以下の文章は、TorrentFreakの「Members of Congress Question Google CEO about YouTube’s Content-ID System」という記事を翻訳したものである。

TorrentFreak

現在、権利者保護を目的とするYouTubeのコンテンツIDシステムは、誰にでも利用できるわけではない。米国議会の複数の政治家が、この最も有効な侵害対策ツールへのアクセスが限定されていることに疑問を呈している。彼らはコンテンツIDが抱える複数の問題についてGoogleのサンダー・ピチャイCEOに質問し、コンテンツIDがさらに多くの権利者にアクセス可能になるよう求めている。

YouTubeは著作権者を保護するために、高度な海賊版検地システムを用いて、無断使用されたビデオにフラグを立てて不可視化している。

このシステムはコンテンツIDと呼ばれ、通常はうまく機能しているものの、完璧とは言い難い。この数年、YouTubeユーザと著作権者の双方からの批判に直面している。

たとえば、ユーチューバーは、自分のコンテンツが不適切な著作権主張を受けていると何度も不満を訴えている。一方で、コンテンツIDプログラムへの参加を希望しても承認してもらえない無数の権利者の不満も溜まっている。

現在のところ、YouTubeのコンテンツIDシステムに参加しているのは、数千社程度に限定されている。その資格は、YouTubeユーザに「頻繁にアップロード」されている「相当のマテリアル」の独占的権利を有する請求者にのみ与えられている。つまり、一般的なインディーのクリエイターではない、ということだ。

この排他性は、YouTubeを手動で検索して侵害コンテンツを探さねばならない小規模のアーティストにとっては厄介な問題だ。何もYouTubeに限った話ではないのだが、彼らはYouTubeから排除され、不利な立場に置かれていると感じている。

この問題に米国の政治家たちも目を向けている。今週、マーシャ・ブラックバーン上院議員、クリストファー・クーンズ上院議員、ジェロルド・ナドラー下院議員、アダム・シフ下院議員ら8名の議員グループがコンテンツIDに関する円卓会議を開き、Googleのサンダー・ピチャイCEOに参加を求めた。

メンバーらは、Googleの著作権侵害対策を評価しつつも、小規模なクリエイターが排除されていることへの懸念を表明している。

「作品数が多くないという理由でコンテンツIDを利用できない著作権者は、自らの作品を著作権侵害から効果的に保護することが困難あるいは不可能であり、ひいては彼らの生活に影響しかねないことを我々は懸念している」

議員らは、多数の著作権者がコンテンツIDへのアクセスを拒否されていることを問題視し、彼らは侵害コンテンツを手動で削除できるにしても、競合の大企業よりも面倒な作業をより少ないリソースでこなさなければならないと指摘した。

「コンテンツIDツールへのアクセスを拒否された著作権者にヒアリングを行った結果、以前に著作権侵害と判定されたコンテンツの再アップロード防止に関して、彼らは多大な不利益を被っていることがわかった」と書簡には記されている。

「彼らは、まったく同じ著作物のために毎週何時間もかけて、無断使用を探し出しては削除通知を送るか、自らの知的財産権の不正利用を見逃すより他ない状態に置かれている」

議員らはこの円卓会議で、コンテンツIDの問題について多様な意見を求めているという。会議にはクリエイティブコミュニティの代表者も出席することになっている。また、議員らはGoolgeのCEOに宛てた質問状を用意しており、その回答を求めている。

とりわけ議員らが関心を示しているのは、コンテンツIDシステムの仕組み、現時点で権利者に課されている参加要件、将来的にさらに広範囲の権利者に門戸が解放されるのか否か、Bloggerを始めとする他のGoogleサービスにも拡大するのかといった質問への回答だ。

この円卓会議は全体的に、コンテンツIDを利用できない権利者の視点に限定されているように思われる。ユーチューバー(彼らもまたクリエイターである)が不満を訴えている大量の不正確なクレームの問題も、コンテンツIDの悪用の問題もいずれもアジェンダには上がっていない。

「繰り返しになるが、我々は、YouTubeの著作権侵害コンテンツ対策は評価している。それが著作権者によって明らかに有益であることを考慮すれば、コンテンツIDとそれがもたらす有益性をより多くの領域のコンテンツクリエイターに利用できるようにしてもらいたい」

議員らがGoogleのサンダー・ピチャイCEOに送付した書簡の写しはこちらから(PDF)。(via IPWatchdog

Members of Congress Question Google CEO about YouTube’s Content-ID System – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: September 06, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Material of Header Image: thom masat