以下の文章は、電子フロンティア財団の「The 2024 U.S. Election is Over. EFF is Ready for What’s Next.」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

選挙の喧騒が落ち着きを見せ始めた今、EFFは次の時代への備えを万全に整えている。私たちのミッションは変わらない。テクノロジーはあなたの声を抑え込むものであってはならないし、監視や抑圧の道具となってはならない。テクノロジーはあなたのためにこそ存在しなければならない。この先、未知の領域に足を踏み入れることもあるだろう。しかし、私たちはどんな未来が訪れようとも万全の体制を整えてきた。EFFは、最も重要な局面で真価を発揮する組織だ。

どのような状況であれ、EFFはあらゆる機会を捉えユーザとともに立ち上がる。ユーザのプライバシー、表現の自由、そしてイノベーションを推進するという私たちの使命は、いかなる障壁も阻むことはできない。私たちはいつでも行動を起こす用意がある。

前回のトランプ政権時代、EFFは守勢に終始することはなかった。むしろ、国内外でデジタルライツの新たな地平を切り開いてきた。路上での抗議活動に参加する人々を支援するため、Surveillance Self-DefenseガイドとSecurity Education Companionの内容を充実させた。前者は憲法修正第1条で保障された権利を行使する際の自己防衛術を、後者は仲間たちの安全を守るためのノウハウを提供している。

アライたちと共に、政府による顔認識監視システムとも闘い、この危険なテクノロジーの使用を禁止する条例を各地で実現してきた。携帯電話のデータをより厚く保護するよう最高裁判所に求め、Carpenter v United States事件ではその主張が認められた。最高裁は、携帯電話事業者が収集する位置情報について、「数年にわたり、一日一日、一瞬一瞬の個人の行動を克明に記録したもの」と認定した。これにより、警察が大量の位置情報を入手する際には令状が必要となったのだ。

これまでに勝ち取った権利を、政府や企業が奪おうとした時も、私たちは毅然と立ちはだかった。「ゴースト」や「クライアントサイドスキャニング」という巧妙な手法で、エンドツーエンド暗号化にバックドアを仕掛けようとする試みを阻止した。オンラインの表現の自由を支える基盤であり、仲介者の保護にも不可欠なSection 230の擁護にも力を注いできた。COVIDパンデミックの際には、人々の安全と健康を守るという名目で、必要以上にプライバシーを侵害し表現の自由を制限しようとする動きを綿密に分析し、これに対抗した。

2016年から2020年のトランプ政権下で、政策立案者や企業がオンライン上の権利を脅かすたびに、私たちは立ち上がった。バイデン政権下でもその姿勢は変わらない。次の4年に向けて、私たちが築き上げてきた土台の一部を紹介しよう。

  • 国境監視問題。国境地帯の監視テクノロジーに投じられた数億ドルが、そこに暮らし、働き、避難を求める人々、そして日々数千人もの人々のプライバシーにどう影響しているのか。私たちは10年にわたってその実態を明らかにしてきた。入国時にデバイスを捜索・押収された人々の権利を守り、検問所や出入国地点に張り巡らされた自動ナンバープレート読取装置のネットワーク、米墨国境に林立する465基以上の監視塔の存在を地図上に示してきた。さらに、ICEによる刑事司法データや監視データへのアクセスを制限するサンクチュアリデータポリシーの制定も推進している。
  • Surveillance Self-Defense。プライベートな通信を守ることの重要性は日に日に増している。そこで私たちは、Surveillance Self-Defenseガイドの内容を充実させ、より多くの言語に翻訳してきた。誰もが実践できるセキュアなコミュニケーションの手引きを提供しているが、これは特にジャーナリスト、デモ参加者、活動家、LGBTQ+の若者など、弱い立場に立たされている人々にとって命綱となるものだ。
  • リプロダクティブライツRoe v. Wade判決が覆される遥か以前から、法執行機関によるテック企業やデータブローカーからのデータ収集を最小限に抑える取り組みを続けてきた。Dobbs判決後は、カリフォルニア州外の人々も含めた生殖医療とトランスジェンダー医療のプライバシーを守る複数の法案の成立を後押しした。しかし、これは始まりに過ぎない。リプロダクティブジャスティス運動の仲間たちと手を携え、さらなる前進を目指している。
  • 政権移行期メモ。次期政権発足時には、AIから知的財産、監視、プライバシーに至るまで、包括的な政策提言を行う予定だ。前回の政権交代時も、デジタルライツに関する詳細な提言を行い、重要な政策議論の道標となった。

これ以外にも、私たちは万全の準備を整えている。前途は決して平坦ではなく、まだ道筋が見えない部分も少なくない。しかし、EFFが効果的な活動を続けられる理由の一つは、長期的な視野を持って闘いに臨んでいることにある。現政権が終わり、次の政権が誕生しても、私たちは歩みを止めない。テック政策における私たちの超党派的なアプローチが成果を上げているのは、私たちがユーザのためにのみ行動しているからだ。

私たちは個別の企業や政治家、特定の政権に反対して闘っているわけではない。私たちはあなたのために闘っている。それは誰が政権を握ろうと、決して変わることはない。

The 2024 U.S. Election is Over. EFF is Ready for What’s Next. | Electronic Frontier Foundation

Author: Cindy Cohn / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: November 6, 2024
Translation: heatwave_p2p