以下の文章は、TorrentFreakの「Streaming Piracy Remains Constant in Sweden, Despite Boost in Legal Consumption」という記事を翻訳したものである。

TorrentFreak
正規ストリーミング配信の選択肢が増えるにつれ、無許諾の「海賊版」サイトの利用が減少していくことが期待されていた。だがNetflixなどのサービスの利用者が増加し続けているスウェーデンでは、海賊版サイトの利用者は人口の約20%のまま推移しているという。

インターネットで映画やテレビ番組をストリーミング配信する正規サービスがほとんど存在しなかった時代、海賊版サイトは市場全体を事実上支配していた。

そこで考えられたのは、エンターテイメント業界が結集し、コンテンツを手頃な価格(それを作れば、彼らは来るだろう)でアクセスできるようにすれば、海賊版サイトへのアクセスは自然と減っていくだろうという理屈だった。

パイレート・ベイをはじめとするプラットフォームが15年にわたって根を下ろしているスウェーデンの市場にとって、正規版サービスは悲願であった。現在はNetflixやHBP Nordicなどいくつかの選択肢が存在している。

しかし、海賊版対策団体「Rights Alliance」によれば、正規サービスが利用できるようになったこと、それが一般市民に普及したことは、『海賊版』サービスの利用者の数に影響を与えてはいないという。

「残念ながら、違法な利用は減少していません」とRights Allianceのサラ・リンドベック弁護士はスベリゲスラジオに語った。

「スウェーデン(の海賊版利用率)は、近隣の北欧諸国より遥かに高くなっています。率にして約20%ですから、スウェーデン人の5人に1人が違法なサービスを利用していることになります」

海賊版サイトの利用者数が正規サービスが普及した現在も減少していないという主張は、映画業界やテレビ業界を失望させるだろう。だが、問題はなぜそうなのかということだ。リンドバックは、海賊版ストリーミングサイトは基本的に無料で利用できるからだという。これは大きな魅力ではあるが、別の問題を引き起こしてもいる。

特に映画の場合、海賊版サイトは正規版市場の弱点をつくことができる。劇場その他のウィンドウ戦略(作品がストリーミング配信されるまでにかなり待たされる)は、海賊版サイトが最新コンテンツを最速で視聴するための選択肢であることを意味している。それゆえ、Netflixなどのサービスに加入していても、海賊版の重要性は維持されているのだ。

先週お伝えしたように、欧州では海賊ユーザのかなりの割合が、正規コンテンツの消費者でもある。スウェーデンでは、正規の消費を海賊版が補っているため、喜んでお金を払いつつ、海賊版を利用するという状況が見られている。

これは必然的に、Rights Allianceが再びエンフォースメント戦略を立て直し、海賊版サイト運営者への厳罰と、インターネット・サービス・プロバイダに協力を求めることにつながっていく。

「政府が(海賊行為を)重犯罪とすることで制裁を強化し、警察がより強力な対策ツールを手にするための提案がある」とリンドバックは説明し、さらにISPとの連携が強化されれば、海賊版利用率の低減にも役立つだろうという。

最後に、海賊版に関連した著作権教育に言及している。これはしばしば海賊版サイトから人々を遠ざける手段として喧伝されている。リンドバックは、海賊版サイト運営者が広告などで稼いだ金銭は犯罪やマネーロンダリングに関係していると指摘する人たちとともに、この領域での進展が見られていると語った。

「インターネットの利用については、驚かれるかもしれませんが、成熟してきていると思いますよ」とリンドバックは結論した。

Streaming Piracy Remains Constant in Sweden, Despite Boost in Legal Consumption – TorrentFreak

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: September 02, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Maria Teneva
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