以下の文章は、電子フロンティア財団の「Trans Youths Need Data Sanctuary」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

トランスジェンダーの若者がジェンダーアファーマティブ・ヘルスケア(性別適合医療)を受けることを禁止する州が増えている。その結果、ケアを必要とするトランスの若者とその家族は、州外――つまりヘルスケア・サンクチュアリ州まで足を運ばなければならない。

トランスジェンダーの若者のためのヘルスケア・サンクチュアリは、同時にデータ・サンクチュアリでなければならない。

今年はじめ、テキサス州知事は州児童福祉当局に対し、トランスジェンダーの子どもにトランスアファーマティブ・ヘルスケアを受けさせた親を児童虐待の疑いで調査するよう命じた。州当局がこの命令を受けて、州外に子どもを連れてケアを受けさせた親への調査を開始することが予想される。当局はケアが実施された場所から証拠を得ようとするだろう。

この問題に対処するため、カリフォルニア州のスコット・ウィーナー上院議員は、S.B.107を提出した。EFFはこの法案を強く支持する。この法案は、トランスジェンダーの若者へのジェンダーアファーマティブ・ケアを処罰しようとする州外の機関・団体への個人データの開示を制限することによって、ケアのためにカリフォルニア州を訪問する家族を3つの点で保護するものである。

第一に、カリフォルニア州の州警察・地方警察は、州内のケア提供に関する情報を、個人および州外の機関に提供できなくなる。

第二に、カリフォルニア州の医療提供者は、子供にジェンダーアファーマティブ・ヘルスケアの受診を許可したことに起因する州外の民事・刑事訴訟について、子どもにケアを受けさせた人物に関する医療情報を開示できなくなる。

第三に、カリフォルニア州上級審の事務官は、子供にケアの受診を許可した人物について、州外の法律に基づく民事召喚状を発行できなくなる。

データ・サンクチュアリは、州がすべての人びとを歓迎する上で極めて重要である。最も安全な場所であるためには、州は州外の団体・組織から不当に標的にされた住民・訪問者のデータプライバシーを保護しなければならない。

たとえば、州・地方警察は、移民に関する個人データをICEに開示してはならない。それゆえ、カリフォルニア州法は、政府機関がALPR(自動車ナンバー自動読取装置)位置情報を連邦政府や州外の当局に開示することを禁止している。同様に、プロチョイス州は、中絶医療の受診のために訪れた人びとの個人データをアンチチョイス州に送るべきではない。カリフォルニア州の別の法案(S.B.2091)は、 リプロダクティブ・ヘルスケアのために訪問する人びとに、データサンクチュアリを提供するものである。EFFはこの法案も強く支持している(訳注:邦訳記事)。

Trans Youths Need Data Sanctuary | Electronic Frontier Foundation

Author: Adam Schwartz / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: Agust 26, 2022
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: Alex Jackman