米国の著作権訴訟の大半は、一般にはほとんど知られていない2つの企業によって起こされている。Malibu MediaとStrike 3 Holdingsは、今年だけでも1700件以上の訴訟を提起し、この四半期にはファイル共有訴訟の最高記録を更新した。
大手絵エンターテイメント・コングロマリットが海賊版ストリーミングに矛先を向ける中、米国の裁判所は、依然としてBitTorrnet関連の裁判ばかりを扱っている。
欧州では、いわゆる「著作権トロール」に対しては、強烈な反撃が起こっている。その中にはインターネット・プロバイダによる反撃さえ含まれている。
しかし米国では、彼らはほとんどニュースにはならない。しかし、訴訟件数は急増している。
TorrentFreakが全米の裁判記録から収集したデータによれば、この半年で1700件以上の訴訟が起こされていることが確認された。これら訴訟の大半は、「ジョン・ドゥー(匿名)」の被告に対するものであった。
この数字は、昨年に比べて大幅に増加している。Lex Machinaによると、昨年1年間に米国で起こされたファイル共有関連訴訟は1019件であり、2018年上半期の時点で前年を大幅に超えている。
実際、今年の第2四半期(4月〜6月)には、1011件の訴訟が新たに起こされており、これまで最多だった2015年第1四半期の902件を上回る。
数字は激増しているが、これらの訴訟はアダルト業界の一握りの企業によって引き起こされている。実際、ほぼすべての訴訟は、Malibu MediaとStrike 3 Holdingsの2社が起こしたものだ。
Malibu Media(X-Art)は、数年前からこの領域に君臨してきた。今年も積極的に訴訟を起こしており、上半期だけで681件にのぼる。
一方、その王座を狙う新たなライバルが登場した。Blacked、Tushy、Vixenといったウェブサイトでアダルト動画を配信するStrike 3 Holdingsは、同期間に976件の訴訟を起こしている。
Strike 3 Holdingsは比較的新しい企業ではあるが、その手口はこれまで培われてきたものを踏襲している。Malibu Mediaとの繋がりも明白で、同社の弁護士だったエミリー・ケネディが、現在、Strike 3のインハウス・ロイヤーを務めている。
非アダルトの著作権者として、BitTorrentユーザを唯一訴えていたのは、Bodyguard Productionsであった。同社は『ヒットマンズ・ボディガード』のダウンローダーに対して、数十件の訴訟を起こしている。これらの訴訟の多くは、複数の『ジョン・ドゥー』が被告リストに名を連ねている。
米国で起こされている典型的なファイル共有訴訟の大半は、2つのアダルト企業で占められていることを意味する。ファイル共有以外の裁判を含めても、両社で今年同国で起こされた全著作権裁判の半数以上を占めている。
訴訟の急増は今年のはじめから顕著であった。これは大きな変化ではあるが、訴訟がもたらす結果はまったく変わらない。
彼らの最終的な目的は、容疑をかけられたIPアドレスのアカウント保有者を特定し、法廷外で数百ドルから数千ドルの和解金をせしめることにある。今年に入ってからの急増を見るに、このスキームは依然として有効だということだろう。
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本稿で扱ったデータは、Pacerにて手動で収集したものである。正確性には可能な限り配慮したが、誤りを見つけた場合にはぜひご指摘いただきたい。我々は上記企業が記載された全訴訟リストをカウントした。
US Online Piracy Lawsuits Break Record Numbers – TorrentFreak
Publication Date: July 4, 2018
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: EFF Photos / CC BY 2.0