メキシコの海賊版対策団体が公表したデータによると、人口の97%が違法に音楽を消費したことを認め、50%がストリームリッピングを行なっているという。しかしSpotifyは、メキシコシティが、ニューヨークやロンドンを始め世界中の都市に勝る、合法「音楽ストリーミング都市」だと報告している。
海賊版に関して言えば、メキシコは世界的にも違法コンテンツ消費の多い国とされている。同国はたびたびUSTR報告書で批判されており、執行の進捗状況は低いと評価されている。
報告書では、メキシコでは依然として海賊版が大きな問題であるとされている。国内メディアが報じた在メキシコ米国商工会議所(AmCham)のデータによれば、メキシコ人の8割が海賊版コンテンツを消費し、しかもその多くが重大な侵害行為ではないと考えているという。しかし、AmChamは同国のエンターテイメント業界に大打撃を与えていると指摘する。
この数字が事実であれば、音楽の海賊版問題はさらに深刻だ。なんと97%が違法に音楽を入手したと回答し、50%がツールやサービスを介してYouTubeから音楽をストリームリッピングしたと報告しているという。レコード権利保護協会 (APDIF)のアルフレド・トルヌ総裁は、メキシコ国内の海賊版消費は世界のトップ5に入ると述べている。
こうした悲観的な終焉シナリオに落胆する人びとがいる一方で、現状をネガティブなものと捉えていない人たちもいる。
昨日のビルボードの報道によると、Spotifyはメキシコの消費者を讃え、メキシコシティを世界的な「ストリーミング音楽都市」と呼んでいるという。この人口2200万人の都市は、ニューヨークやロンドン、その他の都市よりも多くのSpotifyリスナーを抱えている。
2013年にメキシコ進出を果たしたSpotifyは現在、この国を「世界最大規模のリスナーの拠点」だという。このことは、海賊版レートが高いとしても、首都のみならず、国内全体が極めて健全な状況にあることを示唆している。
しかし、音楽では成功を収めていたとしても、他ジャンルの権利者たちは海賊版の蔓延に失望している。
映画協会のアナ・マリア・マガニャ会長によれば、同国インターネットユーザの77%が映画を違法に視聴し、そのうち64%が違法な視聴を後ろめたく思っていないのだという。実際、メキシコは盗撮の主要流出源として名指しされてもいる。
「メキシコはいまや、世界第2位の盗撮映画のソースと言われている。こうした盗撮映画は違法にインターネットに放流され、新作映画市場に大打撃を与えている」と米商務省国際貿易局は10月に発表している。
「メキシコは2002年にWIPOインターネット条約を批准したが、TPM(技術的保護手段)の回避とRMI(権利管理情報)の保護に関する法律を制定していない。IP犯罪の捜査と訴追、特にインターネット上のIP犯罪については、政府全体の予算削減が継続しているため不十分である」としている。
今年8月、米政府はメキシコと新NAFTA貿易協定を締結した。この協定では、映画盗撮犯に対する刑事制裁を含む、強力かつ効果的な著作権保護の提供と執行の実施が定められている。
Mexico Piracy is Rampant But Spotify Uptake is Huge – TorrentFreak
Publication Date: November 22, 2018
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: José Guadalupe Posada