以下の文章は、Walled Cultureの「If Twitter goes down in flames, what happens to its huge and historically important collection of tweets?」という記事を翻訳したものである。

Walled Culture

先日、K-POPライブストリーミングという非常に稀有な文化が失われてしまいそうだという話を書きました。文化は文化であり、喪失は喪失です。とはいえ、もっと大規模な文化的リソースが消滅の危機に瀕しています。Twitterと、その16年間に書き込まれた膨大なツイートです。

私たちはこれまで、Twitterとそれが現代文化や言論に果たす重要な役割を、むしろ当然のこととして認識してきました。ですが、イーロン・マスクによる買収と、その後の風変わりな決断は、(a)マスク自身が述べているTwitterの倒産の可能性を高め、(b)そうなればどれほどの価値が失われるのかを知らしめました。

Twitterには、現在進行系の独立したバックアップが存在していません。米国議会図書館(LoC)はしばらくの間、完全なTwitterアーカイブの作成を許可する協定に署名していました。これは12年前に実施され、その間に何十億もの収集されました。しかし、2017年にTwitter Archiveのアップデートで説明されたように、ツイート数の劇的な増加、テキストよりもビジュアルツイートのほうが多いこと(議会図書館はテキストのみ扱っていた)、ツイートの上限が140文字から280文字に増えたことなどの理由から、以降は収集しないという判断に至りました。また、LoCは、それまでの収集で「重要なソーシャルメディアプラットフォームの台頭を記録して」おり、いずれにせよ「包括的な収集」を目指す必要はないとしています。その結果、ツイートを選択的に収集することになりました。

Twitter Archiveは、現世代が将来世代に残す最も重要な資産の一つになるでしょう。未来の世代は、我々の歴史におけるこの豊かな時代、情報の流れ、そして現在の世代を定義するのに役立つ社会・政治的な力学について多くのことを学ぶことができるのです。

このことはアーカイブ停止後にも当てはまるでしょう。未来の世代が同じように(訳注:2017年までのアーカイブで十分と)考えてくれるかはわかりません。いずれにせよ、少なくとも私たちは、2017年から現在までの、おそらくほとんどのすべてのツイートを喪失するリスクに直面しています。というのも、私が知る限り、以前の議会図書館のようにツイートの全フィードを受信している機関は存在しないからです。インターネットアーカーイブもスナップショットを保持してはいますが、特定のツイートが含まれている保証はありません。

公開のTwitterサービスから直接全てのツイートをダウンロード保存することもできません。これは技術的な理由というより(今日の高度なシステムで不可能ではない)、著作権の問題です。Twitterの利用規約にはこうあります。

ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介して自ら送信、投稿または表示するあらゆるコンテンツに対する権利を留保するものとします。ユーザーのコンテンツはユーザーのものです。すなわち、ユーザーのコンテンツ(他のコンテンツに組み込まれたユーザーの音声、写真および動画もユーザーのコンテンツの一部と考えられます)の所有権はユーザーにあります。

数十億ものツイートを許諾なくコピーするようなプロジェクトは、それにかかる莫大な費用を考えると、どんな機関であろうとリスクが高すぎて手出しできません。数億人のTwitterユーザからツイートのコピーの許可を得るなど、悪夢以外の何物でもないのですから。イーロン・マスクの行動の結果としてTwitterというサービスがどうなろうと、著作権の問題は常に別の問題なのです。米国議会図書館が「将来の世代への現世代の最も重要な遺産の1つ」と呼んだものは、常に消失のリスクに晒されています。そして、議会図書館が保持するアーカイブはたしかに貴重ではありますが、完全ではなく、一般に公開されることもないのです。

If Twitter goes down in flames, what happens to its huge and historically important collection of tweets? – Walled Culture

Author: Glyn Moody / Walled Culture (CC BY 4.0)
Publication Date: November 22, 2022
Translation: heatwave_p2p

カテゴリー: Copyright