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米知的財産執行調整官は、新たな著作権執行計画の策定を進めている。これに関連して、ハリウッドを代表するMPAAは、注目すべきアイディアを提出した。MPAAは、侵害コンテンツのフィルタリングや、海賊版サイトからの参照トラフィックの遮断を実施させるべく、ホスティング・プロバイダを含むインターネットサービスに更なる協力を求めている。

米国の法律では、ホスティング会社は中立的な仲介者とみなされている。しかしMPAAによれば、ホスティング会社は海賊版のエコシステムにおいて、より大きな責任を負うべきだという。

先週、知的財産執行調整官(IPEC)のヴィシャル・アミン宛の意見書の中で、MPAAは海賊版問題に政府の更なる助力を求めている。

IPECは、新たな知的財産執行のための共同戦略計画へのパブリックコメントを募集しており、MPAAの意見書はこれに答えたものだ。

MPAAは、正規版の供給という点では大幅な進展が見られたものの、海賊版は依然として大きな問題であると指摘。その理由として、さまざまな著作権侵害対策を実施できるはずの外部のインターネットサービスから協力が得られないことを挙げた。

MPAAのニール・フライド上級副社長は、「オンラインプラットフォームがコンテンツの窃盗やその他不正行為を抑止せず、さらにはその説明責任を果たしていないことが、事態をより悪化させています」という。

意見書では、決済サービスや広告主との自発的合意が強調されているが、それだけでは状況を改善するには不十分であり、他のプラットフォームや仲介者からの協力が必要だと訴えている。

ここには海賊版サイトを閉鎖できるホスティングプロバイダが含まれている。しかしMPAAによると、多くのホスティングプロバイダは、自発的な協力を拒否しているという。

「ホスティングサービスに知的財産権侵害を禁止する利用規約への明白な違反、さらには悪質な違法行為を通知したとしても、対応を拒否されている。オンライン・エコシステムにおけるホスティングプロバイダの中心的役割を考えれば、そのような姿勢には困惑せざるを得ない」とMPAAは記している。

その上で、この状況を改善するために、ホスティングプロバイダが実施すべき具体的対処として、法律で義務づけられているテイクダウン通知への対応、反復的侵害者へのサービス提供の凍結に加え、自動的著作権フィルタの導入を求めている。

「ホスティングプロバイダは、自動的コンテンツ認識技術を導入し、フィルタリング――DMCA通知をユーザに転送し、一定数の通知を受領した反復的侵害者へのサービス提供を凍結し、凍結ユーザからの再登録を防止する――を実施しなければならない」とMPAAは提案する。

加えて、ホスティングプロバイダは、著作権者と海賊版サイトとの訴訟において下された裁判所の差止命令に対する取り消しを求めるべきではないという。MPAAはさらに、ホスティングプロバイダは、侵害を疑わせる大量のトラフィックに目を光らせ、海賊版サイトからの参照トラフィックを徹底的に弾かなければならない、とも主張する。

MPAAは、ホスティング会社に「特定ファイルへの大量のトラフィックを抑止するダウンロード帯域制限を実装」することにより、「ファイルを迅速に削除」し、「既知の海賊版サイトからの参照トラフィックを遮断」することを求めている。

MPAAの提言の一部

これはかなり踏み込んだ提案だ。参照元サイトに基づく遮断(referral ban)というのは、ホスティングプロバイダがパイレート・ベイなどのサイトのリンクからアクセスしてきたユーザを遮断することを意味する。

この参照元サイトに基づく遮断は、適法なストレージサービスに侵害コンテンツを置く海賊版リンクサイトへの対策ではあるのだが、その結果、巻き添え被害が生じることになる。

当然のことながら、ホスティング会社は海賊版対策を「前進」させるための唯一のウェブサービスではない。MPAAは、Cloudflareのようなリバースプロキシサーバにも、侵害サイトへのサービス提供を打ち切るか、少なくとも実際のロケーションを開示するよう求めている。

ISPは一般に(少なくとも自発的には)海賊版サイトをブロッキングする必要はない。しかしMPAAは、司法管轄区域の裁判所命令があればそれに従うはずだと主張する。

MPAAはIPECに対し、これらインターネットサービスによる「自発的」対応を促す継続的な取り組みを求めている。もちろん、表現の自由を侵害する可能性があるという批判が予想されるが、MPAAはむしろその逆だと主張する。

「違法な活動を抑止すれば、コミュニケーションや商取引を快適に行ったり、コンテンツの創作や適法なアクセスができる安全な環境を作り出すことができ、それによって表現の自由が促進される」

インターネットサービスとの自発的合意の推進は、氷山の一角に過ぎない。

MPAAはさらに、WHOISデータへのアクセスを再び可能にすること、貿易協定に適切な著作権保護条項を盛り込むこと、司法省を始めとする政府機関に海賊版対策を強化することなどをIPECに要請している。

MPAAが米知的財産執行調整官に提出した意見書の全文はこちらから(pdf)

Hollywood Wants Hosting Providers to Block Referral Traffic From Pirate Sites – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: November 25, 2018
Translation: heatwave_p2p
Header Image: @Sasha • Stories on Unsplash