パイレート・ベイの共同設立者ピーター・スンデは、刑期を終えて既に出所している。しかしそれによって、彼のパイレート・ベイ裁判が完全に終わったわけではない。彼は数百万ユーロの損害賠償を抱えているのだ。にも関わらず、彼はいささかも心配はしていない。映画スタジオやレコードレーベルには一銭も支払うつもりはないのだという。
パイレート・ベイの元スポークスマン、ピーター・スンデは、悪名高き海賊版サイトに関わったために、莫大なツケを支払わされた。
2年前に釈放されてからというもの、彼はFlattrや彼自身のアートプロジェクト、さらにはフィンランドのテレビ番組に出演するなど、忙しい日々を送っている。
彼がパイレート・ベイから離れて既に10年が経とうとしているが、関与していた過去は未だ彼につきまとい続けている。昨年にも、フィンランド地裁はパイレート・ベイのユーザが違法に音楽を共有していたとして、彼に35万ユーロ(約4250万円)の支払いを命じている。
今週、ピーターはTorrentFreakのSteal This Showポッドキャストに出演してくれた。彼はこの判決を聞くまで、裁判が進んでいたことに気づかなかったと話す。
ピーターによると、裁判所は彼がもはやパイレート・ベイに関与していないことを証明するよう求めてきたのだという。悪魔の証明だ、彼はいう。そこで、裁判所のロジックに従って、皮肉のきいた返答をすることにした。
「裁判所にはこんなメッセージを送ったんだ。『あなた方は僕を刑務所にぶち込むつもりはないことを証明する必要がある』ってね。返事はなかったから、まぁ僕を刑務所にぶち込むつもりだったんだろうね」
数十万ユーロを支払えなどと言われれば、普通の人は頭を抱えてしまいそうなものだが、ピーターは至って平然としている。フィンランドの裁判は控訴中ではあるが、賠償額がどれほどの額になろうとも大した問題ではないのだという。
複数の裁判を経て、パイレート・ベイの元スポークスマンはハリウッドに数百万ユーロの借金を抱えることになった。スウェーデンだけでも、損害賠償額はすでに1500万ユーロに達し、14%の年利で増え続けているのだという。
計算上、彼が定年を迎えるまでに損害賠償額は5億ユーロに到達する。現実問題、彼は既に利子の返済すらまったく不可能なので、死ぬまで借金を抱え続けることになるだろう。しかし、たとえ借金を返済できるとしても、そのつもりもないようだ。
「びた一文払う気はない」とピーターは言う。彼はハリウッドやレコード会社から何かをもらったことはないという。
「何度も何度も聞かれるんだ。『お金を返すつもりはあるのか』って。返すって何を? 確かに借りた金なら返す必要があるけど、僕は一銭ももらっちゃいない。お金を受け取ったことなんてないんだから」
パイレート・ベイの審理では、ピーターとその仲間たちは、海賊行為が権利者に重大な損失をもたらしているわけではない、という証拠を提示し続けた。しかし権利者たちは、適切なライセンス契約を交わしていればそれだけの額を手にしていたはずだと主張し、ピーターら被告はその額を支払わされることになった。
その債務はとてつもない重圧になりそうなものだが、ピーターは非常にリラックスしている。彼の友人の多くが、住宅ローンや学生ローンの返済に四苦八苦しているなか、彼一人はそのような心配から開放されている。
「月に250ユーロの返済とかならともかく、1000万ユーロを超えると借金をしていないも同然だね。心配すらしなくなる。気にならなくなっちゃうんだ」と彼はいう。
見方によっては、彼は多額の借金を背負ったことで、むしろ自由の感覚を手に入れたと言える。どんな金銭トラブルに巻き込まれようとも、彼にはどのみち支払えないだろうから。一切支払わないことにすれば、何の負担にもならないのだという。
「まぁ実際のところ、ほかの人は僕に比べたら支払う額が少ないだけ。そのせいで生き方を変えなきゃいけないこともあるけど、その分守られてもいる。僕はといえば、とんでもない額の賠償を負わされている。とはいえ、それを支払わされるようなところにいなければ、払う必要もないんだよね」
「それじゃ、スウェーデンでトレントサイトでも立ち上げようかな」
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ピーター・スンデとのトーク全編はSteal This Showのウェブサイトで公開中。
Pirate Bay’s Peter Sunde Doesn’t Plan to Pay Hollywood ‘Back’… Ever – TorrentFreak
Publication Date: March 18, 2017
Header Image: SHARE Conference / CC BY-SA 2.0
Translation: heatwave_p2p