以下の文章は、Creative Commons Blogに掲載された”It’s now or never: EU copyright must protect access to knowledge and the commons“という記事を翻訳したものである。
クリエイティビティへのアクセスやその共有の未来を左右するEU著作権改革に関する重要な決定が差し迫っている。9月12日、欧州議会はデジタル単一市場における著作権指令案への投票を行う。
あなたがEU市民であれば、https://saveyourinternet.eu/にアクセスし、欧州議員に有害な第13条アップロードフィルターを阻止し、バランスの取れた著作権改革を支持するよう求めてほしい
欧州議員は、オンラインプラットフォームにアップロードされた全てのコンテンツをスキャンし、登録された著作物と一致した場合に、その公開を防ぐアップロードフィルターを義務づける第13条に反対票を投じるべきである。アップロードフィルターは、著作権侵害と、著作権の例外・制限にもとづく適法な著作物の利用とを区別できず、それゆえ表現の自由を制限する。ビデオのリミックスやミーム、パロディ、コード、さらにはオープンにラインセスされたコンテンツを使用した作品の共有すら危険にさらされることになる。
欧州議員は、報道コンテンツのスニペットの使用に対し、パブリッシャーからライセンスを得たり、使用料を支払わなければならないという不必要で非生産的な報道出版者の権利を持ち込む第11条に反対票を投じなければならない。
欧州議員は、教育に関する著作権の制限を定めた第4条、「読む権利はマイニングする権利」とするようテキスト・データマイニングに関する権利制限を定めた第3条を含む修正案を支持するべきである。ほかにも、リミックスやユーザ生成コンテンツの共有を拡大する権利制限や、公共空間にあるアートの写真を撮影し、共有できる一般的な慣習を可能にする「パノラマの自由」など、支持されるべき修正案がある。
欧州議会の法務委員会は、6月に極めて有害な措置を含む指令案を承認したものの、7月5日の総会では、この指令案にさらなる議論を重ねるよう採決された。数十万の人々が声を上げ、第13条が義務づけるコンテンツフィルターのような後ろ向きな提案を取り下げ、著作権をより進歩的なものとするよう求めたためだ。
著作権指令の大半は、エンターテイメント産業や出版業界といった、強力な著作権者の利益という狭い範囲に適うよう調整されている。こうした強力なプレイヤーたちは、デジタル技術とインターネットがもたらした革新的な変化による減収を抑止したいと考えている。
しかし、彼らの声は、インターネットにおけるクリエイティビティの多様性を代表するものではない。インターネットでは誰もが創作者である。我々は知識を、芸術的、政治的表現を、写真やホームビデオを、ニュースやコードでさえも、WikipediaやYouTube、オープンアクセスジャーナル、オンラインの学習サイトを始めとする世界規模のコモンズで、誰かと共有したいのだ。
研究や教育へのユニバーサルなアクセス、そして新時代の開発、成長、生産性を牽引する文化への参加という我々のビジョンを達成するためには、アクセスや共有を支援する進歩的な政策こそ必要とされている。
いま欧州には、特定業界の利益だけでなく、すべてのクリエイターとユーザを真に保護する、進歩的な著作権のルールが必要とされている。欧州議員は、クリエイティビティやイノベーション、オンライン共有の未来を懸念する無数の声に耳を傾けなくてはならない。
It’s now or never: EU copyright must protect access to knowledge and the commons – Creative Commons
Publication Date: September 9, 2018
Translation: heatwave_p2p