Sci-Hubは大手学術出版社Elsevierに訴えられ、数百万ドルの損害賠償請求に直面している。法廷闘争の末、Sci-Hubはドメイン名の1つを失った。しかし、Sci-Hubは依然として争う姿勢をみせている。科学知識への自由でオープンなアクセスのために戦い続けるようだ。
学術出版社Elsevierは昨年、数百万本の学術論文の無断配信を停止すべく、Sci-Hubやその関係サイトを訴えた。
Sci-Hubは通常の海賊版サイトとは異なるものの、その活動は違法であるElsevierの弁護団は主張した。そして昨秋、ニューヨーク連邦地裁はSci-Hubに仮差し止め命令を下した。
この差し止め命令は、Sci-Hubの運営者にElsevierコンテンツの提供を禁止するものであったが、これは実現しなかった。無施路この裁判に注目が集まったことで、Sci-Hubを閉鎖させるどころか、サイトへのアクセスをさらに増やす結果に終わった。
しかし、この差し止め命令 により、Elsevierはドメイン名レジストラにSci-Hubのドメイン名を停止させることが可能となった。そのため、もともと使用していたSci-Hubの.orgドメイン名は停止されてしまった。数日前、中国のレジストラNow.cnも同様にSci-Hub.ioを停止したようである。
ドメイン名の解決は停止し、WHOIS情報によれば現在は「リザーブ」状態にある。TorrentFreakは、Sci-Hubの創設者Alexandra Elbakyanに話を伺ったところ、レジストラはElsevierから送られてきたクレームについて言及する通知を送ってきたという。
Elbakyanは、すぐにSci-Hub.bzやSci-Hub.ccなどの『バックアップ』用ドメイン名を追加し、現在はそのドメインで運用されている。要するに、ユーザがブックマークを変更すれば、Sci-Hubへは依然としてアクセス可能な状態にある。
こうしたバックアップ用のドメイン名に加え、IPアドレス31.184.194.81に直接アクセスしたり、Torネットワーク経由でアクセスすることもできる。ドメインを停止されたとしても、こうしたアクセス方法が影響を受けることはないだろう。
ウクライナ生まれのElbakyanは、この戦いを諦めるつもりはないようだ。彼女は自身の行為が特権階級にない数百万の研究者たちを助け、研究結果への自由なアクセスを提供することによって、正当な研究をすることができると確信している。
権利者の許可があろうとなかろうと、Sci-Hubのサービスには莫大な関心が寄せられている。このサイトは現在、5100万以上の学術論文をホストしており、月に数百万のビジターがいるという。
多くが学術雑誌へのアクセスが制限されている国――たとえばイラン、ロシア、中国――から来ている。しかし先週、サイエンス誌が公表した分析によると、アクセスが容易な国であっても、多くの研究者がSci-Hubを訪問しているという。
Elsevierは、次にとるべき措置について検討しているという。Elseveirは先日、ニューヨーク連邦地裁にSci-Hubとその運営者にどのような「潜在的追加的救済措置」を取りうるかについて調査中であると報告している。
しかし、ドメインが押収されようとされまいと、アカデミック・パイレーツはSci-Hubに押しかけ続けている。
“Elsevier Complaint Shuts Down Sci-Hub Domain Name – TorrentFreak”