以下の文章は、電子フロンティア財団の「The Growing Intersection of Reproductive Rights and Digital Rights: 2024 in Review」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

読者の皆様にとっては、もうおなじみの年末恒例の形式だろう。年の瀬を迎えるにあたり、我々の活動を振り返り、勝利を数え、失敗から学び、より良い未来への戦略基盤を築いていく。リプロダクティブヘルスとデジタル市民の自由の交差点における戦いは、激動の1年となった。警察による位置情報の違法な共有への対抗、データブローカー業界との戦い、そしてリプロダクティブ・ジャスティスのための幅広い運動との連携構築――我々は休む間もなく活動を続けてきた。

令状なしのリアルタイム位置情報追跡に対する戦い

位置情報市場は規制のない悪夢のような産業であり、誰もののプライバシーに実存的な脅威をもたらしているが、特にリプロダクティブヘルスのための戦いに巻き込まれている人々にとってはなおさらだ。最近のブログ記事で、我々はLocateXという深く憂慮すべき位置情報追跡ツールがもたらす特有の危険性について言及した。このツールは、スマートフォンデバイスの位置情報に基づいて個人の正確な居場所を確認することができる。警察は、どのような背景があろうと、望む相手のリアルタイムの位置情報追跡のための令状取得を、金で買い取るべきではない。しかし、中絶を禁止する保守的な州では、LocateXの問題点は、数多くの人々にとってきわめて深刻な問題となりうることを示している。

デジタル市民の自由とリプロダクティブ・ジャスティスにおける連携の構築

この運動における我々の役割は明確だ。デジタルセキュリティに関するヒントの提供、プライバシーと表現の自由の権利の推進、そしてコミュニティのリーダーたちとの関係を築き、彼らの活動を支援し高めていくことである。今年、我々は次世代の思想家たちとリプロダクティブ・ジャスティス運動のリーダーたちを招いてライブストリームパネルを開催した。見逃した方は必見だ。我々が共有する闘争、関心事、解放への道筋を認識し強調することこそ、まさに運動を戦いぬき勝利を勝ち取る方法なのである。

警察によるALPRデータの違法共有を阻止するための戦い

法執行機関による州外のALPR(自動ナンバープレート読み取り装置)データの違法な共有を阻止するため、長年にわたる戦い続けてきた幸いにも今年、我々は勝利を祝うことができた。サクラメントの大陪審が、この種のデータを違法に共有していた2つの警察機関を調査する申し立てを承認したのだ。我々はこの勝利を喜ばしく思うが、問題のある機関はこの2つだけではない。これが警察も法の上にはいないという先例となることを期待し、そのために引き続き戦っていく。この勝利は、来年も続く戦いの勢いを作り出すことだろう。

デジタル監視のリスクに関する知見の共有

デジタル監視の脅威に関する専門知識は常に我々から始まる。この問題領域に直面するプライバシーとセキュリティのリスクについて、我々は現場の運動家たちとの対話とトレーニングを通じて、ここ数年で多くを学んできた。その活動から得た知見を集め、必要とする人々のためにアクセスしやすい形式にまとめた。舞台裏では、この研究は活動家や運動家たちに提供するデジタルセキュリティトレーニングにも活かされている。

中絶へのアクセスが引き続き困難な戦いとなる不確実な未来に向かって、我々は得意分野で貢献を続けていく。人々のプライバシーの権利を監視し、悪質なインターネット法と戦い、オンラインでの表現の自由を保護し、他者との連携を構築していく。皆様のご支援に感謝申し上げる。

本稿は、我々EFFの「Year in Review」シリーズの一部である。2024年のデジタルライツをめぐる戦いに関する他の記事はこちら

The Growing Intersection of Reproductive Rights and Digital Rights: 2024 in Review | Electronic Frontier Foundation

Author: Daly Barnett / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: December 27, 2024
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: Colin Lloyd