以下の文章は、電子フロンティア財団の「Copyright Regulator Eases Restrictions on Research, Education, and Repair」という記事を翻訳したものである。
デジタルミレニアム著作権法(DMCA)は、セキュリティ研究、障害者のアクセシビリティ、リミックス、さらには修理に至るまで、さまざまな表現やイノベーションを阻害してきた。DMCAは著作権を侵害しない目的であっても、著作物への無許可のアクセスを禁止している。その結果、1世紀以上にわたり表現の自由を保護するために著作権を制限してきた法律が事実上無力化されてしまっているのである。
DMCAでは、著作権局と議会図書館長が 3年ごとに、このひどく制限的な法律の適用除外を求める市民からの要望を検討することになっている。我々はセキュリティ研究、リミックス文化、脱獄(Jailbreak)などを保護してきた実績を踏まえ、この見直しに再び参加した。
今回の適用除外(PDF)は、以前より多くの点で改善されており、セキュリティ研究、アクセシビリティ、教育、保存、修理に勝利がもたらされた。今回の適用除外には、不必要で有害な制限が含まれているものの、Apple TVやFire Stickなどのビデオストリーミングデバイスの脱獄(Jailbreak)、自由ソフトウェアやオープンソースのライセンス条項違反を特定するための回避など、今回の裁定で図書館長が追加的自由(Freedom to Operate)を認めたことは歓迎したい。後者の適用除外はSoftware Freedom Conservancyの仲間が提唱したものだ。
修理に関しても適用除外の範囲が拡大し、あらゆる家電製品が対象となった(ただし、特定の車両システムやゲーム機器部品については若干の例外措置が講じられている)ため、メーカーはDMCAを利用して第三者による修理を妨害できなくなった。医療機器からボートまであらゆる機器の非メーカー修理を訴えてきたアドボカシー団体、修理団体が共同で勝ち取った勝利である。
だが極めて残念なのは、一般ユーザがデバイスのソフトウェアに非侵害的な改変(modifications)を加えられるようにすべきであるとの我々の要求が認められなかったことである。我々は以前、自動車やトラクターなどの車両を制御するソフトウェアを合法的に変更できるようにすべきだと提案し、それを認めさせた。テクノロジーのデフォルト機能では満足できないコミュニティが、新機能を追加したり、不要なスパイウェアを除去したりして、自らのニーズに合わせてカスタマイズできるようにすべきなのだ。
EFFは、デジタルカメラのソフトウェアを改造して写真家に新たな芸術的オプションを増やしたり、スマートゴミ箱にサードパーティ製のクリーニングカートリッジを使えるようにしたり、ドローンを飛行ではなくワイヤー操作できるようにカスタマイズしたり、デバイスのインターフェースを改良して(たとえば色盲ユーザのために)気が散らないようにしたりアクセスしやすくしたりするなど、権利侵害にあたらない改変(modification)の事例を規則見直しに際して提出した。我々が要求したように、修理に関する提要除外は家電製品全般に拡大されたものの、このような適法な改変はほとんど議論されることなく放置された。国家電気通信情報管理庁(NTIA)がデバイス機能の改変への適用免除を支持したものの、著作権局と議会図書館長はこれに反対した。
残念ながら、見直しプロセスには実質的な制限が存在している。図書館長は、誰かが回避行為を実施することを許可する事はできても、回避行為を実現するための技術の普及を禁止する法律自体を変更することができない。つまり、適用除外によって回避できるようになったとしても、回避するためのツールを提供する行為は依然として違法のままにされる可能性があるということである。回避する権利を真に意味あるものにするために、議会はこの制限を除去しなくてはならない。さらに言えば、議会はこの不必要かつ有害な法律を完全に廃止すべきなのである。
Publication Date: October 28, 2021
Translation: heatwave_p2p
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