以下の文章は、EDRiに掲載されたDigitale Gesellschaftの「Stop data retention in Germany and the European Union」という記事を翻訳したものである。
ベルリンをはじめとするドイツ各都市で、数万の人々がデータ保存の義務化に反対してからもう10年以上が経った。それ以降、多くの判決で、データ保存は違憲であり、欧州法にも違反していると宣言している。無数の市民の通話、インターネット・アクセス、位置情報データを、特別な理由もなく保存するという考えは、自由で開かれた社会の基本的価値と相容れないものである。ドイツ政府は真のリーダーシップを発揮し、重大犯罪対策としての大規模データ保存の義務化に反対する強力な前例をEUに示さなければならない。大量のデータ保存は、推定無罪の原則を無視してすべての市民を犯罪者として扱うという、最もプライバシーに踏み込んだ手法である。欧州各国政府は、犯罪捜査にいて人権を尊重し、かつ適切な解決策を講じるべき時が来ている。EDRiと12の市民社会団体がドイツ内務大臣に送付したオープンレターを読み、犯罪捜査におけるデータ保存の慣行を止めるよう声を上げてほしい。
ドイツ連邦内務大臣へ 2022年6月1日~3日にヴュルツブルクで開催される州内務相・上院議員の春季会議に際して
ベルリンをはじめドイツの各都市で、数万人の市民がデータ保存に抗議するデモに参加してから10年以上が経ちました。それ以降、多くの判決がデータ保存は違憲であり、欧州法に違反すると宣言しています。無数の市民の通話、インターネット、位置情報などのデータを、特別な理由もなく保存することは、自由で開かれた社会の価値観と相容れないものです。
デジタルライツの活動家や専門家たちは、私たちの人権を著しく脅かす大規模な監視の停止を長きにわたって求めてきました。ドイツ政府は連立協定の中で、データ保存の提案を法的に安全かつ対象を絞ったソリューションに変更すると約束しました。残念ながら、連立政権はこの公約をどのように実施するのかについて、ドイツ国民の具体的なプランを示してはいません。
人権に基づく安全保障政策は、憲法を逸脱するものであってはなりません。現在のドイツの政策は、法の支配を徐々に侵食していくだけでなく、今後数年間にわたって方の不確実性をもたらし、国民と治安当局の双方に理解しがたい法的状況を作り出しています。
私たちは、複数のEU加盟国政府が何年にもわたって欧州司法裁判所(CJEU)の判決を履行せず、それどころか市民のプライバシー保護の法的要件を満たさない法律を制定してきたことを強く懸念しています。そうした法律の中には、欧州法に違反し、CJEUが何度も明確に違法であると判断してきた大規模監視につながるものもあります。地理的に「ターゲットを絞ったデータ保存」、「国家安全保障」への包括的な言及、IPアドレスの一般保存義務といった概念では、データ保存行為の違法性を覆すことはできません。
したがって、データ保存と法廷での不毛な論争を止め、大規模監視と人権侵害を決定的に終わらせるためにも、国内およびEUレベルでリーダーシップを発揮することを強く求めます。
EDRiメンバー団体のDigitale Gesellschaftが公表したドイツ語版のオープンレターはこちらから。
Stop data retention in Germany and the European Union – European Digital Rights (EDRi)
Author: Digitale Gesellschaft / EDRi (CC BY-SA 4.0)
Publication Date: Jane 2, 2022
Translation: heatwave_p2p