特定するような情報を開示させることも禁じている。EFFはリプロダクティブ・ライツの擁護団体ではないが、デジタルプライバシー、とりわけヘルス・プライバシーに関する我々の活動の歴史から、この法案を支持するものである。

またこの問題は、政府のデータ収集と収集目的外の使用を制限するという我々の活動とも密接に関係する。政府による情報収集には正当な理由があるものもあるだろう。だが国家に収集されたデータが目的外に悪用され、武器化されることがあまりにも多い。そして、その被害を最も受けているのは周縁化されたマイノリティグループだ。第2次世界大戦中の日系人強制収容に使用された国勢調査のデータから、現在移民を攻撃する武器として用いられるナンバープレート情報に至るまで、データ悪用の負のレガシーは未だ継承されているのである。

EFFはまた、カリフォルニア州内のデータが連邦移民政策の執行に悪用されないよう保護する法案を支持している。カリフォルニア州は、移民にとっても、リプロダクティブ・ヘルスを求める人にとっても、デジタル・サンクチュアリでなくてはならない。

この法案のスポンサーがカリフォルニア州議会で語ったように、「カリフォルニア州の法制度を悪用して、ここで治療や避難を求める人びとを標的にし、罰することができないようにしなくてはならない」のである。

このようなサンクチュアリを構築するための重要なステップとして、カリフォルニア州議会にはA.B. 2091を可決するよう強く求める。

Reproductive Privacy Requires Data Privacy | Electronic Frontier Foundation

Author: Heyley Tsukayama / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: May 10, 2022
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: Rodion Kutsaev