CDNプロバイダ「Cloudflare」は、アダルトパブリッシャ「ALS Scan」との著作権侵害訴訟で和解に至った。この裁判では、Cloudflareの寄与侵害について陪審で争われることになっていた。和解の条件については明らかにされていないが、Cloudflareにとっては、肩の荷がおりたというところだろう。
大手CDN、DDoSサービスのCloudflareは、世界中のウェブサイトに利用されている。そのなかには、多数の海賊版サイトが含まれている。
近年、多くの著作権者から、Cloudflareの海賊版サイトとの関与を批判する声が上がっていた。2016年にアダルトエンターテイメント・パブリッシャのALS Scanが同社を裁判に引きずり出したことで、事態は新たな局面を迎えた。
ALSはCloudflareをさまざまな著作権侵害で訴え、同社の顧客が同社サーバを利用して海賊版コンテンツを公衆に配信していると主張した。
Cloudflareは法廷闘争に応じ、いくつかの訴えを棄却することに成功したが、すべての主張を覆すことはできなかった。
今年はじめ、カリフォルニア州地方裁判所のジョージ・ウー判事は、Cloudflareはファイルコピーのキャッシュをホストすることで実質的に著作権侵害を幇助しうるとの判断を下した。Cloudflareが実際に幇助したのか、そしてその責任を追うのかについては陪審の判断に委ねられることになった。
しかし、その公判が行われることはなさそうだ。今週、両当事者はCloudflareに対するすべての申立を棄却するよう裁判所に求める共同了解事項書を提出した。
「ALS Scan Inc.およびCloudflare Inc.は、この書面を持って、Cloudflareに対する主張および訴訟に偏見なく、取り下げを求める。弁護士費用、経費、出費は双方が負担する」
ALS ScanとCloudflareは法廷外で和解合意に至ったようだ。その条件は明らかにはされていないが、弁護士費用、経費、その他出費はそれぞれが負担する。
この和解に異議が申し立てられれば、裁判所は再びこの問題を管轄することになるが、事実上、訴訟は終結したといえる。
Cloudflareが和解金を支払うのかは不明だが、同社の不確実性は払拭されたのは確かだ。
もしこのまま公判に突入していたら、議論を呼んだ「デイリー・ストーマー」問題を証拠として使用され、同社の運命は陪審に委ねられることになっただろう。ここで不利な判決をくだされてしまえば、同社の将来に深刻な影響を与えたかもしれない。
TorrenrtFreakはCloudflareの広報担当者、ALS Scanの弁護士にコメントを求めたが、本稿公開までに回答は得られなかった。
CloudflareとALS Scanの共同了解事項書のコピーはこちらから(pdf)。
Cloudflare Settles Dangerous Piracy Liability Lawsuit – TorrentFreak
Publication Date: June 21, 2018
Translation: heatwave_p2p