以下の文章は、Access Nowの「Beyond Twitter: digital safety tips to navigate the Musk takeover」という記事を翻訳したものである。

Access Now

テック億万長者のイーロン・マスクがTwitterの買収を完了してからの数週間、我々は懸念されるたくさんの騒動を目にしてきた。とりわけマスクの最も厄介な動きは、信頼・セキュリティ部門のスタッフを大幅に削減したことだ。世界中の活動家たちがナーバスになっているが、それには理由がある。Twitterを使い続けるにしても、別のプラットフォームに移行するにしても、あるいは複数のプラットフォームでアカウントを保持し続けるにしても、デジタルセーフティを高めるための措置を講じることが不可欠だ。

我々はそれを支援するためにデジタルセキュリティ・ヘルプラインを設置している。世界中の市民社会が24時間365日無料でアクセスできるデジタルセーフティ・リソースだ。だが、セキュリティのあり方は人それぞれであり、デジタルセーフティを向上させる画一的なソリューションは存在しないことに留意していただきたい。あなたが人権擁護者、ジャーナリスト、活動家である場合、あなたとあなたが置かれた特定の状況に合わせた緊急支援が必要かもしれない。そのような場合には、我々に直接コンタクトしてほしい

ここではTwitterのアカウントを安全に管理するための総合的なガイドを紹介したい。

Twitterのアカウントを開設している方向けのデジタルセーフティ・アドバイス

  1. 投稿やプライベートメッセージをダウンロードし、投稿をアーカイブ保存する。Twitterがどの程度安定するのか、あなたのデータが保護されるのかは未だ明確にはなっていない。アーカイブは、現在あるものを保存するための良い選択肢である。この方法についてはこちらのガイドをご参考に
  2. 多要素認証でアカウントを保護する。最近の大量解雇は、Twitterのエンジニアチームやセキュリティチームなど、会社全体に影響を及ぼしている。そのため、データ漏洩やのっとりなどが生じた場合、アカウントの復旧に時間がかかったり、手続きが複雑になる可能性がある。そうしたトラブルを避けるためにも、連絡先が最新のものであるかを確認し、アカウントの多要素認証追加のパスワード保護を有効にしよう。注意:SMSを使用した多要素認証が機能しなくなったという報告もある。
  3. 「Twitterでサインイン」機能の見直し。Twitterを「IDプロバイダ」として依存しないようにする。この機能を利用して他のサイトにアクセスしているのであれば、ユーザ名・パスワードによるログイン(プラス多要素認証)に変更するか、別のIDプロバイダに変更することをおすすめする。
  4. 古いツイートやプライベートメッセージの削除。TwitterのDMは暗号化されていないため、センシティブな情報の共有には使用すべきではない。TwitterDMのプライバシーとセキュリティに関する懸念は今に始まったことではないが、マスクの買収をきっかけに、古い公開ツイートを削除し、公開されたくないプライベートメッセージの削除を検討することをおすすめする。これは手動で行うこともできるが、Semiphemeralなどのツールを使用して、自動的に古いツイート、いいね、プライベートメッセージを削除できる。とりわけセンシティブな情報に関しては、メッセージをやり取りしていた相手にも削除するよう求めるのが望ましい。
  5. 発見・位置情報の追跡機能を無効化。電話番号やメールアドレスからアカウントを特定されないようにしたり、ツイートに位置情報が付加されないようにするなど、Twitterでの活動を可能な限りプライベートにするようにしよう。

PEN Americaがまとめた、Twitterをできるだけ安全・プライベートに使うためのデジタルセーフティ・ガイドも紹介しておこう

また、メンタルヘルスにも積極的に気を配ることをおすすめしたい。見たくない、関わりたくないコンテンツに関連するアカウントをブロック、ミュート、制限できることをお忘れなく。もし他の人がいじめやハラスメントを受けているのを見かけたら、オンラインの第三者としてどのような支援ができるのかについてはこちらをご覧いただきたい。

他のプラットフォームを探索したり、新規にアカウント登録する方向けのデジタルセーフティ・アドバイス

Twitterを退会したり、他のプラットフォームを探したりする場合、リスクとメリットを慎重に検討することをおすすめしたい。多くのユーザがMastodonという、異なる人や組織に運営される複数のサーバ(インスタンス)で構成されるオープンソースのネットワークに参加している。もしあなたが同じようにMastodonに参加するのであれば、多要素認証に使用など、同様のセキュリティ対策を講じる必要がある。また、インスタンスを選択する際にも、Twitterと同じように、Mastodonインスタンスの管理者が信頼できるかを検討する必要がある(Mastodonや類似のプラットフォームについて詳しく知りたい方は、EFFの「フェディバース」シリーズをご参考に)。

終わりに

Twitterは欠点や将来への懸念はあるものの、活動家、ジャーナリスト、人権擁護者にとって、情報を共有し、互いに繋がり、組織化するための重要なツールであることに変わりはない。Twitterがこの危機を乗り越えようと乗り越えまいと、我々の運動の重要性は変わらない。新生Twitterが、プラットフォーム上の市民社会の声を保護し、基本的人権の行使を支援することの重要性を認識することを期待しつつ、我々は皆さんの安全を守るために戦い続ける。

Elon Musk Twitter takeover: digital safety tips and resources

Author: Access Now Helpline Team and Méabh Maguire / Access Now (CC BY 4.0)
Publication Date: November 23, 2022
Translation: heatwave_p2p