以下の文章は、NiemanLabの「ProPublica journalists walk off the job in first U.S. newsroom strike over AI」という記事を翻訳したものである。

水曜日、全米最大級の非営利報道機関の労働組合の1つであるProPublica Guildのおよそ150名が、24時間ストライキに突入した。

約20名の組合員が勤務時間中にニューヨーク市ハドソン・スクエア地区にあるProPublica本社前でピケを張り、同時にシカゴとワシントンD.C.のオフィス前でもピケラインが形成された。4月にしては珍しく冷え込んだマンハッタンの朝、ストライキ参加者たちは防寒着に身を包みながら、シュプレヒコールを上げ、「ProPublicaの労働者に公正な賃金を」「Thoughts Not Bots.」と書かれたプラカードを掲げた。

組合は初の労働協約締結に向けて2年半にわたり交渉を続けてきたが、この1日限りの行動は、いくつかの契約提案を受け入れるようProPublica経営陣に新たな圧力をかけることを狙ったものである。組合が求めているのは、解雇における「正当事由」の保護、生活費上昇に見合う賃上げ、そしてAI導入に伴う人員削減を禁止する契約条項だ。

「2年半にわたって交渉の場で静かに進めようとしてきましたが、こうして外に出ていることには自分でも驚いています」と語るのは、映像ジャーナリストでProPublica Guildの契約支援チームメンバーであるケイティ・キャンベル。「決着をつけなければなりません」

水曜日の行動は、AIからの保護を少なくとも一因として米国の主要報道機関がストライキに踏み切った初めてのケースとなった。

交渉委員会のメンバーによれば、3月20日に組合員の92%の支持を得てストライキ権が承認されて以降も、ProPublica経営陣の姿勢にはほとんど変化がないという。AI技術による人員削減を制限する条項をめぐる対立もそのままだ。経営側は対案として、AI関連の人員削減に対する退職金の拡充を提示している。

「ジャーナリズムへの信頼は非常に脆い状態にあります」とキャンベルは述べ、ソーシャルメディア上の「AIスロップ」やAI生成の偽情報の台頭を指摘する。「こうした問題でこそ先頭に立つべきではないでしょうか。人間が作ったものだと信頼できる場所として、みながいつでも頼れる存在になるチャンスなのですから」

ソーシャルメディアでは、組合が読者に対してProPublicaのウェブサイトへのアクセスや記事へのエンゲージメントを控え、「デジタルピケラインを越えない」よう呼びかけた。また、水曜午後に予定されていたニュースアプリに関するオンラインイベントへの参加も控えるよう求めた。このイベントの企画に携わった労働者たちは、開催時刻にはピケラインに立っていた。水曜日に開始された、ProPublicaに組合の契約条件を受け入れるよう求める署名は、木曜朝までにおよそ4,200筆を集めている。

Nieman Labへの声明で、ProPublicaの最高プロダクト・ブランド責任者であるタイソン・エヴァンスは次のように述べた。「ProPublicaは、これまでスタッフに提供してきた充実した給与・福利厚生を確固たるものにする、公正かつ持続可能な初の労働協約の締結に尽力しています」。組合のストライキ権承認に関する記事では、エヴァンスは、ProPublicaが18年の歴史の中で一度もレイオフを行ったことはなく、「今後の変化にも責任を持って対応できると確信している」と語っていた。

The NewsGuild of New York会長のスーザン・デカラヴァは、前日ProPublicaオフィス前のストライキに合流した。ピケラインでの合間に彼女が語ったところによれば、今回のストライキは自身の組合にとって前例を作るものだが、報道機関におけるAI導入をめぐるストライキとしてはおそらく最後にはならないだろうという。

「メディアの経営者とジャーナリスト、メディア労働者の間で、AIが職場でどう使われるか、誰に発言権があるかをめぐる、より集中的な対立が増えていくでしょう」と彼女は述べた。

まず、The New York Times Guildは、前回の協約が2月に期限切れとなったことを受け、現在契約交渉に入っている。すでに初期の交渉セッションではAIに関する文言が中心議題となっており、組合員の著作物がAI学習用にライセンスされた際に得られる収益の一部を組合員に分配するという提案も含まれている。

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水曜日の昼に行われた集会では、ストライキ中のProPublica従業員たちがブルース・スプリングスティーンの「Dancing in the Dark」やフェミニスト労働歌「Bread and Roses」をアコースティックで演奏した。その演奏の背景にいたのは「スキャビー・ザ・ラット[卑劣なネズミ]」――スト破りを糾弾するために全米の労働組合が使う巨大なネズミのバルーンである。

CWA(全米通信労働者組合)やAFL-CIO(米国労働総同盟・産業別組合会議)のニューヨーク市の労働指導者たちが群衆に向けて演説したほか、The NewsGuild of New Yorkの別の支部であるBusiness Insiderの組合委員長リリー・オーバースタインもスピーチを行った。オーバースタインは、Business Insiderが昨年スタッフの21%をレイオフした事例を挙げ、AIからの保護を求める闘いを続けるよう組合員を鼓舞した。当時の全社向けメモで、CEOのバーバラ・ペンは、この決定の一環としてBusiness Insiderが「AIに全面的に舵を切る」と述べていた。

ストライキにとどまらず、ProPublica Guildは報道機関におけるAI導入をめぐる紛争を全国労働関係委員会(NLRB)にも持ち込んでいる。月曜日、組合は「AIポリシーの一方的な実施」を理由に不当労働行為の申し立てを行った。この申し立ては、ProPublicaが先月、組合員との交渉を経ずにAIの編集指針をウェブサイト上で公開したと主張するものである。

「我々は公開前にこの指針を交渉委員会に事前に共有しており、実質的な修正意見は出ませんでした」とエヴァンスは声明で述べ、この申し立てを「根拠がない」と評した。

AIをめぐる対立が今回のストライキの中で最も目新しい要素ではあるが、一部の従業員にとってはより根本的な雇用保護こそが最も切実な問題である。その中には、従業員の解雇に正当かつ文書化された理由を求める「正当事由」の規定も含まれる。

「大きな調査報道や受賞歴のある仕事をしている人たちが、突然経営陣に追い出される。それが一番の懸念です」と語るのは、エンゲージメント担当記者で組合員のエイジア・フィールズ。「ProPublicaには素晴らしい評判があり、その評判に値する組織です。ジャーナリズムの質は非常に高い。けれども、経営陣が基本的な保護にすらこれほど抵抗してきたと知れば、皆驚くのではないでしょうか」


アンドリュー・デックはNieman LabでAIを担当するスタッフライターである。あなたのニュースルームでAIがどのように使われているだろうか。情報提供はメールBluesky、またはSignal(+1 203-841-6241)まで。

ProPublica journalists walk off the job in first U.S. newsroom strike over AI | Nieman Journalism Lab

Author: Andrew Deck / Nieman Journalism Lab (CC BY-NC-SA 3.0 US)
Publication Date: April 9, 2026
Translation: heatwave_p2p

カテゴリー: AI