以下の文章は、2025年11月8日付けのコリイ・ドクトロウの「Facebook’s fraud files」という記事を翻訳したものである。

Pluralistic

ロイターのジェフ・ホーウィッツ記者による衝撃的な報道は、流出した内部文書を分析し、以下の事実を明らかにした――Metaの総収益の10%は詐欺商品や詐欺広告から得られている。しかも同社側はそれを認識している。にもかかわらず何の対策も講じないと決めた。なぜなら、ユーザの人生を破壊する詐欺への加担に対する罰金が、ユーザの人生を破壊することで得られる見込み収益をはるかに下回るからである。

https://www.reuters.com/investigations/meta-is-earning-fortune-deluge-fraudulent-ads-documents-show-2025-11-06

メタクソ化[enshittification]仮説の核心は、企業がそうできるからという理由で、自社の利益のために自らの製品やサービスを意図的に劣化させ、ユーザに損害を与えるという点にある。不正、監視、独占を報いるメタクソ化を促す政策環境は、必然的に不正を働き、監視し、独占する企業を生み出す。

https://pluralistic.net/2025/09/10/say-their-names/#object-permanence

ロイターの「Facebook詐欺ファイル[Facebook Fraud Files]」報道は、まさにその好例だ。概要だけではこのスキャンダルの実態は伝わらない。自社プラットフォーム上で横行する実に恐ろしい詐欺やペテンを前にしたMetaの堕落と強欲は、息を呑むほどだ。

以下に詳細を挙げよう。まず、ロイターの推計によれば、毎日150億件の詐欺広告を配信し、年間70億ドルの収益を生み出している。自社の自動システムがこうした詐欺広告の広告主にフラグを立てているにもかかわらず、Metaはそのアカウントを停止しない。むしろ「抑止策」として追加の料金を課す。つまり、詐欺広告は通常広告よりもMetaにとって利益率が高い広告ということになる。

Meta社内のメモはさらに、同社が詐欺師に最も脆弱なユーザへの自動ターゲティングを支援していることも認めている。ユーザが詐欺広告をクリックすると、自動広告ターゲティングシステムがそのユーザのフィードにさらなる詐欺を大量に流し込む。世界の詐欺経済がMetaに完全に依存していることも同社は把握しており、米国の全詐欺の3分の1がFacebook経由で行われている(英国では、「決済関連の詐欺被害」の54%を占める)。Metaは自社プラットフォームが詐欺師にとって格別に居心地が良いとも結論づけており、2025年のある社内メモには「Metaのプラットフォームでは、Googleよりも簡単に詐欺広告を出せる」という同社の結論が記されている。

社内ではプラットフォーム上の詐欺を減らす計画も立てられたが、その取り組みは意図的に遅延させられている。同社の見積もりでは、全世界で最終的に支払うことになる罰金は最大でも10億ドルに過ぎないが、詐欺による収益は現在年間70億ドルに上るからだ。この詐欺対策の取り組みを発表するメモは、詐欺広告収益が「詐欺広告に関する規制当局との和解にかかる費用をしのぐ」と結論づけている。別のメモでは、同社は詐欺に対して積極的な措置は講じず、規制当局の動きに対応する形でのみ詐欺と闘うと結論づけている。

Metaの詐欺対策チームは、対処できる詐欺広告の数を制限する社内割当制度のもとで運営されている。2025年2月のメモには、詐欺対策チームが許可されている措置は広告収益の0.15%(1億3500万ドル)を減少させる範囲に限られると記されている。同社自身の推計では、詐欺広告が年間70億ドルの収益を生んでいるさなかに、だ。このプログラムの責任者は部下たちにこう警告している。「我々には具体的な収益ガードレールがある」。

Metaの詐欺とは具体的にどのようなものか。ロイターが挙げる一例として、同社が発見した「数十万規模のアカウントネットワーク」がある。これは米軍関係者になりすまし、他のMetaユーザに送金させようとするものだった。ロイターはさらに、Metaユーザの金を騙し取るために「著名人を装ったり大手消費者ブランドを名乗る偽アカウントが大量に出回っている」とも報じている。

もう1つの一般的な詐欺形態が「セクストーション」詐欺である。これは誰かがあなたのヌード画像を入手し、金銭の支払いやカメラの前でのさらなる性的行為を要求しなければ画像を公開すると脅迫するものだ。この種の詐欺は10代の若者を狙い撃ちにして標的にしており、子どもの自殺にもつながっている。

https://www.usatoday.com/story/life/health-wellness/2025/02/25/teenage-boys-mental-health-suicide-sextortion-scams/78258882007

2022年、Metaのあるマネージャーが詐欺対策システムへの「投資不足」を訴えるメモを送った。同社はこの種の詐欺を「深刻度の低い」問題に分類し、意図的に取り締まりへのリソースを絞っていたのだ。

その後の数年間で事態はさらに悪化した。Metaは詐欺対策部門から大量の人員を解雇し、浮いた資金を別の種類の詐欺を実行するために振り向けた――メタバースとAIという大規模な投資家詐欺だ。

https://pluralistic.net/2025/05/07/rah-rah-rasputin/#credulous-dolts

こうした人員削減は、部門全体の閉鎖につながることもあった。たとえば2023年には、「ブランドライツに関する広告主の懸念」を担当していたチーム全体が解雇された。一方、MetaのメタバースおよびAI部門には社内リソースの優先的に配分され、安全対策チームは会社のインフラへの負荷の高い利用を一切やめ、代わりに「最低限の灯りをともし続ける」だけの運営に徹うるよう命じられた。

その安全対策チームは当時、毎週約1万件の正当な詐欺報告をユーザから受け取っていたが、自ら認めるところでは、そのうち96%を無視するか誤って却下していた。これが発覚すると、同社は2023年に、正当な詐欺報告の無視率をわずか75%にまで下げると誓った。

Metaが正当な詐欺報告を放置し対処しない場合、ユーザはすべてを失う。ロイターはカナダ空軍の採用担当者のケースを報じている。彼女のアカウントは詐欺師に乗っ取られた。被害者は何度もアカウント乗っ取りをMetaに報告したが、同社はそのいずれの報告にも対応しなかった。アカウントを掌握した詐欺師は被害者になりすまし、彼女の信頼する知人に対して暗号資産詐欺を勧め、暗号資産の利益で夢の家を建てる土地を買ったと吹聴した。

Metaが放置を決め込んでいる間に、被害者の友人たちはすべてを失った。同僚のマイク・ラヴェリーは詐欺師に4万カナダドルを騙し取られた。彼はロイターにこう語っている。「本当に評判の良い、信頼できる友人と話していると思っていた。だから警戒心を解いてしまった」。他にも4人の同僚が被害に遭った。

アカウントを盗まれた本人は友人たちにMetaへの詐欺報告を懇願した。彼らは数百件の報告を同社に送ったが、すべて無視された。王立カナダ騎馬警察を通じてMetaのカナダ詐欺対策担当者に届けさせた報告すら無視された。

Metaはこの種の詐欺――詐欺師によるなりすまし――を「オーガニック」と呼び、詐欺師が金を払って潜在的被害者にリーチする詐欺広告と区別している。Metaの推計では、1日あたり220億件の「オーガニック」詐欺の売り込みをホストしているという。こうしたオーガニック詐欺の多くは、実はMetaの利用規約で許容されている。シンガポール警察がMetaに146件の詐欺投稿について苦情を申し立てた際、同社はそのうちわずか23%のみが利用規約に違反していると結論づけた。残りはすべて許容範囲内だった。

こうした許容される詐欺には、有名ファッションブランドの80%割引を謳う「うますぎる話」、偽のコンサートチケット、偽の求人情報が含まれていた。いずれもMetaのポリシー上は許可されている。ロイターが確認した社内メモには、これらの詐欺がプラットフォーム上で禁止されていないことに気付いたMetaの詐欺対策スタッフの間に動揺が広がっていた様子が記されており、あるMeta社員はこう書いている。「現行ポリシーではこのアカウントにフラグは立たない!」

しかし、たとえ詐欺師がMetaの利用規約に違反したとしても、同社は動かない。Metaの方針では、「高価値アカウント」(詐欺広告に多額を費やすアカウント)は、Metaのポリシー違反で500件以上の「ストライク」(審査済み違反)を蓄積しなければ、アカウントが停止されないのだ。

Metaの安全対策スタッフは、自社ユーザを食い物にする詐欺師とMetaとの事実上の提携関係にあまりに憤慨し、週次で「最も詐欺的な詐欺師」賞を創設した。その週に最も多くの苦情を生み出した広告主に贈られるものだ。しかし実際にはこれが行動のきっかけにはならなかった。ロイターの調査では、「最も詐欺的な詐欺師」の40%が、同社で最も詐欺広告の多い詐欺師としてフラグを立てられてから6か月後もなおプラットフォーム上で活動を続けていた。

Metaのユーザに対するこの冷酷な無関心は、経営陣に新たなサディスティックな傾向が芽生えた結果ではない。内部告発者サラ・ウィン=ウィリアムズの回顧録『Careless People』が包括的に示しているように、この会社は常に、金儲けのためならユーザをいくらでも残酷に苦しめることを厭わないひどい人間たちに率いられてきたのだ。

https://pluralistic.net/2025/04/23/zuckerstreisand/#zdgaf

時間とともに変わったのは、ユーザを犠牲にして金を稼げるかどうかである。同社自身の内部計算がこのメカニズムを明確に示している。詐欺から得る年間70億ドルの収益は、ユーザを詐欺にさらしたことで支払わなければならない罰金を常に上回る。罰金は対価であり、その対価は(詐欺にとって)適正なのだ。

同社は詐欺を減らすことはできるが、それには費用がかかる。詐欺を減らすには、自動および手動の詐欺フラグを審査する詐欺対策従業員に資金を投じなければならず、さらに「偽陽性」――詐欺に見えるが実際はそうではない広告の過剰ブロック――による損失も受け入れなければならない。この2つの結果は反比例の関係にあることに注意が必要だ。人間による審査に費用をかけるほど、マグロの網にかかるイルカは減る。

詐欺対策にリソースを投じることは、プラットフォームからすべての詐欺を排除すると誓うことと同義ではない。完全な排除はおそらく不可能であり、それを試みればユーザの個人的なやり取りに侵襲的に介入することになる。しかし、友人同士の会話の中にMetaが入り込んで、どちらかが詐欺を働いていないか判断する必要はない。ユーザからの苦情を調査し対処するだけで十分なのだ。ユーザの会話に侵入しなくても、500件のポリシー違反を待つことなく、常習的で利益を上げている詐欺師を排除することは可能である。

そしてもちろん、Metaが詐欺を劇的に減らせる方法が1つある。プライバシーを侵害する広告ターゲティングシステムの廃止だ。Metaの広告ファンネルの頂点にあるのは、世界中の40億人以上についてMetaが同意なく集めた個人情報の山である。詐欺師はこうした個人情報へのアクセスに金を払い、最も脆弱なユーザに狙いを定めて売り込みをかける。

これは、人々を監視して人権を深く繰り返し侵害し続ければ、必然的に訪れる帰結である。この監視データをすべて収集し、そのアクセス権を売るというのは、油まみれのぼろ布を山のように積み上げ、それを低品質の燃料に加工して数十億ドルを稼ぐようなものだ。これが利益になるのは、必然的に発生する火災の費用を他の誰かに押し付けられる場合に限られる。

https://locusmag.com/feature/cory-doctorow-zucks-empire-of-oily-rags/

Metaがやっているのはまさにそれだ。我々を監視することで得られる利益を私有化し、その不可避の結末から我々全員が被る損失を社会に転嫁している。しかし、彼らがこうした行為を続けられるのは、規制当局が無力だからにほかならない。ここ米国では、議会は1988年以来、新たな消費者プライバシー法を一度も成立させていない。あのとき成立させたのは、レンタルビデオ店の店員が客のVHSレンタル履歴を漏洩することを犯罪とする法律だった。

https://pluralistic.net/2023/12/06/privacy-first/#but-not-just-privacy

Metaが我々を監視し、その監視情報を利用して捕食者が我々の人生を破壊するのを許している理由は、犬が自分の股間を舐める理由と同じである――できるからだ。彼らの行動は、メタクソ化を促す政策環境によってほぼ確実に保証されている。その環境は、Metaが我々を際限なく監視することを許し、我々の苦痛から70億ドルを稼いだことに対して10億ドルの罰金を科すだけである。

マーク・ザッカーバーグは昔からひどい人間だった。しかし、サラ・ウィン=ウィリアムズが著書で示しているように、かつて彼は慎重だった。我々を傷つければ自分も傷つくことを恐れていたのだ。その報いを取り除いた途端、ザックは自らの本性が命じる通りの行動を取った。つまり自身の富を増やすために我々の人生を破壊したのだ。

Pluralistic: Facebook’s fraud files (08 Nov 2025) – Pluralistic: Daily links from Cory Doctorow

Author: Cory Doctorow / Pluralistic (CC BY 4.0)
Publication Date: November 8, 2025
Translation: heatwave_p2p