以下の文章はTorrentFreakの記事「Lumen Database Restricts Access to DMCA Notices But Plans to Expand」を翻訳したものである。

TorrentFreak

削除通知の研究を促進するための研究プロジェクト「Lumen Database」のデータ提供方法が大幅に変更された。研究者は特別なログインでデータにアクセスすることはできるが、一般ユーザが通知の詳細を閲覧するにはメールで申請しなくてはならなくなった。この変更は、事業の拡大に備えて行われたものだという。

インターネット・プラットフォームやホスティングサービスには毎週膨大な数の削除通知が寄せられているが、中には削除されるべきでないコンテンツがサイトや検索サイトのインデックスから削除されてしまうこともしばしばある。

だが、Googleの透明性レポートをはじめとするプロジェクトにより、この不透明な領域に光が当てられることになった。

Googleサービスのユーザは、ほぼすべての著作権クレームの詳細を閲覧できるが、正確な調査を行うためには、複数の大手インターネット企業が提出する膨大な数の通知を保存する調査プロジェクト「Lumen Database」に赴かなくてはならないだろう。

このプロジェクトは、削除通知の状況に関心を持つ研究者や記者に不可欠なツールとなっている。しかし、Lumen Databaseの方針転換により、大多数のユーザがにアクセス可能なデータが制限されることになった。

端的に言うと、Lumenデータベースに表示される削除通知には、著作権者が申請した正確なURLが表示されなくなる。そのかわりに、下記の画像のように、通知にはターゲットとなったドメインとそのURLの数だけが表示される。

簡略化された詳細

上記の画像からも明らかなように、LumenはページURLを削除しており、特定の削除通知の影響を調査するのは難しくなる。とはいえ、未修正のコピーを取得するシステムを提供するリンクも掲載されている。

通知を詳細に調査したい一般ユーザは、メールアドレスを入力しなければ全文を閲覧できなくなる。

TorrentFreakは、プラットフォームの開発バージョンを発見した際、システムに変更が加えられることを知った。個人レベルで言えば、我々は1つの記事のために数十の削除通知を閲覧することも珍しくないので、当初はこの変更に懸念を抱いた。しかし、研究者やジャーナリストにはLumen Databeseへの特別なログインが提供され、以前と変わらず調査できると運営者は説明する。我々は今後も削除に関連する興味深いニュースを伝え、さまざまなトレンドについて伝えていくつもりだ。

しかしそうはいっても、なぜLumenはこうした決断を下したのだろうか。Lumenのプロジェクトマネージャー、アダム・ホランドは、すべてはサービスの拡大と改善のためだとTorrentFreakに話してくれた。

「Lumenは削除通知に関する研究、ジャーナリズム、一般市民の関心に、今後も重要な役割を果たしたいと考えています。すでに何年にも渡ってそれを実現してきたと考えており、我々のデータから優れた成果も生み出されてきた(と思っています)」とホランドは言う。

「しかし、Lumenはさらなる成長と改善の可能性を秘めており、同時にそうしなくてはならないとも感じています。そのために必要になるのは、提供される通知の量と種類の拡大、そして通知を提供してくれる機関の範囲の拡大です。複数の企業から、削除通知を共有したいが、それぞれに抱える事情から現在のLumenではそれができないという声を聞いています」

TF読者であればご記憶にあるだろうが、Lumenプロジェクトは以前、著作権者から、著作権侵害コンテンツにアクセスするためにリストが悪用されているのではないかとの批判を浴びていた。我々はホランドに、権利者からの批判が、一般ユーザ向けの情報を黒塗りするという判断に影響したのではないかと尋ねた。

「侵害/無許諾コンテンツにアクセスするためのツールとしてデータベースが利用されるという兆候は、我々のトラフィック/マトリックスからは見られていません。ただ、我々は常にバランスを取ろうと努力してきました」とホランドは説明する。

「新たなフレームワークは、データベースを利用して行われる研究を犠牲にすることなく、研究コミュニティが情報を得られるものになると期待しています。また、重要な点として、データベースのメンテナンスに伴う大きな負担が軽減するため、Lumenスタッフの生産性が向上します」

我々はホランドに、全文へのアクセスにハードルを設けることを不満に思う一般ユーザもいるのではないかと疑問をぶつけた。しかし、Lumenのトラフィック量を考えれば、どれだけの人が特定の理由でデータベースを利用しているのかは把握できないのだという。

アクセスの制限は一部の人をがっかりさせるだろうが、この方針転換を両刃の剣と見る向きもある。

TorrentFreakが海賊版対策企業の代表者に話を聞いたところ、クライアントはURLの可視性が低下することを歓迎するだろうと話してくれた。

「私は著作権者のDMCAエージェントとして、Lumenとその前身のChilling EffectsはGoolge削除手続きを愚弄する存在だと考えてきました。検索結果を削除したといいながら、なぜその削除したURLのリストを検索結果の最下部にリンクするのか、と」と彼は言う。

「しかし、DMCAの手続きは容易に悪用できますし、実際に悪用されてもいます。検閲の可能性や誤った削除をチェックする機能は必要でしょう」

「私のクライアントは著作権侵害コンテンツへのアクセスが難しくなるような変更は歓迎するでしょうが、それが同時に適法な研究や説明責任を妨げると懸念する人たちの気持ちも理解できます」

最後に、Lumenチームがプロジェクトを続けるために多大な労力を費やしていることにも目を向けるべきだろう。同プラットフォームは現在、1日に最大7万件の通知(おもにDMCA通知)が提供されており、その多くがプライバシー保護のために修正を必要としている。

その多くは自動的に処理されるが、ホランドによると、手作業の修正が頻繁が行われ、1通の通知を処理するのに20分以上かかる場合もあるという。

Lumenは、データベースに協力する(協力している)企業や機関のリストを提供してくれた。この仲間入りを果たしたいのであれば、同プロジェクトまでご連絡を。

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Lumen Database Restricts Access to DMCA Notices But Plans to Expand – TorrentFreak

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: May 10, 2019
Translation: heatwave_p2p
カテゴリー: CopyrightDMCA