ウクライナが進める海賊版サイトの摘発は、政府機関が家宅捜索を受けるという意外な展開を見せている。取締当局は4つの違法ストリーミングプラットフォームを閉鎖させ、2人の男性を拘束した。そのうち1人は、税金や関税を扱い、不正と戦う 国家財務庁の職員であった。
今年4月、ウクライナ政府は、増大するインターネット海賊版の脅威に対抗することを目的とした海賊版対策イニシアチブ「オペレーション・パイレーツ」の立ち上げを発表した。
「私たちは知的財産を尊重するすべを学ばねばなりません。海賊版サイトでビデオを見ても、感覚的には社会の安全を脅かすものだとは思えないでしょうから」とウクライナ・サイバー警察の責任者、セルゲイ・デメデュク氏は言う。
このイニシアチブの覚書には、Starlight Media(ウクライナ最大の放送局グループ)、Media Group Ukraine(同国最大のメディアホールディング企業)、TVチャンネルのStudio1+1、Discovery Networks、IFPI加盟のMusic Industry Association of Ukraine、そしてUkrainian Anti-Piracy Associationが署名している。
このキャンペーンの開始以降、海賊版サイトが閉鎖に追い込まれたという報告はなかった。しかし今週、警察は4つのビデオストローミングプラットフォームの閉鎖に成功したことを発表した。
メインターゲットとなったのは、映画やTV番組に特化したkinogo.co.uaだ。同サイトはウクライナで人気が高く、SimilarWebのデータでは、サイトの閉鎖以前には1日に50万ものビジターを抱えていた。
ウクライナ国内からのトラフィックはおよそ84%を占めており、その多くが同種の海賊版サイトUAFilm.topにもアクセスしている。同サイトは1日に約10万のビジターを抱えていた。
これらのサイトと、最近ローンチしたkino-hd.top(20万ビジター/日)と別の比較的小規模なサイトが、今回のオペレーションですべて閉鎖に追い込まれた。警察は、これらのサイトが運営されていた拠点と、容疑者の自宅を捜索した。
ウクライナのサイバー警察によれば、これらプラットフォームを運営していたのは、ウクライナ東部のドニプロペトロウシク地方に住む38歳と32歳の兄弟だという。
興味深いことに、そのうち1人は、税金や関税を扱い、その不正と戦う政府の国家財務庁の職員だったという。そのため、警察は容疑者の勤務先を捜索し、機器を押収した。
世界中に存在するこれらプラットフォームと同様に、現在閉鎖に追い込まれた4つのストリーミングサイトは、広告から収益を上げていた。正確な数字は公表されていないものの、当局によれば、月に数千ドルの収入を得ていたという。
警察によると、著作権等知的財産権侵害を規定したウクライナ刑法第176条第3部に基づく公判前捜査が進められているという。有罪となった場合、兄弟には罰金、または6年以下の禁固刑が課せられる。
今年はじめに行われたオペレーションでは、ウクライナ当局は60以上の海賊版サイトを閉鎖した。その多くはストリーミングサイトであった。
一方、米国通商代表部(USTR)は、先月公表した優先監視国リストに引き続きウクライナを掲載している。
「ウクライナは依然としてインターネット上の海賊行為に重大な問題を抱えており、他の市場での海賊行為を助長している」と報告書では述べられている。
「海賊版映画は違法な映画盗撮を招き、インターネット上の拡散することで、劇場公開映画の市場に重大な損害を与えている。また、ウクライナの知的財産権者は同国の執行が不十分であるとの懸念を抱いている」
Ukraine Cyberpolice Raid Pirate Sites, Detain Government Employee – TorrentFreak
Publication Date: May 08, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Jack Finnigan