EU著作権指令第13条（著作権フィルター）の国内法整備を急ぐフランス

TorrentFreak

今週、欧州議会はあらたな著作権指令を承認した。現在は理事会の正式承認を待っている段階だが、既にフランスは数ヶ月以内の施行を目指している。仏文化相によると、第13/17条は新たな海賊版対策法の一部として施行され、その法案には、海賊版ストリーミングサイトの国家ブラックリストの導入も盛り込まれるという。

今週、著作権指令を承認した欧州議会は、明確なシグナルを出している。

僅差で否決された条文の見直しを求める動議について、一部の欧州議員は間違った投票ボタンしてしまったと述べているが（訳註：正しく投票ボタンを押していれば見直しの賛成票が上回っていた）、この投票結果が覆ることはない。

欧州議会は、賛成348票、反対274票、棄権36票で、著作権指令の最終案を変更なしで承認した。理事会がこの指令案を承認しなければ、再び交渉が行われることになるが、その可能性は極めて低い。

これまで待たされ続けたフランス政府は、全速力で国内法の整備を開始しようとしている。

リールで開かれたSeries Mania Festivalに出席したフランク・リステール仏文化相はスピーチの中で、この投票結果を「突破口」だと表現した。欧州は大きな反発を受けながらも、断固たる決意を持って、デジタル時代に即した著作権を確立する歴史的機会を手に入れたとのだという。

「テクノロジー大手からこれまで経験したことのない強い圧力をかけられ、ソーシャル・ネットワークでは大規模な虚偽情報キャンペーンが展開されたにもかかわらず、欧州はよく持ちこたえた。欧州は降伏しなかった。欧州はよく踏ん張った」

文化相は、この著作権指令を必要不可欠な法令ではあるが、インターネットユーザに何の影響もないと語っている。しかし実際には無数のクリエイターに影響が及ぶことになるだろう。

第13条（紛らわしいことに最終条文では17条に変更された）は、インターネットプラットフォーム、特にYouTubeに対し、著作権者に公正な補償を支払うことを義務づけている。

「これは、作品のインターネット配信から生み出される価値を、クリエイターに適正に分配するために、プラットフォームの責任を強化する第一歩となります」とリステール文化相は言う。

「将来、YouTubeは、そのプラットフォーム上で配信される作品のクリエイターに正しく補償しなくてはならなくなるでしょう」

フランスは、この著作権指令がなくても同様の法律を制定し、施行することはできた。しかし、文化相は欧州全体の合意が必要であったと強調する。1国が大手インターネットプラットフォームへの規制を導入したとしても、その国へのサービス提供を遮断すれば簡単に回避できてしまうためだ。

フランスは現在、欧州議会の支持を得たことで、一秒たりとも無駄にすることなく、この計画を進めようとしている。

「この著作権指令を一刻も早く国内法として整備し、施行したい」とリステール文化相はいう。

指令の大部分は、政府が今夏提出を予定する海賊版対策法案『視聴覚法（Audiovisual law）』に盛り込まれることになっており、ここに第13/17条も含まれることになる。

第13/17条は、多くの商業インターネットプラットフォームに、著作権者からコンテンツのライセンスを得ることを求めており、それができない場合には、侵害コンテンツを削除し、再アップロードをされないようにしなくてはならない。

条文には、反対派が恐れる「アップロードフィルタ」という文言は含まれておらず、文化相のスピーチでも言及はされてはいない。しかし彼は、政府には「コンテンツの認識技術を促進し、監督する使命」があるという。

仏ニュースサイトNextInpactによれば、この使命は、Hadopi、国立映画センター、文化芸術財産高等評議会（CSPLA）に委託されることになるという。興味深いことに、このミッションレターは、投票よりずっと以前の3月1日に送付されている。

この視聴覚法案では、著作権指令の国内法化に加え、さまざまな海賊版対策が提案されようとしている。リステール文化相は「海賊版との戦いの再開」に役立つものだと話している。

フランスは長きに渡って海賊版対策の最前線に立ち、ファイル共有ユーザに対する「3ストライク」システムを初めて導入した国でもある。しかし、海賊版の大半がストリーミングに移行してしまった今日では、別のアプローチが必要になる。

基本的に、古典的な海賊版サイトはいかなる法律にも従わないことから、フランスは人気の海賊版ストリーミングをターゲットにした国家ブラックリストを導入するつもりのようだ。このブラックリストは、明白な海賊版サイトを捉えると同時に、ミラーサイトも標的としている。

この新たな海賊版対策法は、今夏にも提出されることになっている。

France Plans to Add ‘Article 13’ to New Anti-Piracy Law This Summer – TorrentFreak