Blizzard Entertainmentは、人気ゲームのチートやハックを行う開発会社との著作権侵害訴訟に勝利した。欠席裁判において、裁判所はドイツ企業Bosslandに850万ドル(約9.3億円)の損害賠償を支払うよう命じた。加えて、このチートツール業者は米国内での製品のマーケティング、販売を禁じられた。

ほとんどのゲーマーは、正々堂々と戦った末の勝利を望んでいる。しかし、なかには勝つためにチートに頼る輩もいる。

ゲーム産業の成長とともに、「チート」や「ハック」、ボットを提供する業者も急速に成長してきた。ドイツ企業のBosslandもその分野のフロントランナーだ。

Bosslandは、World of Warcraft、Diablo 3、Heroes of the Storm、Hearthstone、OverwatchなどのBlizzard作品のチートツールやボットを開発した。ユーザがそれを使えば、対戦相手よりも不正に優位に立てる。Blizzardがこうしたチートツールを歓迎するはずもなく、両社は米国、ドイツ両国で法廷闘争に突入した。

先週、カリフォルニア地方裁判所で行われていた米国での裁判に判決がくだされた。Bosslandが米国での訴訟に応じなかったことから、Blizzardに有利な欠席判決がくだされることになり、数百万ドルの損害賠償の支払いが命じられることになった。

裁判所は、Bosslandが開発したチートツールがBlizaardのチート保護技術「Warden」を回避し、DMCAに違反したと認定。Bosslandはゲームをリバースエンジニアリングし、ユーザに改変版のゲームをプレイさせたことで、Blizzardの著作権を侵害し、ユーザに同様の著作権侵害を行わせたのだという。

「Bosslandは、Bossland Hacksを製造し、Bossland Hacksを公衆に提供し、ユーザにBossland Hacksのインストールおよび使用方法を教授し、派生作品を作るためのソフトウェアの使用を可能にしたことによって、著作権侵害に著しく寄与した」と判決文で述べられている(PDF)。

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この侵害行為は、アンチ・チート保護を無効化することでゲームメーカーに損害を与え、その後、チーターは他のプレイヤーのゲーム・エクスペリエンスを台なしにし、興味を失わせることで更なる損害を与えているのだという。

「Blizzardは公正なゲームプレイを提供するため、Bossland Hacks対策として相当額の費用を投じており、結果的にBlizzardに損害、損失が発生していることは確かである」と判決文にはある。

「加えて、Blizzardのゲームプレイヤーは不正を行うプレイヤーに不満を抱き、それがBlizzardのゲームへの不満を招き、プレイを止めてしまうことにもなる。したがって、ゲーム内のチート行為は、Blizzardの信用や評判を害するものともなる」

その結果、裁判所はBlizzardが申し立てた米国内の42,818件の著作権侵害について、8,563,600ドルの法廷損害賠償を支払うよう命じた。加えて、Blizzardは174,872ドルの弁護士費用の請求権を与えられた。

将来的な損害を防ぐため、Bosslandは米国内でこのチートツールを宣伝、販売することも禁止された。これは「Honorbuddy」、「Demonbuddy」、「Stormbuddy」、「Hearthbuddy」、「Watchover Tyrant」、およびBlizzardのゲームのチートを目的としたあらゆるソフトウェアが対象となる。

重要な判決ではあるが、このドイツのチートツール業者が抗弁できなかったことを考えれば、この命令はそれほど驚くことでもない。

Bosslandのズィータン・レッツィーCEOは以前、欠席判決が出されたとしても、法廷闘争は継続するとTorrentFreakに語っていた。どのような判決がだされようと、いまのところは米国外で広く提供され続けることになるだろう。
Blizzard Beats “Cheat” Maker, Wins $8.5 Million Copyright Damages – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: April 3, 2017
Header Image: George Pagan III
Translation: heatwave_p2p