以下の文章は、TorrentFreakの「Cloudflare Sued For Failing to Terminate 99 ‘Repeat Copyright Infringing’ Sites」という記事を翻訳したものである。

TorrentFreak

ウェディングドレスのデザイン、製造を手掛ける2社が、「侵害を繰り返す」99のウェブサイトへのサービス提供を停止しなかったとしてCloudflareを著作権侵害で提訴した。Allure BridalsとJustin Alexanderは、7000件以上のDMCAクレームをCloudflareに送付していたが、Cloudflareは侵害サイト側に通知する以外に有効な措置を取らなかったと主張している。

ウェブサイトの侵害活動を止めるために八方手を尽くしたがどうしようもならない――権利者がそのように感じている場合、さらにその上位に目を向ける傾向が高まっている。

そうした侵害サイトは現在、ホスティング会社やドメインレジストリに対する著作権侵害クレームに直面している。いまや数百万のウェブサイトに利用されるCDNプロバイダのCloudflareもその主要ターゲットとなっている。昨日、テネシー州地方裁判所で起こされた訴訟もまさにその一例と言えよう。

Allure BridalsとJustin Alexanderを展開するAmerican Clothing Express Inc.は、ウェディングドレスのデザインと製造を手掛けている。同社は販売・マーケティングの一環として、年に数十万ドルをかけて製品を着用したモデルの写真撮影を行っているという。

だが、同社が撮影したフォトジェニックな写真は、国外の無関係なブライダル店のウェブサイトに無断掲載され(以下はその一例)、各地で「安っぽい模造」ドレスを顧客に売りつけるために使われているのだという。

原告側は、その多くが中国や東南アジアのサーバや、米国の著作権法に従わないことを謳うオフショアのサーバにホストされていることを指摘し、そうしたサイトへの実効性のある救済がないと主張する。

「原告ないしその代理人から、侵害サイトの被告ないしこれら法域の異なる地域を拠点とする組織に送付されたクレームは、ほとんど聞き入れられることはない。侵害サイトの被告に対して得られた国内の判決は、しばしば彼らの拠点とする国の法域において強制力を持つものではない」と訴状には書かれている。

訴状には、そうしたカテゴリに分類される99のウェブサイト(Does1-200)が挙げられている。いずれも米国を拠点とするCloudflareを使用している/利用していたという点で共通している。そこで原告側は著作権を侵害する画像の掲載を制限する措置を講じることを期待して、Cloudflareに著作権侵害通知を提出した。

同社は過去3年間に数千件の著作権侵害通知を提出し、侵害サイトが無断転載を行っているページのURLを伝えた。Cloudflareはこうした通知を顧客とホスティング会社に転送してはいたが、クライアントの性質上当然のことながら、ホスティング会社はほとんどの削除要請を無視した。

訴状では、99のサンプルサイトの運営者による直接の著作権侵害を主張しているが、そこにCloudflareが関与していたことから、同社が著作権侵害に寄与したとも主張されている。

「原告が契約する模造品対策ベンダーはCloudflareに対し、侵害が行われていることを3年間で7000回以上通知していることから、Cloudflareは本件に係る具体的な侵害行為について実際の知識を有していた」と訴状には書かれている。

他のブライダル企業がカリフォルニア州で起こした訴訟と同様に、本件の原告も、Cloudflareが(以下の画像からもわかるように)同一の顧客に繰り返しクレームが寄せられていることに気づいていたのであれば、より恒久的な対処を講じるべきであったと主張している。

「Cloudflareは、侵害を繰り返すアカウントを停止するだけで、同社CDNを介して行われる侵害を阻止できたはずである」

「Cloudflareは、原告や他のブライダルメーカーが送付した通知に応じ、侵害を繰り返す者を排除したことはない。その結果、原告の著作権を侵害するウェブサイトの多くがCloudflareに最適化されており、他のCDNプロバイダとは対照的である」

原告はCloudflareの競合他社の名前を挙げてはいないが、他のCDNプロバイダは同様の著作権侵害通知に応じて画像が削除されなければ、ウェブサイトの全アカウントが停止されるという。

『侵害を繰り返す者〈repeat infringer〉』という用語は、米国の著作権侵害訴訟においてますます一般的になりつつある。

2019年12月、バージニア州地裁は、Cox Communicationsが著作権侵害の再発を防ぐために十分な対策を講じていないと判断し、10億ドルの侵害賠償を命じる評決を下した。Coxは1万点以上の著作物に対する加入者の著作権侵害行為に対し、寄与および代位責任を負うとされた。

Allure BridalsとJustin Alexanderの裁判では、Cloudflareは99のウェブサイトが掲載していた5000点以上の著作権侵害画像について寄与侵害に責任を負うと主張されている。俯瞰的に見れば、Cloudflareは数千もの海賊版サイトにサービスを提供しており、この裁判の判決は非常に興味深い。

AllureBridalsとJustinAlexanderは、99のウェブサイトに対する「故意で意図的な」著作権侵害について、実際の損害賠償ないし法廷損害賠償、進行中の侵害を防ぐための差し止め救済、ブライダル企業の権利を侵害して作成された著作物のすべてのコピーの破棄を求めている。

Cloudflareの寄与責任については、同社が侵害画像のコピーを米国内のサーバに蔵置し、侵害ウェブサイトのパフォーマンスを向上させる一方で、それらの実際の所在地を隠すことによって、直接侵害者を幇助したと主張されている。

それゆえ、Cloudflareの行為は「故意で意図的な」と表現され、原告らは実際の損害賠償ないし法廷損害賠償に加え、同様の差し止めを求めている。

訴状の写しはこちらから(pdf)。

Cloudflare Sued For Failing to Terminate 99 ‘Repeat Copyright Infringing’ Sites – TorrentFreak

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: January 07, 2020
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Chiến Phạm