米国の後を追うように、欧州連合(EU)は著作権侵害の「監視リスト」を公表する計画だという。このリストは、利害関係者からのヒアリングに基づき、著作権侵害を助長するサイトやサービスを特定し、当該国の政府に対策を講じるよう圧力をかける。米国通商代表部(USTR)の監視リストとの違いは、EUのリストには米国企業も含まれているということだ。
今月初め、米国通商代表部は「悪評の高いマーケットの特別レビュー」の最新版を公表した。表向きは世界中の著しく酷い知的財産権侵害者を特定したリストである。
この年次リストの概要は、米国政府が他国政府にどのような著作権執行を望んでいるかを知るのに役立つ。
この最新版には、「The Pirate Bay」や「Rapidgator」、「Gostream」などの伝統的な海賊版サイトに加え、ロシアのソーシャルネットワーク「VK」や中国のマーケットプレイス「Alibaba」、「Taobao.com」なども記載されている。
このリストには米国外のサイトのみを特定しており、米国のサービスが含まれることはない。しかし今週、欧州委員会が発表した欧州独自の著作権侵害監視リストの取り組みであれば、そうした制約は当てはまらないだろう。
「欧州委員会は、ステークホルダーからのヒアリングから得られた情報を徹底的に検証した上で、『模造品・海賊版管理国リスト2018』を公表する。これは定期的に更新される」と欧州委員会の提案にはある。
「このリストは、最も問題のあるマーケットプレイス――特にオンラインマーケットプレイスに――を特定、記述するものである。その運営者や所有者、地方自治体や政府が、知的財産権侵害製品やサービスの利用可能性を減じる措置を講じるよう促すことを目的としている」
近年、各種著作権者団体が、GoogleやCloudflareなどの米企業に対し、著作権侵害対策を十分に行っていないと繰り返し不満を述べており、こうした不満が反映されるかも興味深いところだ。
オンラインマーケットプレイスでも同様の動きが見られるかもしれない。米国の監視リストに掲載されたAlibabaは、複数の米オンラインマーケットプレイスも海賊版・模造品の問題を抱えているのに、批判されてはいないと指摘している。
「AmazonやeBayはどうなのか? USTRは米国企業のデータを除外しているため、比較はできない」とAlibabaは反論した。
EUの監視リストは、米国の監視リストにインスパイアされたものであることは明白だ。米国の監視リストとの類似点が多く、一言一句同じコピーされた(あるいは海賊版)かのような文言も見られる。
たとえばEUは、監視リストは「法令違反の結果の反映を意味するわけでも、欧州連合による一般的な知的財産権保護および執行環境の分析を反映するものでもない」と記している。
一方、数日前に公表されたUSTRの監視リストには「法令違反の結果の反映を意味するものではない。また、米国政府による、リストに挙げられたマーケットに接続する国の一般的な知的財産権保護および執行環境の分析を反映するものでもない」とある。
要するに、国外のサービスを悪辣な侵害者とレッテル貼りしているにもかかわらず、一方的な主張に過ぎないということである。報告書には明確な証拠は求められておらず、EU自身が問題について独自に研究を行うわけでもない。
米国の例に従えば、監視リストは著作権者の苦情をまとめ、当局が署名しただけのものということになる。こうした性格のものであるがゆえに、中国はUSTR報告書の客観性を疑わしいと主張しているわけだ。
著作権者や利害関係者は2018年3月31日までにコメントを提出するよう求められている。リストの最終版は今年後半にも公開されるようだ。
The EU is Working On Its Own Piracy Watch-List – TorrentFreak
Publication Date: January 24, 2018
Translation: heatwave_p2p