ツイートの不当なDMCA削除を批判する記事に言及するツイートが不当にDMCA削除される

Electronic Frontier Foundation

テレビでみるような出来事は現実にも起こりうる。話の流れはこうだ。ウェブサイト「TorrentFreak」がテレビネットワーク「Starz」の番組を始めとするドラマエピソードの流出を報じる記事を公開した。TorrentFreakはその記事をツイートし、Starzは（訳註：Twitterに）著作権削除通知を送付した。TorrentFreakはその削除について再び記事を書き、EFFのコメントを掲載した。EFFはその削除に関する記事、そして元の記事をツイートした。するとEFFのツイートが……消された。

TorrentFreakの流出エピソードに関する元記事には、そのエピソードのスクリーンショットが掲載されていた。これは報道の真実性を証明するには十分な証拠といえる。だが、この物語において重要なポイントは、記事には当該のエピソードをダウンロードするためのリンクは含まれていないということだ。

記事の公開後、TorrentFreakは記事へのリンクをツイートした。リンクにはサムネイルが含まれていたが、流出エピソードのスクリーンショットとは別の画像が用いられていた。Starzの代理を務めるエージェンシーは著作権侵害を主張し、デジタルミレニアム著作権法（DMCA）を利用してTwitterにツイートを削除させた。TorrentFreakが受け取った申立てによれば、元記事は『アメリカン・ゴッズ』の「未公開のエピソードの画像」を掲載しているという。また、TorrentFreakが「違法なコンテンツの入手可能性に関する情報」を提供しているとも主張している。

はっきりさせておこう。TorrentFreakが違法な出来事について報道したとしても、それは違法ではない。著作権侵害に関する報道は侵害行為ではない。1枚のアメリカン・ゴッズの画像を含むいくつかのサムネイルは、報道内容の真実性を示す証拠として機能しているし、エピソード全体をテレビで視聴することの代わりになることもない。さらに、TorrentFreakの元記事が解説するように、このスクリーンショットは流出エピソードの透かし（watermark）を写しており、この流出がテレビ評論家に送られるプレリリース版のスクリーナーに由来している事がわかる。

真実の出来事について報道する記事は、フェアユースの教科書的事例だ。このようなDMCAの利用は、ジャーナリズムやフェアユースに対する挑戦でもある。我々にコメントを求められていたら、我々はそう答えていただろう。

あ、ちょっと待って。そう言えば答えてた。TorrentFreakはツイートの削除を受けてフォローアップ記事を書いた。TorrentFreakからのコメントの求めに応じ、EFFの上級専属弁護士のキット・ウォルシュは次のように述べている。

Starzには、TorrentFreakのニュース記事を黙らせる権利も、そのリンクをブロックする権利もありません。この記事は、インターネット上の著作権を侵害している人々がいることを報じてはいますが、それ自体が侵害とは到底言えません。スクリーンショットは、報じられている事実を裏づける報道の重要な要素です。Starzはこの削除を撤回し、今後もジャーナリストに対するハラスメントを控えるべきでしょう。

我々はいつものように、TorrentFreakの元記事のリンクをツイートし、ウォルシュがTorrentFreakに寄せたコメントとほぼ同じ文言を載せた。その数日後、今度は我々のツイートが削除されてしまった。そもそもが著作権侵害とは到底言えないものが発端となった出来事だが、何がどうすればこうもこじれてしまうのか。

我々がTwitterから受け取ったDMCA通知は、Starzが送付したものであった。「元著作物へのリンク」の欄に、Starzは「該当なし（n/a）」と記載している。また、侵害されている元著作物の場所についても「該当なし（not applicable）」と記載している。「侵害に関する説明」の欄には、「海賊版（bootleg）へのリンク」と記されていた。しかし、記事にもツイートにも海賊版へのリンクは含まれていない。

DMCAクレームを送る場合、クレームの送信者が実際の著作権侵害を確信しているという宣誓書が必要になる。この一連の出来事を振り返ってみて、我々のツイートが侵害であると心底思って削除を要請したのかどうか、よく考えてみてほしい。

DMCAの手続きでは、我々は異議を申立て、ツイートが侵害でないことを説明し、Starzが著作権侵害裁判を起こさなければ、Twitterにツイートを復旧するよう指示することができる。実際、我々はそうした。

DMCAを利用したクレームは、手続きの裏表を知らない人々にとっては、非常に威圧的なものと感じられるだろう。幸い、EFFはその権利と行使の仕方をよく理解している組織である。我々はこれからも、濫用的な削除の悪用に批判の声を上げ、インターネットにおける発言の権利を守るために人々を支援し続けていく。

EFF’s Tweet About an Overzealous DMCA Takedown Is Now Subject to an Overzealous Takedown | Electronic Frontier Foundation