TorrentFreak

海賊版ソフトウェアがLinuxデスクトップOSの採用に有害な効果をもたらすことを示した研究論文が公表された。論文では、海賊行為はWindowsの支配的市場地位を維持する1つの理由であり、Linuxを著作権侵害の「見逃された犠牲者」としている。

Windows OSは世界中でもっとも海賊版コピーが流通しているソフトウェアといっても過言ではないだろう。

Microsoftは数百万ドルの収益が失われているとして、この状況に不満を抱いているが、最新の研究によると、この状況はLinuxの導入に対してもネガティブな効果があるのだという。

ノルウェーの経済学者Arne Rogde Gramstadが発表した論文では、海賊版ソフトウェアは、Linuxのデスクトップ向けディストリビューションの導入を有意に減らすとの結果が示されている。

「Software Piracy and Linux Adoption(ソフトウェア・パイラシーとLinuxの導入)」と題された論文のなかで、Gramstadは国内の海賊版ソフトウェア率(BSAのデータに基づく)とLinuxのデスクトップOSの使用との関係を、潜在的な干渉因子として一人あたりの国内総生産や国内のアンチ・パイラシー・キャペーンなどを統制したうえで検証した。

その結果、人びとがLinuxを使用するほど、一般的な海賊版ソフトウェアの使用が減少するというモデルが示された。

「国内の海賊版率が1%上昇するごとにLinuxのシェアがおよそ0.5%減少すると予測されることがわかりました。厳密な推定にはある程度の不確実性はありますが、その方向がネガティブであるという点については、高い水準で統計的確実性があります」とGramstadはTorrentFreakに説明する。

これが意味するのは、もし海賊行為が全く行われなくなったとしたら、Linuxユーザは50%増加するということである。数字だけを見ると非常に印象的ではあるが、そのインパクトは実際にはそれほど大きくはない。多くの国で、デスクトップ向けのLinuxシェアはおよそ1%に過ぎず、それが1.5%になるという程度である。

しかし、この研究はもう1つ興味深い問題を提起している。Microsoftの市場支配的地位は、海賊行為によって実際に強化されているということだ。

「この結果は、海賊版ソフトウェアは、企業収益の損失以外にも、ネガティブな影響があるということを示しているのだと思います」とGramstadは言う。

「オペレーティング・システムに関して言えば、海賊行為はWindowsの支配的地位に貢献しています。そのことが、Linuxのようなオープンソースの選択肢との競争を害しているのです」

海賊行為とLinuxの導入との関係については、ほかの外部要因が影響している可能性をより詳細に検証する必要があるものの、Gramstadはこの結果の方向については安定していると自信を見せる。

Microsoftが海賊版を推奨するとは考えにくいが、この結果は、一般に考えられているほど海賊版ソフトウェアの効果が単純なものではないことを示している。

Software Piracy Hurts Linux Adoption, Research Finds – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: February 21, 2016
Translation: heatwave_p2p
Header Image: Christopher Michel / CC BY 2.0