4Kコピープロテクトを回避可能なデバイスの製造業者LegendSkyは、致命的な裁判を生き抜いた。LegendSkyは、ワーナー・ブラザースとインテルの子会社Digital Content Protection(DCP)に、著作権法違反で訴えられていたが、その結末は驚くべき和解によって幕を閉じた。
昨年末、NetflixとAmazonの4Kビデオコンテンツの海賊版が初めてリークされた。通常、4Kストリーミングコンテンツは海賊版対策のプロテクトがかけられており、こうしたリークは非常に珍しいことであった。
当初、これら4KコンテンツにかけられたHDCPプロテクトがどのように回避されたのかは不明だったが、LegendSkyの最新のHDFuryデバイスが関係しているのではないかとの声が複数あがった。
のちに著名なSceneグループが、そのリリースノートのなかで公然とHDFuryに感謝の意を述べたことで、その推測は確認された。
しかし、この新しい「海賊ツール」の登場に喜んだ人ばかりではなかった。実際、ワーナー・ブラザースとインテルの子会社Digital Content Protection(DCP)は、最新のHDCP暗号化を「解除」する製品を製造したとして、HDFuryを製造する中国企業LegendSkyを訴えた。
LegendSkyは、著作権侵害の主張に強く反論し、ワーナーとインテル子会社を名誉毀損で反訴した。
LegendSkyは、ワーナーとDCPとの応酬のなかで、HDFuryはいかなるHDCPコピープロテクトをも「解除」していないと説明した。問題のHDFuryは、上位のHDCPプロテクトを下位のバージョンにダウングレードするだけあり、それはDMCAの例外として認められていると主張した。
同社はさらに、NetflixやDisney、NBC、CBSなどのHDCPライセンシーが、合法な用途で同社製品を購入していると主張した。
DCPはこの主張の強さを認めたようで、今週LegendSkyに対する著作権侵害裁判を取り下げた。つまり、著作権侵害を起こされたにも関わらず、この4K製品は今後も販売が継続されるということである。
法廷文書には、両者が申し立ておよび反訴を取り下げるということ以外には記されていない。しかし、LegendSkyは数日前に顧客に送付したメールによると、どうやらワーナーとDCPとの和解に至ったようだ。
「係争中の和解に絡み、以下の製品を直ちに販売停止とすることを、弊社法律顧問からお知らせいたします」と問題の電子メールには記されている。
興味深いことに、販売停止をアナウンスされた製品は、デジタル-アナログ・コンバーターで、訴訟で問題とされた4Kスプリッターとはまったく無関係の製品であった。
これらの製品は、米国において以前に「著作権侵害している」と分類されており、DCPが裁判所に提出した訴状においても、いわゆる「アナログ・ホール」とされていた。したがって、和解の一環としてこれら旧製品を販売停止とすること自体は、辻褄のあわないことではない。
しかし、この和解条件によって守られるのは、せいぜいワーナー・ブラザースとインテル子会社の面子である。LegendSkyには何ら影響を及ぼすものではなく、この4K製品は今後も販売が継続する。この裁判においては、LegendSkyが実質的に勝利したと言って間違いないだろう。
“4K Content Protection “Stripper” Beats Warner Bros in Court – TorrentFreak”
Publication Date: May 22, 2016
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: ICOOOON MONO
このHDFury Integralデバイスは、HDCP2.2が非対応の機器でもHDCPプロテクトされたコンテンツを(HDCPをダウングレードして)再生可能にするためのもので、HDCPの回避が主たる目的ではない。著作権保護の名のもとに、DRMはさまざまなデバイスを切り捨てて、消費者に新たな要件を突きつけているわけで、そうした流れに乗りきれない消費者は少なからずいる。そうした消費者には必要な製品、というわけだ。
プロテクトを強化するために、要件を厳しく複雑にしすぎたがゆえに生まれた需要だと思うけどもね。