CloudflareやGoogle、Facebookなどのグローバルテクノロジー企業の業界団体「CCIA」は米政府に対し、EUの著作権改革計画について警告を発している。テクノロジー大手によれば、第13条は米国のデジタル経済に大打撃をあたえ、世界中にその影響を与える可能性があるという。
米国はトランプ政権のもと、新たな貿易協定の締結に向けて懸命に取り組んできた。
同政権はEUとの新たな貿易協定にも取り組んでおり、最近、米国通商代表部(USTR)がパブリックコメントの募集を開始した。
今週、Amazon、Cloudflare、Facebook、Googleをメンバーとして抱えるコンピュータ&コミュニケーション産業協会(CCIA)は業界の意見書を提出した。
この意見書には、EUが進める著作権改革(アップロードフィルタリングへの扉を開く第13条)への警告が綴られている。
この提案が、EU域内でも激しい議論を巻き起こしていることは周知のことである。しかし、米テクノロジー業界は、これが米国経済に大打撃をあたえる可能性があると米国政府に警告している。
CCIAによれば、この改革案は、現行のEU法が規定するセーフハーバー保護を弱め、大手インターネットサービスの責任を強化することになりうると警告する。また、これはDMCAのセーフハーバー規定とも矛盾することになるとも指摘する。
「この著作権指令案は、2000年EU電子商取引指令における米国インターネットサービスへの確立された保護を弱め、ホスティングプロバイダに各種著作物の自動的『ノーティス・アンド・ステイダウン』をという実現不可能なフィルタリングを義務づけることで、仲介者を保護する安定した法的基盤を混乱させるものである」
「この指令案が採択されれば、長らく続いてきた保護は劇的に弱められ、現代のサービスプロバイダがその保護から外される恐れがある」とCCIAは述べている。
テクノロジー大手は、この提案がEU当局による米国企業の狙い撃ちであると指摘する。彼らはこのプランが、事実上のアップロードフィルタ義務づけをもたらすと恐れがあるという。
「現在の指令案の第13条では、オンラインサービスは事実上、コンテンツの識別技術を調達ないし開発し、実装することを義務づけている。視聴覚作品、画像、テキストなどあらゆるインターネットコンテンツの著作権様態に基づく積極的フィルタリングを強要するという決定は、危惧すべきものであり、明らかな誤りである」
現時点の提案では、第13条は一般的な監視義務を課すものではない。しかし、インターネットサービスが自動フィルターを実装することなく、侵害されたコンテンツを再びアップロードされないようにするのは不可能に近い。
さらにCCIAは指令案の曖昧さへの懸念も指摘している。ホスティングプロバイダをはじめとするサービスが、どのような要件を満たせば安全でいられるのかが明確ではない、というわけだ。
こうした不確実性と米国法との齟齬は、テクノロジー企業にとっては頭の痛い問題だ。そこで現在交渉中の新貿易協定において、米国政府がこうした懸念を念頭に交渉を進めることを求めている。
第13条の最終条文は現在作成中であり、次のトリローグは今週末を予定している。CCIAは米国政府に、米国経済に悪影響を及ぼしうる可能性があることを念頭に置き、この進展を中止するよう求めている。
「この条文は現在、トリローグにて協議が進められている。EU著作権改革の最終条文にこれらの条項が含まれた場合、EU市場における米国のデジタル経済に大打撃をもたらし、EUにおけるビジネスを展開する米国プラットフォームのリスクが極めて増大する恐れがある」
CCIAの意見書は、「EUの国際的影響力を考えると、これは世界的に波及する可能性が高い」としている。
もちろん、これは一方からの主張である。RIAAは米国通商代表部に提出した意見書の中で、べつの側面を強調している。
RIAAは第13条について言及はしていないものの、EUの著作権改革が抱える2つの問題として、「著作権セーフハーバーの広すぎる適用規定」「オンラインプラットフォームの説明責任の欠如」を警告している。
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CCIAの意見書の写しはこちら(pdf)、RIAAの意見書はこちら(pdf)。
Tech Giants Warn US Govt. Against EU’s ‘Article 13’ Plans – TorrentFreak
Publication Date: December 12, 2018
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: openDemocracy / CC BY-SA 2.0