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CloudflareはALS Scanとの著作権侵害裁判の証拠として、ネオナチサイトDaily Stormerへのサービス停止を持ち込まれることを望んではいないようだ。ALS Scanは、Cloudflareがインターネットからコンテンツを削除できる証拠としてこの問題を取り上げているが、Cloudflareはこの件を裁判に持ち込むことで、「連座制」に繋がる怖れがあると懸念している。

昨夏、Cloudflareのマシュー・プリンスCEOは、問題を引き起こしていたネオナチサイトDaily Stormerのアカウントを停止することを決めた。

「寝覚めの悪い朝だ。インターネットから追い出すことにしよう」と彼は発表した。

この決断は、後にインターネットの検閲と言論の自由について議論を始めるための「知的訓練」であると説明された。たしかにその点では成功したかもしれない。しかし、事態はプリンスが思いもよらぬ方向に進んでいく。

Cloudflareはそれまで、裁判所の命令以外の理由で、いかなるアカウントも削除しないという方針を貫いてきたため、この決断は大きな驚きを持って迎えられた。とくに著作権者は、なぜ最も悪名高い海賊版サイトのサービス停止には応じないのに、このサイトのサービス停止を自ら行うのか、と不思議に思っただろう。

Daily Stomerへのサービス停止は、アダルトパブリッシャALS Scanが提訴していた著作権侵害責任の裁判にも波及した。CloudflareのCEOはこの問題についての説明を求められており、その回答は審理中に陪審員の判断材料となるだろう。

Cloudflareとしてはなんとしても避けたい事態である。数日前、同社は審理からヘイトグループに関連した証拠や議論を除外するよう裁判所に申し立てた。

「Cloudflareは、ALS ScanがCloudflareのヘイトグループへのサービス(サービスの停止、非停止を含む)に関連して提出しようとしている証拠や議論について、本件から除外することを法廷に求める」と同社は記している。

「これには、CloudflareがかつてDaily Stormerにサービスを提供していたこと、および、2017年8月にバージニア州シャーロッツビルで起こった悲劇的な事件後にCloudflareが同サイトへのサービス停止を決定したことが含まれる」

No hate group

ALSはこれまで、CloudflareのCEOがあるサイトへのサービス停止を任意に決定する一方で、ほかの場合には裁判所の命令を要求していた事実を繰り返し批判してきた。

ALSは、Cloudflareが特定のウェブサイトに措置を講じることができること、そしてそれが同社の運営に大きな影響を及ぼすことを主張するための材料として使うことができる。

もちろん、Cloudflareはそれに同意しない。アカウントを停止することはできても、 Cloudflareは単にキャッシュされたバージョンをホストしているだけであり、インターネットから侵害コンテンツを「削除」できるわけではないという主張だ。同社によれば、ALSが陪審員の判断を歪ませるためにこの問題を利用しようとしてるという。

「ALSがこの件を持ち込もうとするのは、その価値を立証するためのではなく、むしろ感情的な影響を引き起こすためである」

「このような証拠が、ほぼ確実に陪審員に強い感情を引き起こすことを考えれば、Cloudflareへの不公正な偏見という不当かつ容認し難いリスクをもたらす」

Cloudflareは、Daily Stormerへのサービス停止は著作権とは無関係であり、したがって本件と関連させるのは不適切だという。同社がDaily Stormerのアカウントを停止したのは、同サイトがCloudflareは同サイトの見解を支持していると主張したためであった。

Cloudflareは連座制や感情的な影響を回避するため、審理においてこの問題を取り上げることを禁止するよう裁判所に要請した。

「Cloudflareは裁判所がこの申立を認め、Daily Stomerのような『ヘイト』ウェブサイトへのインターネットサービス提供に関するCloudflareの規定ないし非規定に関する証拠をALSがが陪審員に提示することを禁じる命令を下すことを求める」


ヘイトグループへのサービス規定および停止に関連した証拠の除外を求めるCloudflareの申立はこちら(pdf)
Cloudflare Doesn’t Want Daily Stormer Evidence at Piracy Trial – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: March 5, 2018
Translation: heatwave_p2p
カテゴリー: CopyrightLawsuit