以下の文章は、コリイ・ドクトロウの「Winning coalitions aren’t always governing coalitions」という記事を翻訳したものである。

Pluralistic

選挙に勝つのは思っているよりも簡単だ。さまざまなグループに、手にした権力でキミたちの願いを叶えてやると説得するだけでいい。相反する目標を持つグループにも、同じように説得できればなお良しだ。「何をとっても相容れない人々の連合」は束ねるのが大変だが、その規模は途方もなく大きくなる。

トランプの髪型で燕尾服とたすきをかけた骸骨の人物が、たくさんの動物を筒の中に押し込み、もう一方の端からはさまざまなゴミが流れ出ている。そのゴミは、傾き赤く染まった首都ビルを部分的に埋めている。ゴミの中から、トランプの毛を生やした共和党のマスコット姿の象が出てくる。背景は霧に包まれた夜の大都会のスカイラインで、煌々と明かりが灯っている。

政治学的に見ると「保守主義者」とは、生まれながらの支配者たる少数派と、支配されるために生まれた大多数がいると信じる人々を指す。コーリー・ロビンは『The Reactionary Mind(反動の精神)』で、これこそが保守思想のさまざまな潮流――帝国主義者から、君主主義者、資本主義者、白人至上主義者、女性蔑視主義者、キリスト教至上主義者、ヒンドゥー教至上主義者、パレスチナにおけるイスラエルのジェノサイドを支持する人々にいたるまで――を説明する唯一の特徴だと指摘する。

https://coreyrobin.com/books/the-reactionary-mind/

これらのグループに共通するのは、権力は階層的であり、階層におけるポジションは生まれながらのもので、「下位」に生まれついた者が上位に這い上がることは、社会のバランスを崩し、人類の生存そのものを脅かすという考えである。だからこそ、あらゆる保守主義者が「DEI」(多様性、公平性、包摂性)に激昂する。アファーマティブアクションのようなプログラムは、無能で不適格な者たちを他者の人生を左右する立場に押し上げる、欠陥のある選別装置と見なされる。そうして「DEI」は、巨大船の橋脚衝突事故をはじめ、あらゆる災厄の格好のスケープゴートにされる。

https://www.axios.com/local/salt-lake-city/2024/03/26/baltimore-bridge-dei-utah-lawmaker-phil-lyman-misinformation

しかし保守主義者たちは、ある者が生まれながらの支配者で、別の者は生まれながらの被支配者だという点では一致しながらも、誰が支配者になるべきかという点では、真っ向から対立する。ラージ(英国領インド帝国)を懐かしむ英国の帝国主義者たちの主張は、ヒンドゥー教至上主義者たちの主張とは相容れない。いずれも「保守的」な運動だが、互いに敵対関係にある。

保守勢力が権力を握るには、階層の底辺に追いやられる人々にその目標を支持させ(またの名を「七面鳥にクリスマスへの投票をさせる」)、さらに他の保守主義者たちに対しては、複数のグループによる対等な支配者階級を頂点とする階層制を確立すると説得しなければならない。

前者の戦術は周知の通りだ。リンドン・B・ジョンソンは端的にこう述べている。

「最底辺の白人に、自分は最上位の有色人種よりも上だと思わせてやれば、連中は君が自分の懐を狙っていることには気づかない。見下す相手を与えてやれば、喜んでポケットを空っぽにしてくれるのさ」

2番目の戦術は、はるかに巧妙な思考を要する。一部のエリートグループは、互いに排他的な領域を作り出して連合を形成する。なぜモディ、オルバン、エルドアン、ビン・サルマン、トランプ、ミレイたちは友好関係を保っていられるのか。彼らはそれぞれに独裁を志向し、自身の血統――個人的・人種的優越性の源泉――を誇示し、仮に全員(外国の連中も含めて)が自分の命令に従えば世界はより良くなると信じている。

こうした緊張を解消する一つの方法が、世界を地理的に分割することだ。だからこそ、民族国家の建設を掲げて権力を掌握した独裁者たちは、互いに共存し、さらには応援し合うことすらできる。オルバンにはハンガリーを、エルドアンにはトルコを、ネタニヤフにはガザ全土を与えればいい。確かに、彼らは内心では我こそが人種的にも人間的にも他者より優れていると密かに信じているが、互いの領域を侵さない限り、わざわざ口に出すことはない。

緊張を和らげるもう一つの方法は、世界を時間的に分割することだ。キリスト教至上主義者とイスラエルのジェノサイド実行者たちの同盟を考えてみよう。米国では、シオニストを自認するユダヤ人よりも「キリスト教シオニスト」のほうがはるかに多い。

https://www.trtworld.com/magazine/qanda-for-every-1-jewish-zionist-there-are-30-christian-zionists-and-netanyahu-exploits-this-15656249

だが、キリスト教シオニストはユダヤ教徒に好意を抱いているわけではない。むしろ憎悪していて、キリストを殺害したことで永遠に地獄に落ちると信じている。彼らがイスラエルを支持するのは、ユダヤ人の民族国家が必要だと考えているからではなく、ユダヤ人が「聖地に帰還」した後にキリストが再臨するという終末論的信念に基づいている――もっとも、それもつかの間のことで、その後ユダヤ人は永遠に炎の湖に投げ込まれることになる。

英国の帝国主義者とヒンドゥー教至上主義者のように、キリスト教シオニストとユダヤ教シオニストも同じ陣営にいるわけではない。ただし、英国の帝国主義者とヒンドゥー教至上主義者とは違って、キリスト教シオニストとユダヤ教シオニストは……当面の間は、同じ目標を共有できる。いずれも、イスラエルにユダヤ人民族国家を樹立することを支持している。意見が割れるのは、そのに何が起こるか、だ。未来のその瞬間について考えないでいる限り、彼らは肩を並べて立ち、米国の絶対的な支持と完全な国際的免責を受けて活動するイスラエル国家のために共闘できる。

このように、権力を獲得したにどのように権力を行使するか、という問題を先送りする連合は、時間(空間ではなく)を緩衝材として、その違いが衝突して粉々になるまで持ちこたえようとする。だが、連合のパートナー間の違いを和らげる緩衝材は、時間と空間だけではない――階級もそうだ。

「階級」は、レーガン革命以来、保守主義にとって最も重要で有用な緩衝材となってきた。レーガンは福音派との同盟によって権力を掌握した。福音派のカルト指導者たちは長きにわたり、信者たちに、教会にエネルギー(と寄付)を集中し、「世俗的な」政治を禁忌するよう仕向けてきた。

レーガンは、キリスト教右派に対して、中絶禁止、生意気な女や人種的マイノリティへの制裁、学校での祈り、人種隔離アカデミーといった文化戦争の約束を山のようにした。こうした約束は、レーガンの資金援助者たちにとっては取るに足らないことだった。労働者階級の福音派たちに、地球は5000年前に創造されたと教えながら子どもたちをホームスクーリングさせてやったところで、優れたカリキュラムの私立学校に自分たちの子どもを通わせるウォール街の連中には何の関係もない。銀行家の妻や娘たちなら、いつだって中絶のために州外(あるいは国境を越えて)に飛んでいける余裕はあるし、地域病院の慈善病棟でエイズで死ぬこともないし、無過失離婚禁止のせいで娘たちが途方に暮れる心配もない。

過去40年間、米国のオルガリヒやオルガリヒ・ワナビーたちは、底抜けの人種差別主義者、性差別主義者、同性愛嫌悪者たちと熱心に連合を組み、懲罰的で残酷な(しかし金持ちなら余裕で回避できる)法律を通過させることで、連合内の平和を維持してきた。多くの自称リバタリアンにとって最も重要なのは「税金を払わない」自由[liberty]であり、これは他のすべての自由に優先する。そのため「リバタリアン」は、減税を約束しさえすれば、中絶、避妊、「人種間」結婚、同性愛を禁止する公約を掲げる連合に投票する。(他人の)自由[freedom]と引き換えに(自分の)減税を手に入れようとする、奇妙な自由志向イデオロギーというわけだ。

https://pluralistic.net/2021/09/29/jubilance/#tolerable-racism

トランプの最初のCPAC(保守政治行動会議)でのスピーチは、GoProudがスポンサーを務めていたことを思い出してほしい。GoProudは「財政的に責任ある」ゲイの共和党員たちのグループで、ゲイの権利を信じてはいるものの、貧しいゲイたちが野垂れ死のうと、自分たちがその屍の上に財を成すことのほうが重要だと考える。

https://en.wikipedia.org/wiki/GOProud

階級は、右派のオルガリヒと、選挙での勝利に不可欠な大衆運動との間の第三の緩衝材となる。何しろ法律は庶民のためのものであり、だから喜んで法律を約束し、実際に制定しさえする。だが、オルガリヒがその法律に従うことはない。従う必要がないからだ。まさにウィルホイトの法則の実践である。

「保守主義は正確に一つの命題から成り立っている。すなわち、法律に保護されるが法律には縛られない内集団と、法律に縛られるが法律には保護されない外集団が存在しなければならない」

https://en.wikipedia.org/wiki/Francis_M._Wilhoit#Wilhoit’s_law

階層社会において、階級は時間や空間と同じように明確に人々を分断し、時間と空間のように有用な緩衝材となる。

そう、それが機能しなくなるまでは。

最終的には――中絶を禁止し、図書館から「論争的な」本をすべて排除し、アファーマティブアクションを違法にしてしまえば――文化戦争は金持ちでさえも金で解決できないほどに拡大していく。

たとえば移民問題だ。

まず、移民が必ずしも賃金抑制をもたらすわけではないことを確認しておこう。移民を強力な労働組合と強固な労働者の権利保護と結びつければ、労働者たちは非常に良い結果を得られる。多ければ多いほど良い! 米国はありとあらゆる労働者を必要としている。そもそも米国の労働組合と労働法は移民労働者たちの存在に負うところが大きく、移民と労働者の権利獲得は必ずしも相容れないものではない。

しかし、保守連合の金融部門がH1Bビザのような「ゲストワーカー」プログラムを要求しているのは、海外の組合オーガナイザーを受け入れたいからではない。

https://twitter.com/RobertMSterling/status/1873175206073626660

H1Bビザは「非移民」ビザであり、永住権や市民権を与えないように設計されている。H1Bビザで米国に長期滞在は可能だが、封建時代の農奴のように雇用主に縛られる。仕事を失えば滞在資格を失う。つまり失業すれば、家や車を手放し、子どもたちを学校から引き離し、友人関係を断ち切らなければならない。パートナーが国外追放されるのなら、一人で残るよりも一緒に出国を選ぶ人だっているだろう。そうなれば、そのパートナーも自身の仕事を失うことになる。

H1Bのテックワーカーは、テック貴族たちが長年夢見てきた理想の労働者だ。H1Bの労働者は転職できないため、グルメのカフェテリア、豪華なジム、その他の気まぐれなテック「キャンパス」特典で引き止める必要もない。ストックオプションのパッケージが気に入らないと辞めることもない。

https://pluralistic.net/2023/09/10/the-proletarianization-of-tech-workers/

テック業界の上層部はテックワーカーを嫌悪している。それは昔から変わらない。ジェフ・ベゾスがコーダーたちにピンクのモヒカン、顔のピアス、わけのわからない言葉が書かれた黒いTシャツを着て出社させているのは、愛情からではない。一方で、配達ドライバーたちはペットボトルに排尿し、倉庫作業員たちは全国平均の3倍の怪我を負っているのは、敵意からではない。ベゾスがコーダーたちの腎臓を大切にしているわけでもなければ、配達ドライバーたちの尿意に特別な敵意を持っているわけでもない――ただ、あらゆる労働者をあらゆる方法で可能な限り搾取しているだけだ。

それはティム・クックも変わらない。Appleの取締役会がクックをスティーブ・ジョブズの後任に昇進させた功績は、iPhoneの製造を中国に移転させたことだった。具体的には、クックは主要サプライヤーのFoxconnと協力して、信頼性の高い精密な携帯端末を生産する労働環境を作り出すことに成功した。そのために必要だったのは、激務に耐えられなくなって飛び降りた工場労働者たちを受け止める自殺防止ネットを設置せざるを得ないほど、過酷な労働環境を作り出すことだけだった。

https://www.theguardian.com/technology/2017/jun/18/foxconn-life-death-forbidden-city-longhua-suicide-apple-iphone-brian-merchant-one-device-extract

たしかに、Appleのテックワーカーたちが自殺願望に追い込まれるほど働かされているわけではない――だが、それはティム・クックがコーダーを好きで工場労働者を嫌っているからではない。コーダーの退職は困るが、工場労働者が死んで飛び降りた後の補充には頭を悩ませる必要がないからだ。

H1Bプログラムの目的は、経営者たちがもはや恐れずにすむテックワーカーを生み出すことにある。イーロン・マスクがTwitterを買収した際、労働者たちの健康と福祉を自身の利益に従属させるよう要求する「極度にハードコア」な誓約書を回覧したことを思い出してほしい。その結果、移民資格(および/または深刻な健康上の問題に対する保険)がTwitterでの継続雇用に直結した労働者たちを除いて、大量の離職者が出た。

https://www.theverge.com/2022/11/16/23462026/elon-musk-twitter-email-hardcore-or-severance

マスクの取り巻きたちは「ゼロ日目」にTwitter従業員の20%を削減したと自慢した。彼らがクビにしたかったのは、ボスを恐れず、投資家たちが「飛べ」と叫んでも飛ばない労働者たちだった。「刃を研げ、お前たち」という言葉は、愚かにも自分たちの労働条件について発言する権利があると信じている労働者たちを切り落とすことを意味していた。

https://techcrunch.com/2022/09/29/elon-musk-texts-discovery-twitter/

もはや米国はテックワーカー不足ではない。米国のテック部門は2023年に26万人の熟練労働者を解雇し、2024年にはさらに15万人以上が職を失った。マスクや他のテック企業の上層部が「人材」がもっと必要だと不満を言っていたとしても、彼らが本当に求めているのは、国外追放を恐れて低賃金を受け入れ、机の下で眠り、組合に加入することなく、そして何より、あらゆることを言われるがままにこなす労働者なのだ。

https://youtube.com/shorts/N0FkyXFhmpo?si=GCh6bFqd31prazhz

トランプは、連合のさまざまなグループに相反する約束をして政権を奪取した。排外主義者や偏屈者(そして低賃金が他の労働者のせいだと思い込まされた労働者たち)には、移民受け入れの停止を約束した。一方、富豪たちには、大規模で扱いやすい労働力――低賃金の農業労働者、米国の「権利意識の強い」テックワーカーたちを懲らしめる不安定なH1Bテックワーカー――を約束したのだ。

https://prospect.org/labor/2025-01-02-president-musk-american-workers-h1b-visas

今やトランプは、全員を幸せにする方法を見つけ出さなければならない。文字通り、議会の議長職は常に9票差で崩壊の危機にあり(先週までは1票差だった)、議会の支えがなければ、トランプの統治能力は著しく制限される(たとえば2018年から2020年)。

移民は中絶のような問題とは異なる。オルガリヒは中絶禁止を支持しても、自分たちが必要な時には中絶処置を受けられる。しかし、移民禁止を支持しながら、自分のビジネスのために不安定で低賃金の労働者を確保したいなら、そうはいかない。米国生まれの労働者たちが、米国のゲストワーカーや未登録労働者たちが受け入れる労働条件に屈服するほど打ちのめされ、壊されるまでには長い時間がかかる。経営者たちにそれを待つだけの忍耐はない。

英国の新労働党が痛感したように、移民を制限しているフリは容易なことではない。2010年の選挙に先立つ数年間、ブレアから続いてブラウンの下でも、労働党は移民の「取り締まり」を大々的に演出していた。ある時、ジャッキー・スミス内務大臣は英国の数十のビザカテゴリーを削減すると発表した。だが、これらがほとんど誰も資格を得られないほど特殊なものだったことには触れなかった。とはいえ、影響を受けた人々とその家族に混乱をもたらした。私自身も「高度技能移民」ビザを失い、英国人のパートナーと娘とともに滞在するためには、結婚の予定を8ヶ月前倒しせざるを得なかった。それでも、UKIPと保守党が煽ってきた排外主義的な怒りを鎮めることはできず、労働党は次の選挙で惨敗を喫した。

米国の保守派は、連合を形成する能力を大いに誇っている。彼らは「右翼に敵はなし」という倫理を掲げ、進歩主義者の「キャンセルカルチャー」と対比させている。

https://www.wired.com/story/the-year-democrats-lost-the-internet

確かに、些細な意見の違いで連合のパートナーを追放するのは、自らの首を絞めるに等しい。連合が広ければ広いほど、権力を獲得しやすいことも確かである。

右派は、正反対のことを望む人々の連合を構築してきた。悪名高き「Project 2025」は、米国を運営(そして破壊)するための恐ろしいアイデアの集まりというだけでなく、互いに相容れない恐ろしいアイデアの集大成でもある。

https://pluralistic.net/2024/07/14/fracture-lines/#disassembly-manual

トランプが選んだ保健福祉部門のトップたち――RFKジュニア、ウェルドン、オズ、マカリー、バタチャリヤ、ネシェイワット――は、「移民を禁止」しつつ「H1Bプログラムを拡大する」のと同じように、互いに排他的で決して折り合えない目標を掲げている。

https://pluralistic.net/2024/12/20/clinical-trial-by-ordeal/#spoiled-his-brand-new-rattle

普段は対立しているような人々による大規模で多様な連合は、権力を奪取するにはもってこいだが、権力を行使するには致命的な欠陥がある。議会と上院におけるトランプの多数派は紙一重であり、民主党がマンチン=シネマティック・ユニバースの下で苦しんだように、共和党の「クラウン・カー・オブ・クレイジー[Klown Kar of Krazies]1訳注:頭文字はあえて“C”ではなく“K”になっている。おそらく共和党下院議員の議員連盟「フリーダム・コーカサス」のこと。」には、くだらない理由で「通過必須[must-pass]」法案を台無しすることさえためらわない数十人の狂信者たちがいる。

さらに、共和党は、フィリバスターから債務上限に至るまで、米国の立法・行政システムに簡単に機能不全に陥らせるサーキットブレーカーを数十年かけて仕込んできた。設計通り、これらは一握りの議員が法案を葬り去り、大統領の権力を制限する力を与える。トランプは、これらのブレーカーの一つ――毎年の債務上限引き上げという無意味なカブキ――を撤去しようと試みたが、完全に失敗した。

https://prospect.org/blogs-and-newsletters/tap/2024-12-19-debt-limit-should-absolutely-be-eliminated

マスクは、共和党連合の相当数が死んでも賛成したくない政策すら押し通せると考えている。これまでのところ、トランプはマスクの野望を叶える操り人形であることを証明してきた。しかし、マスク=トランプ連合は、共和党の他のどの連合とも同じように脆弱で、トランプは弱さを非難されることに対して異常なほど敏感だ。マスクは、邪魔な共和党議員に予備選で対抗馬を立ててやるぞと脅すことはできる。だがティーパーティーを解き放った後にコーク兄弟が悟ったように、不満に満ちた、偏執的で、重武装したカルトを手綱で制御することなど、まずできやしない。

今後数ヶ月、連合は空間、時間、階級という有用な緩衝材なしで権力を行使しなければならず、共和党内の全面的な内紛は避けられない。それは、誰でも歓迎する――あなたとあなたの仲間を銃殺隊の前に並べることを心から望む誰もが歓迎される――ような広すぎる連合の危険性についての教訓となるだろう。

だが、右派の連合に対する態度が、見境なく何でも吸収してしまうほどに開きすぎているからといって、左派が過剰なイデオロギー的純粋性を追求すべきだということにはならない。トランプは支離滅裂なおバカではあるが、どんな人間だろうと(ナチに至るまで)その下に集まれるほどの大きなテントを張ったことで、どれほどの推進力を得たのかを考えてみるといい。

もちろん、プログレッシブ連合がそこまで大規模である必要はない。右派を味方につける必要もない。カマラ・ハリスがリズ・チェイニーをハグしたところで選挙では勝てなかったし、バイデンが彼女に贈ったばかりのメダルにしても何の役にも立たない。

https://www.nytimes.com/2025/01/02/us/politics/presidential-citizens-medal-liz-cheney.html

マンチンとシネマ、「消え失せろ。『此処から先、逃げも隠れもできません』と書かれたゲートに辿り着くまで、とことん逃げ隠れしろ。そのゲートを前に、絶望して、永遠に逃げ隠れし続けろ」2訳注:民主党を離党したマンチンとシネマの反対により、上院民主党は全国労働委員会の民主党委員の承認に失敗し、次期トランプ政権下での同委員会の多数派確保を阻止された。

https://michaelmarshallsmith.substack.com/about

だが、プログレッシブ連合に属する資格がない人々がいるからといって、連合をより緩やかに幅広いものにする余地がないわけではない。確かに、大きな連合は権力の行使を難しくする。だが、その連合なしには、そもそも権力を奪取することすらできないのだ。

Pluralistic: Winning coalitions aren’t always governing coalitions (06 Jan 2025) – Pluralistic: Daily links from Cory Doctorow

Author: Cory Doctorow / Pluralistic (CC BY 4.0)
Publication Date: January 6, 2025
Translation: heatwave_p2p

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