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ドイツのメディアコングロマリット企業アクセル・シュプリンガーは、Adblock Plusを運営する企業を著作権侵害で提訴している。『Bild and Die Welt』などを出版する同社は、広告ブロッカーがデジタル・ジャーナリズムを危機に晒し、「ウェブサイトのプログラムコードを改変している」と主張している。

広告が生み出す収入がなければ、今日のウェブは今とは違った形になっていたであろうことは疑いない。

多くのサイトが、広告を通じて得られるお金によって生き、そして死んでいく。多くのプラットフォームは量こそが質を補うと考え、利用者がスパムとみなすような広告で爆撃している。

もちろん、ちょっと詳しくなれば、迷惑な広告をブロックするための多数の選択肢が存在することは容易に理解できる。多くの人々が、uBlockやAdBlock Plusなどのブラウザプラグインを利用して、表示される広告の数を制限している。当然、広告を掲載している人々にとっては嘆くべき状況と言えるだろう。

この「ただ乗り」をやめさせるべく、デジタル出版社のアクセル・シュプリンガーは、Adblock Plusを開発する同国企業のEyeo GmbHに対して、1年に及ぶ訴訟キャンペーンを展開した。

「Bild and Die Welt」をはじめとするメディアを所有する同社は、AdBlock Plusとそのユーザが、同社のビジネスモデルを蝕んでいると主張した。この裁判は最高裁まで争われたものの、2018年4月、アクセル・シュプリンガーは敗訴した日本語記事)。

それから1年が経った現在、アクセル・シュプリンガーは、再攻勢を仕掛けるべく舞い戻ってきた。同社は今回、AdBlock Plusが同社の著作権を侵害していると主張している。Heise.deの報道によると、同社の訴えは、従来の著作権侵害の範囲を大きく超えるものであるようだ。

「広告ブロッカーはウェブサイトのプログラミングコードを改変し、したがって著作権で保護された出版社の提供物に直接アクセスしていることになります」とアクセル・シュプリンガーのメディア法務担当責任者のクラース=ヘンドリック・ゼーリングは話している。

「長期的には、広告ブロッカーはデジタルジャーナリズムを支える資金調達基盤を害し、さらに意見形成を促すインターネット上の情報へのオープンアクセスに危機をもたらすでしょう」

実際の主張が明らかになるまで(Heiseによると訴状は提供されていない)、この訴訟の背景や詳細は不明だ。だが、Adblock Plusがどのように機能しているかを考えれば、これらのブラウザプラグインが、デジタルプラットフォームのコードを改変している可能性はほぼ考えられない。

Eyeoはこの主張を完全に否定している。

「私たちが『ウェブサイトのプログラムコード』に介入したという主張は、実に不条理だと言わざるを得ません」とEyeoのスポークスマンは声明の中で述べている。

「ブラウザサイドのプラグインが、シュプリンガーのサーバの何かを改変しているわけではないことを理解するのに、技術的知識はさして必要ないはずです」

ただ、アクセル・シュプリンガーが、技術的保護手段(著作権者が利用者に許可していない行為を制限するために利用されている技術)の回避のような、著作権法の別の切り口から議論を構成していることも考えられないわけではない。

もちろん、この訴訟の詳細は、最終的に公開審査のために公にされたときにはじめて明らかになるだろう。

Publisher Sues AdBlock Plus For Copyright Infringement – TorrentFreak

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: April 11, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Robert Bye