以下の文章は、Fight for the Futureの「Statement: Meta must implement end-to-end encryption on all messaging immediately」という記事を翻訳したものである。記事中にあるプライベートメッセージ(チャット)の捜査機関への提供については、こちらの記事を読んでおくと背景がわかりやすい。

Fight for the Future


20週以降の中絶を禁止する州法に違反した容疑で、Facebookはネブラスカ州の10代の女性のメッセージを法執行機関に提供したという報道について、Fight for the Futureのキャンペーン/マネージングディレクターのケイトリン・シーリー・ジョージは以下の声明を発表した。

「ロー判決が撤回されて以降、Facebook親会社のMetaを始めとする大手テック企業は、リプロダクティブ・ヘルスケアへのアクセスを守ると高らかに約束してきた。だが、こうした約束のほとんどは、中絶を従業員福利厚生の一部として特権的に提供して自社の従業員を守る以上のものではない。同時に、これら企業の偽善的な監視行為は、中絶を求め、支援し、提供する人びとの犯罪化に加担しているのである。

中絶患者のコミュニケーションに関するMetaの反人権的アプローチの最初の事例として、彼らは17歳の少女とその母親とのFacebookでの会話を開示し、10代の少女がからだの自己決定権という人権を行使することで処罰される可能性があることを明らかにした。MetaのFacebookとInstagramは、もっとも弱い立場にあるユーザのプライバシーを保護するために必要な修正を完全に怠っている。もし、安全よりも監視を優先し、妊娠中の人びとの期待に背き続けるのであれば、これは長く続く裏切りの最初の一歩ということになるのだろう。

Metaは、エンドツーエンド暗号化をすべてのメッセージのデフォルトにすることができ、メッセージに送信者以外には、たとえFacebookやInstagramの内部の従業員でさえ、プライベートな会話にアクセスできないようにできるのである。こうした保護機能は、Metaが所有するWhatsAppではすでにデフォルトで、FacebookとInstagramでもオプションとして提供されている。エンドツーエンド暗号化をデフォルトで有効にするという小さなステップを踏むことで、それらサービスを利用するすべてのユーザ、そして最も必要としているユーザに、ビルトインの保護を提供できる。

エンドツーエンド暗号化を有効にすれば、法執行機関が中絶患者やその擁護者、そして彼らの愛する人たちとのコミュニケーションにアクセスすることはほぼ不可能になる。法執行機関がFacebookやInstagramのプライベートなメッセージにアクセスする唯一の方法は、デバイスやアカウントそのものにアクセスすることだけになる。Metaは、FacebookやInstagramを含め、すべてのプライベートメッセージでエンドツーエンド暗号化をデフォルトにするよう変更すべきだ。そうすることで、文字通り、妊娠中の人々の命を救うことができるのである。

Metaの行動は、言葉よりも雄弁だ。今現在、同社は中絶患者が愛する人たちからのサポートを受ける空間としては危険すぎる空間だということを自らの行動によって示した。実際、Metaは中絶患者が身体の自己決定権を行使するのであれば、起訴されるべきだと考えていると言っているのだ。Metaがプライベートメッセージの監視を断念し、エンドツーエンド暗号化によってユーザを保護し始めるまで、同社は妊娠中の人びとの監視、そして犯罪化に加担し続けるのである」

Fight for the Future – Statement: Meta must implement end-to-end encryption on all messaging immediately

Author: Caitlin Seeley George / Fight for the Fiture
Publication Date: August 10, 2022
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: Siarhei Horbach