以下の文章は、Walled Cultureの「Ed Sheeran must face yet another music copyright trial, even more outrageous than the others」という記事を翻訳したものである。
4月、私はこのWalled Cultureに、エド・シーランが盗作をめぐる裁判に勝利したことを書きました。残念なことに、所有権という強迫観念にとりつかれた著作権の世界では、シーランが安心して暮らせるようになることはなさそうです。実際、彼はすでに別の裁判を起こされています。次の標的はヒット曲「Thinking out loud」でした。今回は存命中のアーティストからではなく、1984年に亡くなったマーヴィン・ゲイの「Let’s get it on」の盗作だと主張されています。BBCは次のように報じています。
「Thinking Out Loud」をめぐる請求は、2018年に提訴された。だが、ゲイの遺族からなされたものではなく、投資銀行家のデヴィッド・プルマンと、「Thinking Out Loud」共同作曲者エド・タウンゼントの遺産の一部を取得したStructured Asset Sales[SAS]という会社が起こしたものだ。
作品を不当に使われた気の毒なアーティストが正義を求めて訴訟を起こしたというわけではなく、楽曲とは無関係の人々が1億ドルもの賠償金を求めているのです。つまり、「資産」への投資から得られる収益を最大化するための訴訟です。ですが、それでもまだ足りないようです。
SASは2件目の訴訟を起こしている。現在は中断されているが、別のタウンゼントの遺産に関する審理も控えている。
つまり、シーランがファンのために新曲を書く時間が減り、無意味な訴訟に煩わされることになるということです。著作権がクリエイティビティを促さないどころか、むしろ積極的に阻害する事例と言えるでしょう。
他にも同様の事例は無数にあります。ぜひ、私の新刊「囲い込まれた文化(Walled Culture):テクノロジーと法律を振りかざして文化を閉じ込め、クリエイターを困窮させ続けるビッグコンテンツ」を御覧ください。本書は、さまざまなフォーマットで無料ダウンロードできます。
Ed Sheeran must face yet another music copyright trial, even more outrageous than the others – Walled Culture
Author: Glyn Moody / Walled Culture (CC BY 4.0)
Publication Date: October 4, 2022
Translation: heatwave_p2p
Header Image:
Alexey Druzhinin (CC BY 2.0)