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HDMIの標準仕様書をアーカイブしていたGithubユーザに、DMCA削除通知が突きつけられた。全米家電協会メンバーのHDMI Licensing Administratorによると、これらの文書は著作権で保護されており、機密性も高いという。奇妙なことに、CTA自身が提出した通知では、公開文書の削除も要求されたという。

HDMI(高品位マルチメディアインターフェース)は、互換性のあるデバイス間でデジタルビデオ・オーディオを転送する上で、現代のスタンダードとなっている。標準的なコネクタにはオス型コネクタ(プラグ)とメス型コネクタ(ソケット)があり、テレビ、モニタ、セットトップボックス、ゲームコンソール、その他無数のビデオ対応機器がこのインターフェースを利用している。

マクセル、パナソニック、サンヨー、フィリップス、ソニーなど、HDMI規格を自社製品に採用する企業も膨大な数に上る。

2002年の発表以来、HDMIは多数のバージョンが開発されてきた。各バージョンは同一の基本コネクタを使用しているが、それぞれに機能が追加されている。アップデートされる以前のハードウェアでは、(アップデート後の)新たな機能は利用できないが、システム全体に下位互換性が担保されている。

こうしたアップデート(最初期のHDMI 1.0 (2002)から最新のHDMI 2.1(2017)までバージョン番号が割り振られている)の詳細は、技術仕様書に記載されている。ただ、HDMI製品のライセンスエージェントであるHDMI Licensing Administratorによると、これらの文書は著作権で保護されているのみならず、機密情報も含まれているのだという。

GithubユーザーのGlenwingは数年に渡って、個人的に「ディスプレイ業界規格アーカイブ(Display Industry Standards Archive)」として、これらの文書をアーカイブしてきた。しかし先日、HDMI Licensing AdministratorからDMCA削除通知を受け取ったという。

Githubは、文書の著作権を主張し、それらは一般に公開されているものではない、というDMCA申立ての詳細を公表した。

「HDMI Licensing Administrator,Inc.は、HDMI®デジタルインターフェースのファウンダーのライセンスエージェントである。ユーザGlenwingが、著作権で保護された機密コンテンツを無断で貴社ハブ上に公開していることを発見した」と通知にはある。

これらの文書は、以前にオンラインで無料で公開されていたものだ。何が問題であったのかを聞くべく、我々はGlenwingにコンタクトを取った。

彼によると、HDMI仕様バージョン1.3 aはHDMIのサイトでダウンロード提供されているが、他のバージョンの仕様書もインターネット上のあちこちに点在しており、ならば一箇所にまとめてアーカイブしても問題はなかろうと考えたという。

「広くリンクされていて、Googleで『HDMI 1.4 pdf』なんかで検索すれば簡単に見つけ出せる程度の『機密性』ですから、彼らにとってそれほど重大なことではないと思っていました」と彼は説明する。

「こうした文書は、WikipediaのHDMIの項でもソースとしてリンクされています。これは何年もオンラインのままでした。しかし、ダウンロードした元のソースを見直したところ、ほとんどがリンク切れになっていました。HDMI Licensingは、私のページをターゲットにしただけでなく、ウェブ全体の浄化を始めたようです」

Glenwingは、Githubにアップロードしたすべての仕様書のコピーが、Wikipediaの引用や単純なGoogle検索を介して、インターネットのさまざまなソースから入手したものであることを認めた。

彼自身は、単にこの話題に大きな関心を持ち、他の人たちと知識を共有したいと考える技術マニアに過ぎず、当然のことながら、悪意があるわけではない。

「いずれにせよ、私はこうした文書をばらまこうと考えてたわけではありません。robot.txtか何かでGoogle検索からGithubのページを隠すことができれば、そうしていたでしょう」と彼はいう。

「HDMI、Displayportの機能、ビデオ帯域の正確な計算方法、規格が時間の経過とともにどのように変化してきたか、といったことを教育するためのガイドを作成するために、これらドキュメントをソースとしてリンクできるようにしたいと考えて、おもに自分自身の参考資料としてこれらの文書をアップロードしています」

興味深いことに、GlenwingがDMCA通知を受け取ったのはこれがはじめてではない。同氏はその数日前、(HDMI Licensing Administratorが加盟する)全米家電協会(CTA:Consumer Technology Association)から、CTAの複数の規格ドキュメントを対象とする通知を受け取っていた。

「著作権で保護された6つのCTA規格の全文がこちらに掲載されている:https://glenwing.github.io/docs/」とCTAの通知にはあり、「これらの作品はオープンソースライセンスでライセンスされているものではない……。裁量の解決方法は削除である」とも付け加えられていた。

では、これらの文書は機密性が高いのだろうか。Glenwingは、それはない、という。

「この通知を最初に受け取った際、少し戸惑いました。この6つのCTA文書は、すべて同一の(一般的な)規格であるCTA-861(非圧縮高速デジタルインターフェース用DTVプロファイル)に関する異なるリビジョンでした。最新の3つのリビジョン(G、F、E)はCTAのウェブサイトから無料でダウンロードできますが、古い改訂版は入手できません。それは彼らが単に時代遅れだと考えているためであって、機密情報だからだと考えているわけではないでしょう」と彼はいう。

「標準化組織では、最新バージョンのみをホストするのが一般的で、新しいリビジョンがリリースされるたびに、古いバージョンを見つけにくくなることがしばしばあります。私のページは、歴史を遡れるようにすべてのバージョンを保存することを目的としていました」

GlenwingはGithub上の自身のアーカイブを失ったため、文書をホストする全米家電協会のサイトに直接リンクし、ダウンロードできるようにした。機能的に、ドキュメントへのアクセスは同じようにできなくてはならない。少なくとも、そうしようとした。

しかし、この木時の執筆中、CTAは自らのウェブサイトから標準化文書のコピーを削除し、リンクを殺した。現在、これらの文書は登録必須のCTA Store経由でしか購入できない。ただし、価格は0.00ドルで。

驚くべきことに、このサイトのように、公開文書を破格の278ドルで販売するところもある。CTAの2018年5月のプレスリリースによると、1セントたりとも支払べきではない、とのことではあるが……。

“Confidential” HDMI Specifications Docs Hit With DMCA Takedown – TorrentFreak

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: May 11, 2019
Translation: heatwave_p2p
Materials of Header Image: Adafruit Industries (CC BY-NC-SA 2.0) / geralt
カテゴリー: CopyrightDMCA