以下の文章は、TorrentFreakの「“Go Unlimited” Taunts Hollywood With DMCA-Ignore Video Hosting」という記事を翻訳したものである。

TorrentFreak

海賊版ストリーミングサイトが隆盛している。その一方で、著作権者はこの問題を抑止すべく、ホスティングサービスへの責任追及を強化している。だが、すべてのプラットフォームがコンテンツの削除に応じるわけではない。悪名高き「DMCA無視」ホスティングソリューションを提供するGo Unlimitedは、同社はサービスが完全に合法だと主張する。ハリウッドがこの主張を認めることはないだろうが、海賊版ストリーミングサイトからは歓迎されているようだ。

ビデオストリーミングは、かつてないほどの人気を獲得している。YouTubeやNetflixがまさにそうだが、海賊版サイトも例外ではない。

海賊版に特化したストリーミングサイトが次々に登場したことで、いたちごっこがはじまった。海賊版サイトが常に安定したホスティングサイトを探し、ハリウッドを始めとする権利者は動画の削除に懸命に取り組んでいる。

こうした削除はそれなりに効果がある。たとえどれほど胡散臭いサイトに頻繁に利用されているプラットフォームであっても、その大半はDMCA削除要請には応じている。一旦削除されれば、ストリーミングサイトは削除されたビデオをアップロードし直さなくてはならず、その対応にわずらわされることになる。

人気ストリーミングプラットフォーム「Fushaar.com」の運営者、Baderもその一人だった。このクウェート人起業家は複数のストリーミングサイトを運営し、アラビア語圏で人気を集めている。たとえばFusharはサウジアラビアで38番目に多くの訪問者を抱えるウェブサイトだ。

「削除に抵抗する」安定したビデオストリーミング向けホスティングプロバイダが存在しないという問題に直面した彼は、自らそれを立ち上げることにした。そうした始まったのが「Go Unlimited」だった。

「2016年1月にGo Unlimitedをローンチしたのは、自分のウェブサイトのビデオをホストするためでした。だからもともとはプライベートなビデオホスティングだったのです。当時、私のウェブサイトはGo Unlimitedに多額の収益をもたらす程度には儲けていましたから」とBaderはTorrentFreakに語った。

これが数ヶ月間うまく機能したことで、Go Unlimitedは他の人たちにも門戸を開いた。2016年後半、今はなきGoMoviveが参加したのがその始まりだった。当時、GoMoviveは世界で最も人気の海賊版ストリーミングサイトだった。

しかしそれは同時に、このビデオホスティングプラットフォームに主要著作権者の注意を引きつけることにもつながった。彼らは次々にクレームを入れ始めた。

「GoMovies.toが参加したことで、すべてが始まりました。DMCAの要請はさらに攻撃的に、より深刻になってきたので、私たちは独自の技術を用いてビデオの元のソースを隠すことにしました」とBaderは言う。

Baderは詳細を明らかにはしていないが、Go Unlimitedはビデオのホスト先を事実上秘匿している。これらのビデオはGo Unlimitedのドメインには置かれていないため、同サイトはDMCA削除や同様の通告に応じる必要はないという。つまり、完全に無視しているのである。

それでも権利者たちが要請を止めることはない。メールのタイトルは「緊急」「最終警告」「法的措置の予告」とますます強い口調になり、そのペースは上がっていった。だが、ホスト先の秘匿化以降は完全に無視された。

「ビデオの元ソースを秘匿し、ネットワークプロバイダを誤認(misleading)させるテクニックを用いたことで、GoMovieへのDMCA削除要請を無視することができた」とBaderは言う。

MPAAをはじめとする権利者たちがこのような理屈に同意することはないだろうが、Baderは何一つ悪いことはしていないという。

「当社はクウェートで認可を得た企業で、メインドメインで違法なコンテンツをホストしてもいないし、我々のパブリックサービスを通じて著作物を転送しているわけでもない。100%適法なサービスを提供しています」とBaderは語る。

彼は同様の理由から、ドメインも安全だと考えている。ビデオはGo Unlimited.toドメインでホストされているわけではないことから、同ドメインへのクレームは無効だという理屈だ。

よく調べてみると、Go Unlimitedは時にサイト上で公開されているビデオを不可視化することがある。だが、それでも外部サイトにビデオを埋め込むことはできる。アップロードしたユーザ自身が自分のサイト上に表示することはできるというわけだ。

Streaming from Go Unlimited

実際のビデオはオフィシャルなドメイン下に蔵置されておらず、そのドメイン下で閲覧されてもない。たとえそうだとしても、権利者側は、サイトには著作権法に則りビデオを削除する義務があるはずだと主張するだろう。

しかし、Baderはそのようには考えず、法的圧力も訴訟も懸念していないという。同氏はネットワークプロバイダを煩わせないためにさまざまな調整を行わねばならなかったが、トラブルに見舞われたことはない。

「圧力を恐れることはありません。リソースは個人のクレジットカードで購入していますし、ネットワークプロバイダにも法的文書を何度も送付しています」とBaderは語る。

だが最大のつまづきは、米CDNプロバイダのCloudflareが同サイトのアカウントを規約違反を理由に停止したことだった。

他のホスティングプラットフォームも同様の措置に直面している。たとえばRapidVideoは、過度に非HTMLファイルをキャッシュしているとしてアカウントを凍結されている。だが、RapidVideoもGo UnlimitedもCloudflareを使ってビデオをキャッシングしていたわけでない。

Cloudflareの決定は著作権侵害を理由としたものではなかったが、Go Unlimitedの運営者は、何らかの影響があったはずだと考えている。

「CloudFlareの使用状況グラフを見ても、同規模のサイトよりも使用量は少ないのですが、現時点で、それらのサイトは問題視されていません。私たちはプラットフォーム上でいかなるメディアもホストしておらず、利用規約にはまったく違反してはいないのです」とBaderは言う。

「リソースの問題なのであれば、なぜ(訳註:凍結の前に)連絡をくれなかったのでしょう。プランのアップグレードを提案してきても良さそうなものですが」

UnlimitedはCloudflareのサービス停止によって一時的にダウンしたが、数時間後には復旧した。それ以降は通常どおり運営を続けている。

これまでのところ、Go UnlimitedのDMCA無視ポリシーはうまくいっているようだ。同サイトはすべてのアップローダーに開放されているわけではなく、「信頼されたメンバー」にのみ提供されている。現在は数百のメンバーを抱えており、すべて徹底的な審査プロセスへて承認されているという。

その総訪問者数は相当なもののようだ。Baderによると、Go Unlimitedの月間利用者数は1億5000万人にのぼり、このホスティングプロバイダとアップローダーにかなりの広告収入をもたらしているという。

“Go Unlimited” Taunts Hollywood With DMCA-Ignore Video Hosting – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: June 30, 2019
Translation: heatwave_p2p