以下の文章は、コリイ・ドクトロウの「It’s extremely good that Claude’s source-code leaked」という記事を翻訳したものである。

Pluralistic

Anthropicの開発者がきわめて初歩的な設定ミスを犯した。その結果、同社の主力コーディングアシスタント製品であるClaude Codeのソースコードが流出し、現在さまざまな関係者によって精力的に解析されている。

https://news.ycombinator.com/item?id=47586778

これを受けてAnthropicは、インターネット上に「削除通知」を大量にばらまいている。これは1998年デジタルミレニアム著作権法(DMCA)第512条によって設けられた、著作権に基づく特殊な検閲要求であり、いかなる証拠も、まして司法命令さえも必要とせずにコンテンツを削除させることができる。

https://www.removepaywall.com/search?url=https://www.wsj.com/tech/ai/anthropic-races-to-contain-leak-of-code-behind-claude-ai-agent-4bc5acc7

著作権は「厳格責任」の法令であり、侵害していることを知らなかったとしても処罰されうる。さらに、ウェブホスティング事業者、ソーシャルメディアプラットフォーム、検索エンジン、加えてキャッシュサーバをも含む「仲介者」も、そのユーザが行った著作権侵害について責任を問われうる。その賠償額は莫大で、DMCAは侵害1件につき15万ドルの損害賠償を定めている。

DMCA第512条は、この厳格責任を相殺するために設けられた。そもそも、あるユーザが著作権を侵害しているかどうかをプラットフォームが知る術はない――たとえ人気の楽曲や動画がアップロードされたとしても、そのユーザがその作品の配信ライセンスを取得しているかどうか(あるいは本人がその作品の制作者であるかどうか)を事業者が判断することは不可能だ。ユーザにライセンスの証明をアップロードさせる煩雑な仕組みを作ったとしても、負担が増えるだけで、著作権侵害を防げるわけでもない。結局、ユーザが提出した配信ライセンスが本物かどうかを、仲介者が見分けることはできないのだから。

そこで妥協案として、DMCA第512条は仲介者を責任から免除する。ただし、著作権を侵害しているとの通知を受けた際に、その素材を「迅速に削除」することが条件だ。実質的に、誰であれ任意の仲介者に通知を送り、インターネット上のあらゆるものを削除させられることを意味する。通知を受けた仲介者はそれを無視することもできるが、もしその通知が正当なものだった場合、侵害1件につき最高15万ドルの賠償責任を負う。仲介者はまた、ユーザに「異議申し立て」(告発への反論)を認め、素材を復旧することもできるが、そうする義務はない。仲介者がユーザの投稿する作品の権利関係を判断できないのと同様に、削除通知を送ってきた相手がその削除を要求する正当な権利を持っているかどうかも判断できない。実際のところ、どれほど根拠薄弱な削除通知であっても、何かをインターネット上から――永久に――消し去れる可能性はかなり高い。

DMCA第512条はその成立当初から、企業による検閲の切り札であり、不祥事を隠蔽するための最高の手段であり続けてきた。私がこの問題に最初に関わったのは2003年のことだ。ディーボルトの投票機部門から流出した内部メールのメモから、同社が自社の投票機のセキュリティに深刻な欠陥があることを知りながら、それでも全米各地の選挙管理委員会に販売していた事実が露見した。選挙管理委員会は、2000年のBush対Gore裁判における「パンチカードの紙片[hanging chad]」騒動――これがブッシュの大統領職窃取につながった――を受け、機械式投票機の更新を急いでいた。

https://en.wikipedia.org/wiki/Brooks_Brothers_riot

言い換えれば、この問題の利害はこれ以上ないほど大きかった。ディーボルト、つまりCEOが公然たるG・W・ブッシュ支持者で「ブッシュに票を届ける」と公言していた企業は、米国最大の投票機サプライヤーだった。同社は投票機に欠陥があること、選挙当日に頻繁にクラッシュして投票数を消失すること、そしてディーボルトの技術者が地元の選挙担当者と結託して、消失した投票数を秘密裏に「推計」し、選挙担当者にもディーボルトにも責任が及ばないようにしていたことを知っていた。

https://www.salon.com/2003/09/23/bev_harris

ディーボルトは流出メモを封じ込めるために、DMCA第512条に基づき、数千通の削除通知をばらまいた。最終的にEFFが介入し、Online Policy Groupに無償の法的支援を提供して、ディーボルトの通知の洪水に歯止めをかけた。

https://www.eff.org/cases/online-policy-group-v-diebold

ディーボルトは、高い公益性を持つ情報の検閲のために著作権を悪用した最後の企業ではない。怪しげな「評判管理」企業が一大産業を形成し、クライアントが世間の目から消したい情報をインターネットから消し去る代わりに、高額な報酬を受け取る。こうした企業のお得意さまは、性的虐待者、戦争犯罪人、拷問の実行者、詐欺師といった面々で、彼らの武器は削除通知だ。ジェフリー・エプスタインはオンライン上の自らの経歴を浄化するために、「評判管理」サービスに数万ドルを費やしていた。

https://www.nytimes.com/2026/03/18/business/media/jeffrey-epstein-online.html

犯罪に関する真実の情報をインターネットから消し去るために削除制度を利用する方法はいくらでもある。私が最も気に入っているのは、Eliminaliaが使っている手口だ。同社は(業界のお粗末な水準から見ても)とりわけ悪質な評判ロンダリング業者である。

Eliminaliaはまず、WordPressサイトを立ち上げ、クライアントに不利な報道記事をこのサイトにコピーする。その際、投稿日をオリジナルよりも前の日付に偽装し、あたかも先に公開されたかのように見せかける。署名を架空の人物に差し替えたうえで、Googleなどの検索エンジンに削除通知を送り、「著作権を侵害している」元記事を検索インデックスから排除させるのだ。こうしてオリジナル記事がインターネット検索で見えなくなったところで、Eliminaliaは自らのコピーを削除する。かくして、クライアントの戦争犯罪や性的暴行や詐欺に関する記事は、公衆の目から消えてなくなる。

https://pluralistic.net/2021/04/23/reputation-laundry/#dark-ops

削除制度はあまりにも検閲側に有利に働くため、執拗な相手に立ち向かいながら、どれほど小さな情報であってもオンラインに留めておくには途方もない努力が必要になる。2007年、AACS(「デジタル著作権管理」用の映像暗号化方式)の暗号鍵がネット上に流出した。その鍵はたった16桁の数字で、クロスワードパズルのマス目にも収まるような代物だったが、この鍵を開発した業界コンソーシアムは、これが違法な整数だという立場を取った。コンソーシアムはこの数字をめぐって数十万通もの削除通知を送りつけた。それでもこの数字がネット上に残ったのは、大勢のユーザが断固たる行動で守り抜いたからにほかならない。

https://en.wikipedia.org/wiki/AACS_encryption_key_controversy

削除通知の「とりあえず撃つ、質問はしない」という性質は、あらゆる種類の詐欺師に狩り場を提供している。だが、最も皮肉な削除詐欺は、Youtubeの著作権侵害警告を利用した脅迫だ。

2007年にViacomがYoutubeを著作権侵害で訴えた後、Googleは自社の著作権管理システムを構築した。Viacomの訴訟における最大の不満に対処するためだった。Viacomの怒りの焦点は、Youtubeからコンテンツを削除させても、別のユーザがすぐに再アップロードでき、その都度新たに削除通知を送らなければならないという「モグラ叩き」状態にあった。Viacomが求めていたのはテイクダウン(削除)ではなくステイダウン(恒久的排除)のシステム、すなわち著作権を保有する作品のリストをGoogleに提供すれば、以後誰もそれらの作品をアップロードできなくなる仕組みだった。

(この話には大いに笑える背景がある。Viacom自身が法廷で認めたところによると、同社のマーケティング部門は自社の番組クリップを「粗く加工」してYoutubeにアップロードし、海賊版のように見せかけてYoutubeユーザの関心を引こうとしていたのだ。そしてときに、Viacomの法務部がこれを海賊版と取り違えて、Youtubeに削除を求める脅迫状を送っていたというわけだ。)

https://blog.youtube/news-and-events/broadcast-yourself

Youtubeの通知・恒久排除システムがContent IDである。これは途方もなく複雑な仕組みで、著作権者(および著作権者のふりをする者)が映像・音声ファイルの権利を「主張」し、他者がそれを投稿するのをブロックできる。世界最高の著作権専門家でさえ、このシステムを使って著作権を適切に守る方法を誰も解明できていない。

https://pluralistic.net/2024/06/27/nuke-first/#ask-questions-never

一方で、Content IDを完全に使いこなす犯罪者や詐欺師の一団は確実に存在し、彼らはこのシステムを利用してインディペンデント・アーティストを脅迫している。Content IDには「3ストライク」ポリシーがあり、3回著作権侵害で告発されると、Youtubeはその人の動画をすべて永久に削除し、プラットフォームから追放する。広告収入やスポンサーシップ、あるいはグッズ・音源・チケットの販売促進といったかたちでYoutubeを生活の糧としているパフォーマーにとって、「著作権ストライク」は死活問題だ。

そこに詐欺師が登場する。詐欺師は使い捨てのYoutubeアカウントを複数作成し、クリエイター(多くの場合ミュージシャン)に対して虚偽の著作権侵害申し立てを行う。2回の著作権ストライクが受理され、あと1回で生活の糧を失うという状態に追い込んだところで、詐欺師はパフォーマーに接触し、申し立てを取り下げる代わりに金を要求する。もし払わなければ最後のストライクを発動して廃業に追い込むと脅すのだ。

https://pluralistic.net/2021/05/08/copyfraud/#beethoven-just-wrote-music

著作権が――名目上はクリエイターを保護するための制度でありながら――まさにその保護すべき人々に対する武器として使われているという事実は、皮肉ではあるが不思議ではない。著作権法を主に形作ってきたのは、クリエイターの雇い主たち――Viacomのようなメディア企業――であり、彼らは「飢えるアーティスト」を錦の御旗として振りかざし、結局は労働者たるクリエイターを犠牲にして資本を肥やす政策を成立させてきた。

この問いこそが、レベッカ・ギブリンと私が2022年の著書『チョークポイント資本主義』を書くきっかけだった。著作権は40年にわたってあらゆる方向に拡大し(保護期間は延長され、適用範囲は広がり、罰則は強化され)、その結果メディア企業はかつてないほど利益を上げ、売上総額も純利益も伸びている。それなのに、なぜクリエイターは貧しくなる一方なのか。報酬の総額でも、自らが生み出す利益に占める取り分でも。

https://chokepointcapitalism.com

『チョークポイント資本主義』の前半は、メディア企業とテック企業がクリエイターから搾取するために用いる詐欺やペテンの構造を解剖するケーススタディで構成されている。後半は、実際にアーティストの懐に金を届けるための「すぐ着手可能な」政策提言を連ねたものだ。著作権に関する処方箋もあるが、それだけではない。

たとえば、ハリウッドの「ギルド」制度(組合に加入した労働者が全スタジオを一括して交渉相手にできる仕組み)が、企業の権力に対する強力な解毒剤となってきたことを論じた章がある。これは「セクター別団体交渉」と呼ばれるもので、1947年のタフト・ハートリー法以降は違法とされているが、ハリウッドのギルドは既得権として適用除外されていた。我々がセクター別団体交渉の力について書いたのは、脚本家組合(WGA)が4大タレント・エージェンシーに対して見事な勝利を収めた件を念頭に置いている。エージェンシー側は、脚本家とエージェントの従来の収益配分を逆転させる詐欺的な仕組みを考案し、エージェンシーが90%を取り、脚本家はわずか10%しか受け取れないようにしていたのだ。

https://pluralistic.net/2020/08/06/no-vitiated-air/#WME-CAA-next

その2年後、ハリウッドの脚本家たちは再び立ち上がった。次の争点は脚本制作現場でのAI利用であり、その戦いは大手スタジオに対して目覚ましい勝利を収めた。

https://pluralistic.net/2023/10/01/how-the-writers-guild-sunk-ais-ship/

注目すべきは、この脚本家ストライキが労働運動であり、著作権運動ではなかったという点だ。脚本家たちは、自分の作品がAIの訓練に使われることをコントロールするための新たな著作権を求めたのではない。彼らがストライキで勝ち取ったのは、AIによって賃金が侵食されない権利――自分の判断でAIを使う(あるいは使わない)ことができ、それによって生活を脅かされない権利だった。

現在、多くのメディア企業がAI訓練をコントロールするための新たな著作権を要求しており、多くのクリエイターもこの声に合流している。メディア企業が問題にしているのは、AIモデルの利用が権利を侵害するということではない。モデルの作成そのものが著作権侵害にあたると主張しているのだ。作品の一時的なコピーを作り、その作品を分析し、その分析結果を公開すること自体が著作権侵害だ、と彼らは言う。

https://pluralistic.net/2023/02/09/ai-monkeys-paw/#bullied-schoolkids邦訳

経験則として覚えておくといい。ボスが新しいルールを要求するときは、そのルールが自分自身の利益になるかどうか、大いに疑ってかかるべきだ。AIの巨大企業を訴えたメディア企業が「反AI」ではないことは誰に眼にも明らかだ。彼らはAIがクリエイターに取って代わることを阻止したいのではない――その過程を自分たちでコントロールしたいだけだ。

ディズニーやユニバーサルがMidjourneyを訴える目的は、自社のカタログでAIモデルを訓練させてそのカタログの作品を作った労働者の貧困を防ぎたいからではない。これらの企業が欲しいのは、カタログへのアクセスに対するライセンス料であり、そこから生み出されるモデルが自社の独占となり、競合他社が利用できないようにすることでしかない。

https://pluralistic.net/2026/03/03/its-a-trap-2/#inheres-at-the-moment-of-fixation邦訳

こうした企業は、クリエイターへの報酬の支払いにことごとく拒絶反応を示す。ディズニーの立場はこうだ。ルーカスフィルムのような会社を買収すれば、ルーカスフィルムが発注した作品を出版する権利を得るが、それらの作品が売れた際にルーカスフィルムが負っていたロイヤリティの支払い義務は引き継がない、と。

https://pluralistic.net/2022/04/30/disney-still-must-pay/#pay-the-writer

テレサ・ニールセン・ヘイデンがNapster戦争の時代に言い放った通りだ。「あなたが彼らの味方だからといって、彼らがあなたの味方とは限らない」。もし仮に、こうした企業がスクレイピング、分析、事実情報の公開をさらに違法にすることに成功したとしても、彼らはその新たな権限をクリエイターの報酬引き上げのためには使わない。過去40年間に創設されたあらゆる新しい著作権と同じように、アーティストを犠牲にして自らを肥え太らせるために使うだけだ。

https://pluralistic.net/2020/03/03/just-a-stick/#authorsbargain

Claude Codeの流出データは、ディーボルトの投票機と同様、今日の最も重要な政策論争の真っ只中にあるツールについて、興味深い情報を大量に含んでいる。ここでは一例だけ挙げておこう。Claudeは、先月イランで少女たちが大勢いた建物を破壊した米国のミサイル攻撃に、ほぼ確実に関与している。

https://www.theguardian.com/news/2026/mar/26/ai-got-the-blame-for-the-iran-school-bombing-the-truth-is-far-more-worrying

もちろん、この皮肉は承知している。Anthropicは著作権の「制限と例外」に関してきわめて攻撃的な姿勢を取り、見つけた情報なら何でも自社モデルの訓練に使えるとし、その目的のためにおびただしい量の侵害作品を意図的にダウンロードしても構わないと主張してきた。そんな企業が、自社の重大な過失によって流出したソースコードの拡散・分析・議論を阻止するために、著作権侵害の申し立てを数千件単位で乱発している光景は、皮肉めいた滑稽さがある。

https://developers.slashdot.org/story/26/04/01/158240/anthropic-issues-copyright-takedown-requests-to-remove-8000-copies-of-claude-code-source-code#comments

だが、Anthropic――そしてAIセクター――の問題の本質は著作権ではない。これらの企業を唾棄すべき存在にしているのは、自社の製品があらゆる種類の労働者の生活を破壊すると嬉々として、しかも詐欺的に喧伝する姿勢だ。

https://pluralistic.net/2025/03/18/asbestos-in-the-walls/#government-by-spicy-autocomplete邦訳

そして経済的な詐欺――はじけたとき経済を壊滅させるバブルの膨張もまた然りである。

https://www.wheresyoured.at/the-subprime-ai-crisis-is-here

大量監視と大量殺戮のためにAIツールを嬉々として展開していることも問題だ(世間でどう言われていようと、Anthropicも例外ではない)。

https://www.thetechbubble.info/p/how-much-a-dollar-cost

もしメディア業界のボスたちが思い通りにして、著作権で保護された作品に関する事実をホスティングし、議論し、公開することがさらに違法に――そして実質的にさらに困難に――なったとしたら、Claude Codeの流出のような暴露が日の目を見ることは二度とないだろう。こうしたナンセンスに対して何十年もかけて戦い、押し返してきたからこそ、我々は今回のソースコードの流出によって明らかになったClaude Codeの欠陥を特定し、学ぶことができる。

私はAI業界に怒っている。だがそれは著作権のせいではない。キャット・ヴァレンテが「血塗られた金」というエッセイで見事に言語化した理由で、私は彼らに怒っている。

https://catvalente.substack.com/p/blood-money-the-anthropic-settlement

これらの企業が公言する目標は、実におぞましい。

彼らは私が子供たちのために書いた本を取り上げ、子供たちがもう本を読まなくても済むようにするために使った。私が愛について書いた本を取り上げ、人々を孤立させ、現実世界で人間の愛を見つけることを妨げるチャットボットを作るために使った――そのチャットボットは本物の愛、つまり常に快適なわけでも、常に前向きなわけでも、常にエンドユーザのエンゲージメントだけに焦点を当てているわけでもない愛に耐えることすら難しくさせる。私が絶望と抑圧に抗してきらめく希望について書いた本を取り上げ、絶望と抑圧の生成装置を作るために使ったのだ。

このような目標は、著作権とまったく相反しないニューヨーク・タイムズがAIをめぐって訴訟を起こす一方で、自社の記者が書いた文章をAIモデルの訓練に使用するライセンス供与を進めているように。

https://www.nytimes.com/2025/05/29/business/media/new-york-times-amazon-ai-licensing.html

ニューヨーク・タイムズはより強い著作権保護を求めている。では、ニューヨーク・タイムズが求めていないものは何か。より強い労働者の権利だ。ニューヨーク・タイムズは悪辣な組合潰しの常習犯だ。

https://actionnetwork.org/letters/new-york-times-stop-union-busting

我々クリエイターが限られた資源を注ぎ込んで新しい政策を勝ち取れるのなら――雇い主たちと、その雇い主たちと道義的にも気質的にも区別がつかないAI企業が我々の生活に突きつける脅威に対抗する政策を求めるのなら、その新しい政策は、すべての労働者のためのセクター別団体交渉権の復活であるべきだ。ハリウッドの脚本家ストライキでAIを退けたのは、セクター別団体交渉(集団的で連帯に基づく権利)であって、著作権(個人的で商業的な権利)ではなかったのだから。

著作権はクリエイターを小規模事業者として位置づける――芸術修士(MFA)しか持たない一人法人1訳注:原文は “an LLC with an MFA”。米国ではフリーランスのクリエイターが合同会社(LLC)を設立するのが一般的で、MFA(美術学修士号)は作家・アーティストの典型的な学歴。労働者であるはずのクリエイターが、巨大企業と対等の「取引先」として扱われる制度的不条理を皮肉った表現。に、巨大企業と対等の取引先として交渉しろ、というわけだ。著作権が我々の助けになるとしても、それは大部分が副次的な効果にすぎない。確かに、Anthropicが海賊版サイトからダウンロードしてモデルの訓練に使った本について、1冊あたり数千ドルの賠償を請求することはできた。だが、Anthropicは影のライブラリを使う必要などない。我々の雇い主に金を払えば解決してしまう話なのだから。

Claude Codeのソースがオンラインに出ていることは素晴らしいことだ。あらゆる面でこれほど重大な意味を持つようになったこのコードを、精査し、分析し、批判する能力を我々が手にしたことはたいへんに素晴らしいことだ。著作権が(今のところは)このような状況を生み出せる程度に弱いことは素晴らしいことだ。

著作権の拡大がクリエイターにもたらすものはわずかで、せいぜい、自分の読者が自分の作品をどう体験するかについて新たな怒りの種が増える程度だろう。労働権の拡大がもたらすものは大きく、読者を含むすべての労働者が恩恵を受ける。我々の雇い主たち、そしてAIの山師たちは、この考えを全身全霊で憎んでいる。

Pluralistic: It’s extremely good that Claude’s source-code leaked (02 Apr 2026) – Pluralistic: Daily links from Cory Doctorow

Author: Cory Doctorow / Pluralistic (CC BY 4.0)
Publication Date: April 2, 2026
Translation: heatwave_p2p

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    訳注:原文は “an LLC with an MFA”。米国ではフリーランスのクリエイターが合同会社(LLC)を設立するのが一般的で、MFA(美術学修士号)は作家・アーティストの典型的な学歴。労働者であるはずのクリエイターが、巨大企業と対等の「取引先」として扱われる制度的不条理を皮肉った表現。
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