大人気を博した「フルスクリーンマリオ」のウェブサイトの閉鎖から数年が経ったいま、任天堂はGithubの開発コード・レポジトリの削除を要請した。ユーザはこのコードを使って1985年発売のスーパーマリオブラザーズを自分のローカルマシンでプレイしたり、コースを自作することができた。開発者のジョシュ・ゴールドバーグは、任天堂は彼のフルスクリーンマリオにインスパイアされて「マリオメーカー」をリリースしたのではないかと話している。多くの熱心なゲーマーにとって、ブラウザベースのエミュレータを利用した古いコンソールのゲームや派生ゲームのプレイするのは、なかなかに楽しい暇つぶしになる。

しかし、そうしたファンメイドのゲームをオンラインで維持し続けるのは、非常に難しい。任天堂のスーパーマリオブラザーズのブラウザ版を2013年に削除させられたジョシュ・ゴールドバーグは、身を持って思い知らされただろう。

ブラウザゲームの「フルスクリーンマリオ」は複数の点でユニークだった。オリジナルの32面(1-1から8-4まで)をプレイできるだけでなく、ランダムにマップが生成されたり、ステージを自作する機能もあった。こうした機能は後に任天堂がリリースした「マリオメーカー」にも含まれている。

「フルスクリーンマリオ」が270万のユニーク・ビジターを集めたころ、任天堂からゴールドバーグにDMCA削除通知が送付され、サイトを閉鎖せざるを得なくなった。しかし、その後も「フルスクリーンマリオ」のコードはGithubで広くアクセスできるかたちで残り、最近まで活発に開発が続いていた。

そのため、「フルスクリーンマリオ」が削除された後も、ユーザはローカルマシンでプレイしたり、サーバにホストすることができた。しかしそれから2年が経過した現在、任天堂はGithubリポジトリもオフラインにすることにしたようだ。

「任天堂は最近、(Github上に)任天堂が所有する著作物を侵害する特定のマテリアルが投稿されたウェブページを発見した」と、Githubに数時間前に送られたDMCA通知にはある。

「任天堂は、任天堂アメリカが著作権を有するスーパーマリオブラザーズのマテリアルを無断で使用し、任天堂の独占的権利を侵害するソフトウェアファイルへのアクセスを提供する[…]ウェブページへの公衆送信を無効にするようGithubに求める」

その結果、Githubはこのリポジトリ全体を削除し、任天堂からDMCA削除要請があったことを示すメッセージに差し替えた

フルスクリーンマリオ
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興味深いのは、この削除通知が出されたタイミングだ。ゴールドバーグは現在、マイクロソフトのソフトウェア開発エンジニアとして働いており、フルスクリーンマリオの成功について語ったMicrosoft + Open Sourceのインタビュー記事が公開された直後に、この削除通知が送付されている。

興味深いタイミングといえば、「フルスクリーンマリオ」が削除された数カ月後に、「マリオメーカー」がリリースされたことも見逃せない。ゴールドバーグは、任天堂の「マリオメーカー」が彼のゲームにインスパイアされたものかもしれないという。

「秋に、非常に人気を博したファンサイトを削除し、春・夏ごろにその製品のトレーラーをリリースした――偶然にしてはあまりにできすぎていますね」と、彼は以前、ワシントン・ポストに語っている。

「インターフェースは私が開発したものと同じでした。ただ、それはより良いものになっていて、まさに私自身がそういうふうにしたいと思っていたものでした」と彼は言う。また、任天堂から彼に個人的に連絡がくることはなかったとも話している。

フルスクリーンマリオが生まれてからおよそ3年が経ち、このプロジェクトは終了するのかもしれない。既に複数のフォークが生まれ、またどこかで復活する可能性はないわけではない。しかし、公式のリポジトリとしてはゲームオーバーを迎えたのだろう。
“Game Over: Nintendo Takes Down “Full Screen Mario” Code – TorrentFreak”

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: May 12, 2016
Translation: heatwave_p2p