中国・広西チワン族自治区の男性が、政府の許可なくVPNサービスを提供していたとして、5年6カ月の懲役刑が科された。さらに男性は、中国のグレート・ファイアウォール(金盾)を回避するためのソフトウェアと機器を提供したとして、7万6000ドルの罰金を科された。

権力掌握を確固たるものとすべく、情報アクセスのコントロールに腐心する中国政府。中国国民がインターネット上で閲覧できるコンテンツを制限し、社会への影響を最小限にとどめようとしている。

その目的を達成するために構築されたのが、いわゆるグレート・ファイアウォール(金盾)――外国コンテンツへのアクセスの可否を決定する複雑なシステム――だ。しかし、先進技術を手に入れた市民は、仮想プライベートネットワーク(VPN)などの迂回技術を利用し、この巨大な検閲システムを回避することができる。

多数の市民がこうしたサービスを利用していたが、2017年1月、中国政府は対策の強化に乗り出した。グレート・ファイアウォール回避ツールを提供する業者の摘発を開始したのだ。

政府は、正規の電気通信事業者免許を得ずにそのようなサービスの運営を行うことは犯罪だとする声明を発表した。この問題に対する中国政府の本気度は相当なもののようだ。

中国検察当局の発表によると、広西チワン族自治区の呉翔陽は、無許可でVPNサービスを構築、提供したとして、5年6ヶ月の懲役、50万元(約800万円)の罰金を科せられたという。

呉翔陽は2013年から2017年にかけて、自身のウェブサイトFangouVPN / Where Dog VPNと、中国版eBay / AmazonのショッピングサイトTaobaoを介して、VPNサーバへのアクセスを販売していたとされている。

男性が販売したメンバーアカウントは、中国のグレート・ファイアウォールをすり抜け、外国のウェブサイトへのアクセスを可能にした。また、中国当局の意に反し、広範なインターネットアクセスを可能にするVPNサービスを組み込んだカスタムハードウェアルータを販売してていたという。

検察によれば、違法VPN事業により、792,638元(約1350万円)の収益をあげ、50万元の利益を得ていたという。サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、この男性は今年3月、8000人の外国人、5000の企業が同サービスを利用して国内で検閲されているウェブサイトを閲覧しているとツイートしていたという。

このケースは少なくとも、VPNアクセスの提供により中国市民が厳重な罰を受けた2番目の事例といえるだろう。9月には広東省東莞市の鄧景偉(26)が、VPNサービスを1年に渡り提供していたとして9ヶ月の懲役刑を科せられたことが明らかになっている。
VPN Provider Jailed For Five Years After Helping Thousands Breach China’s Firewall – TorrentFreak

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: December 22, 2017
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Scott Webb