Paramount PicturesとCBS Studiosはクリンゴン語やバルカン人の尖った耳、フェイザー銃について著作権を主張することはできない――スタートレックのファンムービーをめぐる著作権侵害裁判で、被告はこう反論した。被告はスタートレックのスピンオフ短編映画『Prelude to Axanar』をクラウドファンディングで製作した人物で、スタートレックの設定を使用したとして訴えられていた。
今年初め、Paramount PicturesとCBS Studiosは、スタートレックにインスパイアされたファン・ムービーの製作者を著作権侵害で訴えた。
紛争の中心となっているのは、人気を集めた短編映画『Star Trek: Prelude to Axanar』と、次回作として計画されている長編映画『Anaxar』だ。
このプロジェクトは、Alec Petersのアイデアによるもので、彼は5年ほど前から取り組みはじめた。彼はクラウドファンディングで10万ドルを集め、短編映画は大ヒットした。長編映画のために立ち上げられたKickstarterのプロジェクトでも、63万8000ドルを集めている。
ファンアートプロジェクトとしてはかなりの予算を獲得したことになるが、この成功はすぐさまParamount PicturesとCBS Studios双方の注意をひきつけた。昨年11月、両社はカリフォルニア連邦地裁に提訴した。
このスタートレックの権利者は、とりわけスタートレックの設定やキャラクター、種族、衣服、色、かたち、言葉、語句、クリンゴン語の所有権を主張した。
今週、AxanarプロダクションとAlec Petersは、権利者からの申し立てに反論を提出した(PDF)。このファン・ムービーの製作者によると、申し立てにおいて「侵害要素」とされているものには、そもそも著作権で保護されないものが含まれているという。
この反論のなかで、映画製作者は、名前やタイトル、スローガンなどの単語や語句は保護されていないという。たとえば、有名なフレーズ「わたしを転送してくれ(beam me up)」やスタートレック関連の名前などがそうだという。
「イザールのガース、ソヴァル、リチャード・ロバウ、ジョン・ジルなどの名前は保護されない。また、アンドリア人、テラライト人、ロミュラン人、アクサナ―、アーケイナス4号星、クオノス、ナウシカ、リゲル、アンドリア、テラー・プライム、ヴァルカン人、クリンゴン人、テラ、スターシップ・エンタープライズ、スターフリート、連邦、スターシップ、宇宙暦、連邦、語句『転送(beaming up)』なども同様に保護されない」と彼らは主張する。
さらにAxanarプロダクションは、クリンゴン語はアイディアに過ぎないため、ParamaunstとCBSはその所有権を主張できないと指摘した。
「クリンゴン語自体はアイディアあるいはシステムであり、著作権で保護されない」という。
「申し立ては、被告がクリンゴン語を使っているというものであり、被告がその言語を使った被告の特定の表現をコピーしていると主張ではない。したがって、著作権侵害を主張するのは不適切である」
また被告は、ヴァルカン人の特徴や熱線型フェイザー銃の使用はスタートレックに限ったものではないと強調する。それらは自然界に存在していたり、過去のフィクション作品に用いられているものである。
「ヴァルカン人の特徴、つまり「尖った耳」を持つ種族は、スタートレックのオリジナルではなく、スタートレック以前の多くファンタジー作品において、架空のヒト型種族――たとえば、バンパイア、エルフ、フェアリー、狼男――の特徴として描かれている。また、自然界に存在する多くの動物がその特徴を有している」
「熱光線銃としても知られるフェイザー銃は、H.G. Wellsの1898年の作品『世界戦争』以降のサイエンス・フィクションに存在している」と被告は主張する。
また被告は、原告がどの作品の著作権が侵害されているかを示しておらず、申し立てが具体的ではないとも主張する。
「原告は、『700本以上の』スタートレックのテレビ・エピソード、12本の映画、4冊の書籍の権利を所有していると主張しているが、具体的にどの作品の著作権を被告が侵害したと主張しているのか特定していない」
Axanarプロダクションは、本件の申し立てを棄却するよう法廷に求めている。
“Copyright Does Not Protect the Klingon Language, Court Hears – TorrentFreak”
Publication Date: March 30, 2016
Translation: heatwave_p2p
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Stefan Cosma