常に交渉を強いられる社会はたいへんに疲弊する
「買い手が気をつけろ」を世界の運営原則にすることは、単に労働者から富裕層への移転ではない。交渉に疲弊する人々から、交渉に活力を得る人々への移転なのだ。人間の思考様式の多様な差異のうち、たった1つだけを取り出して、それを成功の唯一最大の基準、人生の機会を決定づける最大の要因に仕立て上げるやり方だ。
「買い手が気をつけろ」を世界の運営原則にすることは、単に労働者から富裕層への移転ではない。交渉に疲弊する人々から、交渉に活力を得る人々への移転なのだ。人間の思考様式の多様な差異のうち、たった1つだけを取り出して、それを成功の唯一最大の基準、人生の機会を決定づける最大の要因に仕立て上げるやり方だ。
我々の定義的な用語はほぼすべてが「反何とか」だ。「反トラスト」から「反ファシスト」まで。我々が何に反対しているかを表す言葉には事欠かない。しかし、我々が何を*支持している*のかを表す言葉は、いまだに見つかっていない。
図書館にいるとき、あなたは利用者であって顧客ではない。学校にいるとき、あなたは生徒であって顧客ではない。医療を受けるとき、あなたは患者であって顧客ではない。
実体経済が年間105兆ドルを生み出す世界で、金融デリバティブ市場の規模は年間667兆ドルに達する。「世界最大のビジネス」でありながら、それは無用だ。何も生産しない。何の価値も加えない。
鏡の世界は現実を歪める。だがその歪みの曲率は、ネオリベラリズムの「社会などというものは存在しない」とまったく同じだ。陰謀論も、ネオリベラリズムと同様、世界は構造的な性質によってではなく、個人の美徳と悪意によって動いていると主張する。
経営者は空虚で苛立たしいフレーズを使うことで報われ、組織の人員構成はブルシットを見抜くのが苦手で、仕事上の判断力に欠ける人々に偏っていく。
彼らは全体の数字が上がる必要などない。自分たちの数字さえ上がればいい。包摂的な経済のほうが社会全体に繁栄をもたらすことを、彼らも承知してはいる。だがそれは犯罪者や捕食者にとっては不都合なのだ。
ねずみ講は、アップルパイと同じくらい米国的だ。疑わしいと思うなら、ブリジット・リードの『*Little Bosses Everywhere*』を読んでみてほしい。ねずみ講についての、綿密な調査に基づく恐ろしくも驚嘆すべきルポルタージュだ。
ドナルド・トランプは多くの顔を持つ。彼はレイシストであり、権威主義者であり、レイピストである。だが彼がはじめから、そして一貫して何であったかといえば……詐欺師だ。