以下の文章は、TorrentFreakの「Russia Says it Will Soon Begin Blocking Major VPNs」という記事を翻訳したものである。
今年3月、ロシア当局はNordVPN、ExpressVPN、IPVanish、HideMyAssなど大手VPNプロバイダー10社に対し、同国ブラックリストに掲載されたサイトをブロッキングするよう命じた。だが大半のVPNプロバイダがこの通達に応じなかったことを受けて、ロシアの通信監視当局は、近い内に9つのVPNサービスへのブロッキングを開始することを明らかにした。
ロシアは世界でも有数のサイトブロッキング先進国だ。
著作権侵害を理由に数千のサイトがブロッキングされており、他にも過激主義コンテンツをはじめとするさまざまな「禁止情報」を掲載したとして多数のサイトへのアクセスが遮断されている。
ブロッキングの対象となるサイトのドメインは、同国のブラックリストに掲載されている。各種サービスプロバイダは、このデータベースに接続し、サイトへのアクセスを遮断することを義務づけられている。ここにはVPNプロバイダも含まれている。そう、一般に検閲を回避するために利用されているサービスだ。
今年3月、通信監督当局のロスコムナゾール(通信・情報技術・マスコミ監督局)は、大手VPNプロバイダ10社――NordVPN、ExpressVPN、TorGuard、IPVanish、VPN Unlimited、VyprVPN、Kaspersky Secure Connection、HideMyAss!、Hola VPN、OpenVPNに対し、データベースへの接続を書面で指示した。だが、そのほとんどは協力を拒否した。
たとえばNordVPNは、顧客とのサービス契約に違反するとして、断固として応じない構えを示した。またIPVanishはいかなる検閲にも応じないと拒否。VPN Unlimited、VyprVPN、OpenVPNもこれに続いた。
名指しされたVPNサービスは、命令に応じるまでに30日間の猶予が与えられているが、ロスコムナゾールによれば、そのほとんどが頑として命令を拒否しており、応じたのは1社だけだという。
ロスコムナゾールのアレクサンダー・ジャロフ局長は「VPN10社に通知を送付した。そのうちの1つ、Kaspersky Secure Connectionだけがレジストリに接続している」とインターファクス通信に語った。
「他の企業からは回答はなく、さらに自社ウェブサイトにロシア法を遵守しないことを明言した。法律では、企業が法を遵守しない場合には、ブロッキングされなくてはならないと明記されている」
さて、ロスコムナゾールはその脅しを実行に移す用意は整っているようだ。ジャロフ局長はブロッキングのスケジュールについての質問に対し、問題は1ヶ月以内に解決するだろうと話す。
法律を遵守しないプロバイダは、同国のブラックリスト(FGIS)に掲載され、同国ISPはユーザのアクセスをブロッキングしなくてはならなくなる。このブロッキングがウェブサイトに対するものなのか、VPNサーバに対するものなのかは不明だ。
後者であるとしても、当局とVPNプロバイダの間で戦いが始まるかどうかもわからない。TorGuardはすでにロシア国内からサーバを引き上げ、ExpressVPNのリストからもロシアのサーバはなくなっている。OpenVPNも同様の措置を講じているが、VyprVPNとHideMyAssは現在もモスクワにサーバを置いている。
たとえロスコムナゾールがこれらのVPNプロバイダすべてをブロッキングしたとしても、ほかにも多数の選択肢が残されていることをジャロフ自身認めている。
「これら10のVPNが、市民の利用できるすべてのプロキシのすべてというわけではない。残念なことではあるが、ブロッキングされたとしても大きな問題にはならないだろう」とジャロフ局長は締めくくった。
Russia Says it Will Soon Begin Blocking Major VPNs – TorrentFreak
Publication Date: June 07, 2019
Translation: heatwave_p2p