今週、オーストラリア通信芸術省は、著作権侵害に関する最新の消費者調査を公表した。このデータから、豪州では海賊ユーザが減少しつつも、海賊版の消費量は増加していることが明らかになった。近年のサイトブロッキングの波は、一部には効果が見られているが、その効果も導入当初に比べると鈍化しているようだ。
近年、エンターテイメント業界はしばしば、オーストラリアを海賊版だらけの国とみなしてきた。
そうした主張の真偽を確認するため、政府は毎年消費者調査を実施し、同国の海賊版習慣について検証している。この数年の調査では、海賊行為が着実に減少していることが明らかになっている。
今週、公表された最新の調査でも、音楽、映画、テレビ番組を違法に消費するユーザの数は、前年に比べ減少していた。
全カテゴリ中、唯一ゲームでは海賊ユーザの割合が増加していたものの、全体としては明らかに減少傾向にある。2018年、オーストラリア人の3分の2が適法なチャネルを通じてコンテンツを消費していた(3年前には57%だった)。
面白いことに、このパターンは金額にはそのまま当てはまらない。実際、海賊版と正規版の双方を利用する人々は、正規版のみを利用する人に比べ、平均より多くの額を支出する傾向にあった。
以前の調査でも示されているように、こうした「ハイブリッド」な消費者(購入もするし海賊版も利用する)は、もっともコンテンツに飢えた消費者であるため、より多くの金額を投じているのだろう。
また2018年の調査では、海賊行為に手を染めるオーストラリア人は減少していたものの、海賊版の消費量は上昇していた。違法なデジタルコンテンツの消費量は、音楽、ゲーム、映画、テレビ番組など、あらゆるカテゴリで上昇している。
「適法と違法なデジタル消費の割合をオーストラリアの人口全体に適用すると、2017年から2018年にかけて、4つのコンテンツタイプすべてにおいて、違法な消費の割合が増加していることがわかった」と政府は結論づけている。
要するに、オーストラリア人の海賊ユーザは減ったが、海賊版の消費量は増えたということだ。
もう1つの注目すべき点は、近年、豪裁判所によって命令されている海賊版サイトのブロッキングに関するものだ。エンターテイメント業界は、ブロッキングによって海賊行為は減少すると主張しているが、このレポートもそれを裏付けている。
アクセスしたサイトがブロッキングされていたとしたら、それを回避すると応えた回答者は、全回答者の7%に過ぎなかった。非常に印象的な数字ではあるが、しかし同時にミスリーディングでもある。
この7%は全回答者に占める割合に過ぎない。つまり、ここには海賊版サイトをまったく利用しない76%の人々も含まれている。海賊版サイトを利用しない人たちが、ブロッキングを回避する理由など存在するはずもない。さらに、このグラフィックでは、代替海賊版サービスを見つけている10%の人々を無視している。
言い換えれば、全回答者のうち17%が引き続き海賊行為を行っているのである。全回答者に占める海賊ユーザの割合が23%であることを考えれば、極めて重要な点だ。
最後に、オーストラリア人がブロッキングを回避する手段についても見てみよう。30%がVPN、21%がプロキシサイトを利用するとしていた。驚いたことに、3番目に人気があったのはGoogle翻訳(15%)であった。
彼らが今後も同様の行為を続けるのかは不明である。この調査はさらに、実際にサイトへのアクセスをブロックされたユーザに対してどう対応したかを訪ねているのだが、回避すると答えたのは1%に満たなかった。ほかの海賊版ソースを探すという選択肢がより一般的であった(訳註:「諦める」が46%、「別の合法ソースを探す」が19%、「別の違法な無料ソースを探す」が15%、「別の違法な有料ソースを探す」が17%であった)。
レポート全体としては、最近のメディア消費動向、特に海賊版に関する動向を知る上でよい資料となっている。オーストラリア人がますます合法的な消費者にシフトしていることが示されており、ブロッキングの効果も多少なりとも上がっているようだ。たとえ、海賊版の消費量が増えていたとしても。
ブロッキングはさておき、サプライサイドはまだまだ進歩の余地が残されているようだ。大半の海賊ユーザは、正規サービスがもっと安く、欲しいコンテンツが適法に利用でき、正規サービスの利便性が高まれば、海賊行為を止めるだろうと答えている。
Aussie Pirates Consume More, Site Blocking or Not – TorrentFreak
Publication Date: August 9, 2018
Translation: heatwave_p2p