以下の文章は、電子フロンティア財団の「Face Recognition Technology: Commonly Used Terms」という記事を翻訳したものである。
顔認識技術は目まぐるしいスピードで進化し、日々新たな使い方や用語が生まれている。本稿では、この分野で一般に使用されているいくつかの用語を定義し、曖昧さを減らすことを試みたい。
政府による顔認識の利用や、あなたのコミュニティでの顔認識を終わらせるためのハウツーについては、EFFの「About Face」リソースページをご覧いただきたい。
顔検出(Face detection):画像の中に人間の顔が含まれているかどうかを判断する。公的機関の中には、公文書開示請求に応じてビデオ映像を公開する際に、顔を特定できないようにするために顔検出を利用するところもある。そのため、政府の顔認識技術の使用を禁止する場合でも、顔に関する情報を収集/保存しないことを条件に、この目的での顔検出を除外しているケースが多い。一般に、顔検出の使用は重大なプライバシー上の懸念を引き起こすことはない。
顔認識(Face recognition):顔照合および顔分析(以下に定義する2つの用語)を含む、フェイスプリントのさまざまな収集および処理。顔認識は、デジタルライツに重大な懸念をもたらしている。
フェイスプリンティング(Faceprinting):フェイスプリンティングは顔認識プロセスの基本的ステップであり、顔の可視的な特徴を自動分析し、その顔固有の数学的表現に変換することである。この情報の収集・保存は、プライバシーと安全性に懸念をもたらす。
顔照合(Face matching):2つ以上のフェイスプリントを比較すること。顔識別、顔認証、フェイス・クラスタリング、フェイス・トラッキングなどが含まれる(以下、それぞれの用語を定義)。
- 顔識別(Face identification):(i) 未知の人物の単一のフェイスプリントと (ii) 既知の人物のフェイスプリントのセットとの比較。その目的は、未知の人物を識別することである。かおしきべつでは、複数の結果が得られることがあり、その場合は、システムは返された画像と未知の画像が一致する可能性をしめす「確信度(confidence)」指標が表示されることもある。
- 顔認証(Face verification):(i) 認証を求める人物の単一のフェイスプリントと、(ii) 認証された人物の1つまたは複数のフェイスプリントの比較。認証された人物は、特定の人物として識別されることもあるが、必ずしも識別を伴うわけではない。システムは、その人物が誰であるかを知らなくても認証することができる。顔認証は、携帯電話のロック解除や購入時の認証などに使用される。
- フェイス・クラスタリング(Face clustering):画像コレクションに含まれるすべてのフェイスプリントを互いに比較し、特定の人物や集団を含む画像をグループ化すること。クラスタ化された人々は、既知の個人として識別されることもあるが、必ずしも識別を伴うわけではない。たとえば、デジタル写真のライブラリ(個人のアルバムや、デモ参加者全員を撮影した警察の写真など)に写っている人々の複数の写真を、自動的に個別のセットにクラスタリングできる。
- フェイス・トラッキング(Face tracking):店内や繁華街の歩道など、1代以上の監視カメラが設置された物理空間における特定人物の移動を、フェイスプリントを用いて追跡する。追跡される人物が識別されることもあるが、必ずしも識別を伴うわけではない。追跡はリアルタイムで行われることもあるし、過去の映像を使用して行われることもある。
顔分析(Face analysis)、または顔推論(Face inference):他のフェイスプリントとの比較を行わず、フェイスプリントを抽出した人物について何かを知るために、フェイスプリントを処理すること。顔分析だけでは、人物の識別や認証はできない。顔分析の中には、人物の属性(人種やジェンダーなど)、感情や精神状態(怒りなど)、行動的特徴、さらには犯罪性についての推論を目的としたものもある。
それぞれの顔認識の詳細については、こちらの記事(日本語訳記事)で詳しく解説している。
Face Recognition Technology: Commonly Used Terms | Electronic Frontier Foundation
Author: Adam Schwartz, Nathan Sheard, and Bennett Cyphers/ EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: October 7, 2021
Translation: heatwave_p2p